モリアオガエルはいないのか？

猪倉方向にお散歩。サトアオの流出卵塊はない。
何年もこれを続けてきて、最近気がついたことがある。

• 田植え後の田んぼには流出卵塊はない
• 田植え前でも、たっぷり水が入って水面がきれいな田んぼにはない
• 藁屑や肥料？の粒々などが浮いていて、土塊も見えている、一見して汚れている田んぼにいる

どうも、パッと見て「きれいに水が入った田んぼ」というのは、機械化、省力化が徹底された田んぼで、肥料は化学肥料、田植えと同時に除草剤も入れているような田んぼなのではないだろうか。だから泡もなければ波紋もない。水面はひたすら静かで生き物の気配がしない。
藁屑がプカプカ浮いているような田んぼは有機肥料中心の田んぼで、生物が棲み着ける環境なのかもしれない。

そういう田んぼが隣り合って存在している。

シュレの流出卵塊だけでなく、トウキョウダルマガエルの卵塊も、あるところにはどさっとかたまってあるが、ない田んぼにはまったくない。これもおそらく農薬の使用量と関係があるのだろう。

日光に引っ越してきてから、春の田んぼを見るのはこれで４回目だ。田んぼだけでなく、水たまりや沼地を探し周り、どんなカエルがいるのかひたすら探ってきたが、いまだに一度も見ていないのが、

• アズマヒキガエル
• モリアオガエル
• カジカガエル
• タゴガエル

の４種。
その次に少ないのがツチガエル、ヤマアカガエル、ニホンアカガエル。
シュレーゲルアオガエル（サトアオ）はたまに見るし、卵塊が広範囲の地域で確認できるので、薄く広く生息はしている。
トウキョウダルマガエルとアマガエルはいちばんよく見る。
正確には、トウキョウダルマガエルを見る回数、数はアマガエルよりずっと多いのだが、それは僕が田んぼや湖沼を見て回っているからで、普通に生活している人は民家にまでやってくるアマガエルのほうがなじみ深いだろう。
ウシガエルもいない。これはいなくていい。
ヌマガエルが栃木県内に進出しているという情報があるが、うちの周辺には入り込んでいない。
ナガレタゴガエルはきっと渓流にはいるんだろう。見たことがないだけで。

で、まだ見ていない４種のうち、アズマヒキガエルがいないのはどうにも理解できない。
いないはずがないのになぜ？
農家の人に訊いても、昔は普通にいたけれど、圃場整備後は見た記憶がないという。
地域絶滅してしまった可能性が強い。

モリアオガエルも、いてもよさそうな場所は（極めて少ないが）あるのにいない。
川内村で知って、いちばん感動したカエルだけに、今住むこの地域にモリアオがいないのは寂しい。

モリアオが生きるためには、背後にまとまった森があり、ある程度の規模の止水（沼など）が存在することが必要だが、そういう場所はこのへんでは数か所しか見つけていない。そのいずれでも、卵塊がぶら下がっているのを見ることはできないまま4年が過ぎた。

今日、そのなかの一か所に行ってみた。
堰堤があって、堰き止められた半人工的な沼がある。モリアオが棲んでいてもよさそうな環境だが、卵塊を見たことはない。
久々に来てみたら、雨が少ないせいか、水量が極度に減って、ダム湖の体をなしていなかった。↑

いてもいいのになあ……と思いながら見ていたら、背後の森からカエルの鳴き声が聞こえてきた。
サトアオのようでもあるが、もう少し野太い声が混じっている。もしかしてモリアオの声？
モリアオだとすれば、産むのはもう少し後だろう。またチェックしに来てみなければ。

形が崩れていないし、今救出すれば十分にオタマにまで育てられるのに残念。なんとかここで溶ける前にオタマになってほしい。

yossyの車が停まっているのが見えたが、和室の雨戸が閉まっていてカーテンも降りているので、寝ているのかなと思って声をかけずに通り過ぎ、家に戻った。