のぼみ~日記

2013/09/06

東照宮へ狛犬を撮りに行く(3) 陽明門前、石塀の「飛び越えの獅子」



御水舎を過ぎて登っていくと、正面に陽明門が見えてくるが、現在、本格的な補修工事中で幕が掛かっている。
でも、その手前に、本日のお目当てその1、「飛び越えの獅子」があるので、ここでたっぷり時間をかけて撮影。


これ


吽像(振り向いて左側)はよく見えるのだが……


阿像は石柵と石柵に囲まれた端に位置しているので、とても見づらい


こうして気づく人は偉い


石柵の間から手を突っ込んで、なんとか顔を撮ろうとするが、こんな感じ


これが精一杯


この獅子、完全に石柵と一体で彫られていて、後からくっつけたものではない


で、脚は浮かせていたりする。芸が細かい


こんな顔。阿像は舌を出しているのね。可愛いじゃないか


吽像も脚を浮かせている。柵と一緒に彫り上げて、それを台石に上から差し込んだのかな


多くの人は目もくれずに通り過ぎていく


ひたすらローアングルから……


逆光で厳しい


阿像はぐるっと回り込んで本地堂のほうから望遠で撮った


苔むしているなあ


人面に見える


家光による大改造のときだから寛永13年(1636)建立。石塀が国の重要文化財指定なので、この獅子像も自動的に重文ということになる。
狛犬研究家・山田敏春さんによれば、冬木太良右衛門(地元の石屋)の請負で、一匹につき金百両と御造営帳に記載があるそうだ。
家光はこの獅子を見て「まるで獅子が塀を跳び越えておるようじゃ。よくできておる」と誉めたので、太良右衛門が「恐悦至極に存じます」と答えたとか。で「恐悦跳び越えの獅子」などと呼ばれるようになったらしい。
石工は備前西大寺の築太夫とも言われているが、不明。
岡山県西大寺市に築田屋(後に次田屋)という棟梁格の石工がいて、備前産の花崗岩を馬車に積んで、日光に運びながら石を粗彫りした、との伝承もあるそうだが、この石塀や獅子は花崗岩ではないとの見立てもあり、結局は分からない。
(これも山田敏春さんの説明

ちなみに、江戸時代、一般庶民も陽明門までは入ることができたそうだから、陽明門を一目見ようと参拝に訪れた人たちは、この獅子も見ることができたわけだが、参道を進むと目の前にあまりにも豪華絢爛な陽明門がそびえていて、そっちに早々と目を奪われただろうから、この獅子は記憶に残らなかったのではないだろうか。
しかし、一般庶民と石工とでは意識が違う。この獅子に影響を受けた石工はいたようで、岩木山神社(青森県弘前市)や今宮神社(栃木県鹿沼市)にはこれと同じように逆立ちしている獅子をくっつけた石塀がある。小松寅吉が彫った羽黒神社山道口(福島県白河市)の石柵にも裏には逆立ちの獅子がいる。それらは確実にこの獅子像を真似たのだろう。
で、この獅子が1636年に造られたとすれば、大改造が終わってから奉納されたと伝えられる奥の院の獅子より少し古いことになる。
でも、柵と一体化して彫られているために「狛犬」という認識ではなく、石柵の飾りのひとつとしてしか見られなかった。そのため「関東以北最古の石造り狛犬」の栄誉も得られなかった。陽明門の前、石柵の裏側で逆立ちしているために人々の注目をあびず、石塀にくっついて彫られているために「狛犬」とも認められなかった。それでも400年近く脚を浮かせ、逆立ちし続けている……なんともけなげな獅子たちである。




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