2013/06/17

渇水で今年も絶望的状況・平伏沼のモリアオガエル産卵(1)

6月半ばといえば、川内村のモリアオガエルが産卵真っ盛りの時期。
いつ確認しに行こうかと迷っていたが、明日よりは今日のほうが雨の確率が低いということで、午前中、雑多な仕事を片づけてから昼過ぎに出発した。

我が家に行く前に平伏沼に直行した。
滝根小白井ウィンドファームの取り付け道路を上っていく。
ここに限らず、大型ウィンドタービンの資材運搬道路は数十メートルという長さのブレード(羽根)や支柱を運ぶため、なるべくカーブが少なくなるように直線的に、しかも幅の広い道路を造る。
一度資材を運び込んで建設が終わればそんなに広い道はいらないため、舗装にする予定はなかったようだが、雨のたびにその道路を水が勢いよく流れ落ちて道をえぐり取り、ボコボコになって車が通るのも難しいほど荒れてしまう。
その泥水は下流側に流れ込み、河川を汚濁させる。ここでは夏井川上流が泥水でやられ、イワナやヤマメなどが産卵できなくなって補償問題に発展した。
その後、予算がついたのか、取り付け道路は全面舗装になった。
事業者は東京電力系のユーラスエナジー。まったく無駄な金を使ったものだ。
全国的には取り付け道路が荒れ果てて、山腹崩壊や土砂崩れなどが頻発しても舗装にできない場所も多々あるようだ。
欧米ではまず山には建てない。人のいない広い平地に建てるから、あまりこうした問題は起きない。
また、山に巨大風車を密集させて建てると乱気流のせいですぐに壊れる。
先日もさしたる風が吹いてもいないのに、京都府北部にある太鼓山風力発電所で支柱ごと折れてブレードが落下するというショッキングな事故があったばかりだ。


……とまあ、その不愉快な巨大風車群の下を抜けて平伏沼に向かう。
事前に、今年も渇水で水がほとんどないらしいことは聞いていた。
誰もいない沼に到着。やはり水はなかった。
卵は数十個ぶら下がっている。これらの卵はこのままでは全滅だ。


きれいに産んでいるのだが……


これだけ見ていればいつもの6月の風景なのだが……


真下は干上がっている


ため息……


わずかに水たまり状に水があるところを狙って集中的に産みつけてはいるが……


このまま雨が降らなければこの水たまりも消滅するし、そもそもこの程度の水たまりでは生き延びるのが難しい


これだけ干上がると、少しの雨では水が復活しないだろう


このへんの卵は完全にアウトだ


普段はこの写真を撮っている立ち位置あたりまで水があるのだが……


苦肉の策で、石の脇に産みつけられた卵。しかし、その石の周りもすでに水が干上がって土が剥き出し


こういう状況だと哀れで数を数える気にもなれない


水面に映る木々の美しい写真をここで何枚も撮ったものだが、自然は厳しい


今、平伏沼にある水はこれだけ。ただの小さな水たまり


線量は前よりも少し下がっている。2011年の夏は、地面に置くと1~2μSv/hくらいいっていた


空間線量で0.4μSv/h前後というところか



予報では明日あたりから雨模様らしいので、なんとかまとまった量降ってくれることを祈ろう。
3年連続全滅となると、卵を産む親蛙たちの数もじわじわ減っていく。

3.11の前は、平伏沼では卵の数が徐々に減っている傾向だったが、麓側にわずかに残った水たまりや名も知れぬ隠れ沼では逆に増えているところもあった。平伏沼のモリアオガエルが少しずつ麓側に移動しているような気もしていた。
今はベタッとはりついて観察していないので分からない。

このまま、毎年のように産卵期に水がないとなれば、モリアオガエル繁殖地として国の特別天然記念物指定を受けている平伏沼そのものが消滅してしまいかねない。

重い気持ちのまま沼を去る。


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