↑主催の野出島地域活性化プロジェクトの会長さん、いつも埼玉からやってくる熱心狛犬ファンのかた、後ろにちらっと写っているのは日光の地酒「杉並木」(持参した手土産)
この狛犬講演会の第1回目は3.11前の2011年2月12日。大雪にもかかわらず、200人も集まった。
直後の3.11でしばらく狛犬どころではないという感じだったが、なんと、2011年12月11日には寒波の中、早朝からバス2台を連ねての狛犬見学会を敢行。
今回は通算3回目のイベント。
聴衆は初回よりぐっと減ったけれど、年末の忙しいときによくぞ集まってくれました。
今回は、寅吉・和平の狛犬を記録映画にするという桂俊太郎監督もいらして、撮影のため、ピンマイクをつけての講演。
桂さんは元テレビ朝日系の映像制作会社に勤めていたのだが、定年退職後、「これからは自分の金で好きな映像作品を作る」と、仲間とともに自主制作映画、ドキュメンタリーを作り始めた。その中で、寅吉・和平の作品を知り、現地まで来て実物を見た瞬間に一目惚れ。「技術もさることながら、作品に打ち込む精神性の高さに打たれた。これはどうしても映像作品に残したい」と始動。来年いっぱいで完成をめざしているという。嬉しいではないか。

桂監督の作品『夢と憂鬱~吉野馨治(けいじ)と岩波映画~』(122分の大作)は、平成23年度文化庁文化記録映画優秀賞を受賞している。↑
定年後に自腹で好きな映画を作る……すばらしいですね。
僕もそろそろそういう心境になってきている。資金がないながらも、やれるところまでやってみたいな、と。
その後、主催者懇親会にも顔を出した。
元気の出る話を少し。
1)2011年3月11日の大震災で鹿嶋神社の巨大な狛犬・阿像が台座から真っ逆さまに落ちていたが、氏子たちがすぐに金を出し合って、重機が登る道も普請して、その年のうちに見事に復活。費用は40万円かかったそうだ。公的補助はなく、被災者でもある氏子たちがポケットマネーを出し合った。
ちなみにこの地区は白河市の外れ。白河市はそこそこ汚染されたエリアを持っているが、昨年の「一人8万円の一斉補償」対象地域から外された場所。自主流通米がまったく売れなくなるなどの被害は「福島」だというだけで、他と同じように受けた。そんな理不尽極まりない仕打ちをもろともせず、自分たちの土地、文化は自分たちで守るというこの心意気。どうだ! こういうのが本当の「元気な福島」「復興」だよね。
2)野出島地域は放射能汚染はひどくなかったが、それでも契約していた首都圏のお客さんが一斉に注文をやめてしまい、米が売れなくなってしまった。そんな中、神奈川県座間市から、子ども4人を連れた若い一家が移住。それまで毎年、田んぼ1反を使って首都圏の人たちに農業体験をしてもらっていたが、そこに参加していた家族だという。「福島の原発事故問題がもう少し落ち着いてからでもいいんじゃないの」という地元の人たちの助言にも「いいえ、大丈夫です」と、一家揃って移住してきて、今、農業に励んでいる。家は神宮寺の檀家総代でもある野出島地域活性化プロジェクトの会長さんが空き家を世話したとのこと。最初は風呂がなくて、きつねうち温泉に一家で通ってきていたのだとか。
……元気が出る話でしょ? これも「本当の福島」です。
本来、僕がめざしていた福島での暮らしというのは、こういうものだったから、しっかりみんな毎日を楽しんでいるのを見て、ものすごく嬉しかった。