阿武隈日記 06/03/26の2

熊倉神社の狛犬


市川さんから、「ここに面白そうな狛犬がいましたよ」と教えてもらっていた神社。なかなか見つからず難儀した。
地図に印を付けておいたのだが、まったく逆方向だった。おかげで山の中の小さな神社(星神社)に迷い込んだり、さんざん回り道をしてしまった。
しかし、こんな田舎も、地図にない道がいっぱいあって、入っていくと結構奥深い。こんなところにも家が……と、驚かされる。
地元の人たちの目には、県外ナンバーの怪しいクルマがうろうろしている、とうつるんだろうなあ。下手に子供に道を訊こうと声をかけたりしたら、たちまち警察に通報されてしまうかも。やな世の中になったもんだ。
諦めて夏井駅方面に下りようとしたら、道沿いにあった。
そりゃそうだよな。市川さんが狛犬を探しに山奥に入っていくとは思えないもんね。目立つところにある神社のはずだとは思っていたのだが……。
こりゃ、いやでも見つける。
このへんの狛犬の中では秀逸。よしよし。本日は収穫あり。
阿の口の中の玉は動く。この手の技巧を見せる狛犬が、南福島エリアには実に多い。
籠彫りの玉を持つ狛犬も多い。

上から覗き込むと、参拝者が口の中に突っ込んだ小銭が見える
たてがみの彫りが深く、背中や尻尾側から見ると味わいが増す。これは、棚倉町の石工・野田平業が得意とした作風。
石工は須賀川の鈴木高徳。この石工の狛犬は他でも見た記憶があるような……。
最近、データベースの整備をさぼっているので検索しても出てこなかったが、明らかに小松寅吉や野田平業の作風を継承している。吽像の尻尾をくわえたところや牡丹の花の配置は、寅吉の初期作品にそっくり。
建立年は昭和32年。僕より少し若い。
筆頭願主は川前村上桶売字沢尻 宇佐見徳蔵と妻ヨシとなっていた。




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