2023/09/01
Take The 'A' Trainの宇都宮バージョンを、という依頼で
ある方から「LRTが開通したジャズの街・宇都宮にふさわしい、Take The 'A' Train のような曲を作ってもらえませんか?」という依頼を受けた。
ちょっと悩んだのだが「ジャズの街・宇都宮」というキーワードにちょっと心を動かされた。
もう長いこと、依頼による曲や自分以外の演奏者が演奏することを前提とした曲を書いていない。自分への刺激、あるいは勉強としてやってみようという気になった。
しかし、これが始めてみるととても難しい。
A Train はデューク・エリントン楽団のテーマソングのようになっているスタンダードナンバーだが、あの曲のように、ということは、
ビッグバンドでも少人数編成でもやれる曲で
曲調は明るく
かつ「ジャズ」であること
……という条件を満たさないといけないだろう。
A Train はエリントン楽団のピアニスト兼アレンジャーだったビリー・ストレイホーンが作曲している。印象的なメロディだが、やってみるとかなり難しい。
自分の世界とはかなり遠いものだ。
でも、だからこそやってみようという気にもなる。
最初に作ったのが↓これ。
ジャズをやっている人たちに聴いてもらったところ、ビートがよく分からない(4ビートなのか8ビートなのか)。メロディが難解だといった意見があった。
自分でもそれは感じていたし、モヤモヤしたままだったので、別解を求めてバージョン2を作った。
それが↓これ
VIDEO
ビートは4ビートに徹して、転調部分も減らした。
これは概ね好評だったので、これを完成版として依頼者にお渡しすることにした。
冒頭の「ンパッパ」という部分は、歌詞をつけたり、ビッグバンドでやる場合は難しいので、
↑こんな風にするといい。
というか、これを最初に提示したほうがいいのかもしれない。
上のデモサンプルにはそれも含めていくつかのバリエーションやアドリブフレーズなども入れ込んでみた。
アレンジ次第で少人数編成、ビッグバンド、歌ものなど、なんにでも対応できると思う。
それにしても、ジャズは難しい。演奏が難しいということではなく「ジャズって何だろう」「ジャズっぽさってどういうことだろう」という難しさ。
ジャズの愛好家は演奏の技術や音楽理論にもかなりこだわりのある人が多い。人によってそのこだわりの内容も違うので、共通して感動するというポイントがなかなか見えづらい。
A Train はそうした課題を自然とクリアして、長く愛されているのだから、大したものだ。
この曲の譜面は⇒こちら