目の前、机の上があまりにもあまりなので、片づけないといけないと思いつつ、ずっとそのまま。
机の表面がまったく見えない状態で、辛うじて見えているのはマウスを動かす狭い範囲だけ。
9月から
朝日新聞WEB版の「reライフ」で連載コラムの掲載が始まった。
1回目は
⇒これ。
2回目は
⇒これ。
その7回目で「違いの分かるおじんおばん向け"新"オーディオライフ」というのを予定していて、そこにのせるために目の前のデジタルミニアンプと自作ミニスピーカーの写真を撮りたいのだが、この状態ではまともに写真が撮れない。そこで、せめてスピーカーの前だけでも片づけるか……と重い腰を上げた。
このくらいならなんとかスピーカーの写真が撮れるかな?
でも、全体はこう。目の前のゴミを移動しただけのような……
なんとかスピーカーとアンプのあたりを撮る
もう一生これでいいや、と思えるオーディオシステム
この自作スピーカーについては
去年の日記に書いた。
それまで使っていた中国製タンノイのスピーカー(2Way バスレフ)よりも、抜けが自然な感じの軽い音が出せるフルレンジ1発のミニスピーカーを作りたいと思い、いくつかのスピーカーユニットと箱(エンクロージャ)の候補をAmazonで探していた。
全部で5000円以内でおさめたかったのだが、なかなか厳しい。そこで、ヤフオクにまで捜索範囲を広げているうちに、中国工場に直接交渉して、非正規ルート?のような形でスピーカーユニットを輸入販売している業者の出品リストが気になった。
安いのは1個数百円。
Hi-Fi仕様で今回入荷したラインナップではかなり音質の高い部類になります。
ゆとりのある大きめのエンクロージャーに収めていただければ低域から高域まで広範囲をバランス良く鳴らすことができますので、玄人の方も素人の方も是非チャレンジしてみてください。
これは入手していただいて絶対損のないアイテム!弊社お勧めの逸品です!!! 今回もスポット品につき、無くなり次第終了となりますのでお早めにどうぞ!
……な~んていうセールスコピーで一個690円で売られている無印10cmユニットとかが、FOSTEXなどの正規?商品と同等の音がしたら楽しい。スピーカー作りの趣味はそんなところに醍醐味がある。
この業者で売っているユニットで最も高価な部類が「Tivoli Audio 小型3インチ(76.5mm) 4Ω 定格入力5W最大入力10W のフルレンジスピーカーユニット」1個2100円という代物で、2個で4200円、送料を入れると5000円近いのは痛いなあと思ったが、
チボリオーディオは高級ラジオなどを作っているアメリカのマニアックなメーカー。そこから依頼を受けて製造しているスピーカーかあ……と、好奇心に負けて、えいやっと買ってしまったのだった。
このユニットを、北海道の人が出品していた半自作スピーカーボックスに組み込んだもので普段の音楽鑑賞をしているわけだが、とてもいい。もうすぐ使い始めて1年になるが、飽きが来ない。
聴力の衰えには逆らえない
60代にもなると、聴力の衰えはどうしようもない。特に高音が聞こえなくなる。
普通、人間が聴き取れる音は20Hz~20000Hzくらいが限界で、それを超える超低音、超高音は聞こえないとされている。動物界にはコウモリのように人間には聞こえない超音波を聴き取って暗闇の中でも自在に飛べるものもいるし、犬は人間よりも高音域が聞こえていて、逆に、歳を取ると人間の話し声などの中低音域から下が聞こえなくなる。
近所のレオは、すぐそばで「レオ~」と大声で呼んでも気づかないが、金属を叩いたような高音を出すと、それが小さな音でも振り向く。
今の僕はおそらく10000Hzくらいが限度で、そこから上は聞こえていないような気がする。さらには、かつては左耳のほうが聞こえていたのに、知らないうちに逆転して、今は左耳がよく聞こえない。だから、ミキシングが苦労する。
左寄りに定位させた楽器の音量が聞こえにくいのだ。聞こえるように音量を上げると、普通の人には大きすぎるし、左側のほうが大きなボリュームのミックスダウン音源ができてしまう。
最後は想像を働かせながらミキシングしている。
そんな聴力の老人にとっては、よい音の定義も変わってくる。抜けのいい、軽い音を聴きたいのだ。2Way、3Wayのスピーカーは、高音部を出すユニット(ツイーター)にはコンデンサをかませて低音をカットし、低音を出すユニット(ウーファー)には巻いたコイルをかませて高音域を減衰させてつなぐ。この音域の分配をさせる部分(ネットワーク、クロスオーバーフィルターなどと呼ぶ)で元の音声信号が加工されるので、音の新鮮度が落ちる。
フルレンジユニット(低域から高域まですべての音を1つのスピーカーユニットで再生する)なら、そうしたストレスを感じないで済むが、代償として、キラキラした超高域やど迫力の低音は諦めるしかない。
若いときは、耳も元気だったから、ドス~ンという低音やキラキラした高音に感動もしたが、年寄りにはそういう再生音はしんどいし、超高域はそもそも聞こえない。
となれば、追求すべきは「音の自然さ」「透明感」であろう。
ス~ッと身体に入り、ストレスを感じさせない音。それでいて、ただ緩くてモケモケしたような音ではなく、濁りのないスッキリした音。
チボリオーディオの8cmユニットは、そういう用途にはピッタリのユニットだったようだ。
夜中に小音量で再生したときなどは、そのよさが特によく分かる。音が小さくても隠れてしまう音がなく、全体のバランスをきれいに保ったまま歪み感のない音をスッと自然に出してくれる。
いい音を合理的に手に入れるコツ
オーディオとかカメラの話になると、ほとんど宗教か神話かトンデモか、みたいな話がまことしやかに跋扈する。
その手の話で有名なのは
⇒これ。
「高音質再生のためのメモリーカード」と謳うSDカード(64GBで参考価格が19,980円)なる代物に対してのAmazonレビューが大喜利状態になった。
「ピンポーン」と自宅のチャイムが鳴った時から、「お、この澄んだ高音域はあの製品が届いた音かな?」とクリアにわかりました。
このメモリーカードだと中居くんの音痴も直ってます 信じられないようですが本当の話です。
最初は他のチープなSDカードとの違いが全くわかりませんでしたが、100均で買った綿棒で耳くそを取り除いたら劇的に音質が向上しました!
このカードを購入以来,我が家のオーディオ音質は劇的に向上し,TVの映りも良くなり,ご飯も美味しく炊き上がるようになりました。家内安全,商売繁盛,厄除け,安産にも効果がありそうです。まさに奇跡の商品。
これを玄関のドアにぶら下げたら、あれほど悩まされた蚊が入って来なくなりました。もう手放せません。
あまりの音の良さに頭が痺れました
まるで聖母が語りかけてくるような暖かさを感じる、それくらい素晴らしく温かい音なんです
更に驚いたのは、イヤホンを外した時です
なんとイヤホンを外しても音楽が聞こえるのです!聖母の声も聞こえます、知らないおじさんの声も聞こえますがおそらくベートーベンでしょう、このsdカードのおかげで聖母や憧れの人が僕の頭に舞い降りてきたのです
粗悪なSDカードというのは結構存在する。データの読み取り途中でエラーが出たり、ひどいのになると、ある一定データ量を記録するとその後の信号がすべて記録されているようでいて記録されていない、などなど。これは実際に経験していることなので今さら驚かない。
でも、数百円の無印の中国製SDカードであろうがなんだろうが、ちゃんとデータの読み書きができるなら問題はない。SDカードに1万円以上出すほど馬鹿げたことはない。そんな金があるなら、D/Aコンバータ(デジタル・オーディオ・コンバータ=DAC)に金を使うべきだ。
デジタルオーディオでは、本来アナログである音声がデジタル信号に変換して記録されている。デジタル信号というのは、いってみれば0と1の数値の羅列だ。レコードの溝のように減ったりはしないので、保存メディアが壊れない限り、記録された音は劣化しない。
しかし、その0101の羅列である信号を最終的にはアナログ信号に戻さないとスピーカー(イアフォンでも同じ)から音は出ない。デジタル⇒アナログに戻すとき、使っている部品の品質や設計のよしあしで音質は大きく変わる。
しかし、デジタル信号で保存されている状態は変わりようがない。エラーが出ない限り、いくらコピーしても音は劣化しない。
音が変わるのは、デジタル⇒アナログに変換する部分(DAC)と、そのアナログ信号を増幅させるアンプ、そして最終的には音声信号を空気の振動に変えるスピーカーである。金をかけるならこの3点にかけるべきなのだ。
僕が今使っているミニマムオーディオシステムでいちばん金がかかっているのはDACで、1万円以上した。それでも、ぼ~っと聴いていればパソコンのマザーボードに組み込み済みの安価なサウンドボードのDACとの違いは分からない。でも、ちゃんと聴けば分かる。その違いのために1万円出すわけだ。
あたりまえだが、アンプとスピーカーでも大きく音が変わる。
アンプに関しては、デジタルアンプが出てきてからは、常識がガラリと変わってしまった。
アナログアンプでは重量級のトランスとか高級なコンデンサとか、高い部品を集めて美しい回路を組むことが美学だったが、面倒な部分を全部処理してしまう指先大のICチップ1つで、パワーはないが歪みもないクリアな音質が得られるようになってしまったからだ。
デジタルアンプは電力も食わない。場所も取らない。だから、どうせならイコライザーなどついていない、単純なパワーアンプのほうがいい。せっかくピュアな信号増幅をしても、安い部品で作ったイコライザーを通したら劣化させるだけだからだ。
デジタルアンプでは、
Tripath TA2020というチップを使った小さなアンプがマッキントッシュの数百万円のアンプとブラインドテストをしても勝った、というような話がいっぱい出てきてすっかり有名になった。
このチップはアメリカにかつて存在したTripathというメーカーが作ったものだ。
Wikiによれば、
1995年設立。創立者のAdya S.Tripathiはインドのワーラーナシーの出身で、1979年に渡米、IBM、ヒューレット・パッカード、ナショナル セミコンダクターに勤めた後同社を設立した。
1998年にはD級アンプの高効率を高音質と両立させたディジタル・アンプを「T級(class-T)」と名付けて発表、COMPUTEX TAIPEIにも製品を出展した。以降、トライパスはこの種の製品の先駆者として採用事例を増やしていった。1999年にはソニーと共同開発したディジタル・アンプが同社のデスクトップパソコン「VAIO PCV-MXシリーズ」に採用されたほか、2002年にはeMacにも同社のデジタルアンプTA2024が採用された。パソコン以外では、シャープやサムスンのフラットテレビにも採用された。
……とある。
他にも、
トライパスの最低価格モデル、15W出力のTA2020は3ドルで売られ、ラジカセやミニステレオに採用された。他のバージョン(最大出力は1000Wモデルまであった)は、ソニー、シャープ、東芝などにより、ホームシアター、ハイエンドオーディオシステム、テレビなどに採用された。
Tripath’s low-end, 15-watt version of the TA2020 sold for US $3 and was used in boom boxes and ministereos. Other versions—the most powerful had a 1,000-W output—were used in home theaters, high-end audio systems, and TV sets by Sony, Sharp, Toshiba, and others.
(IEEE Spectrum Chip Hall of Fame: Tripath Technology TA2020 Audio Amplifier より)
などと紹介されている。
オーディオ史上においては画期的かつ伝説的なICチップであり、ガセネタ伝説の類ではなく、れっきとした実績があるのだ。
昔よく売れていた定価69800円クラスのプリメインアンプ(重さが何kgもあるやつ)と比較しても、トライパスのICチップを使った数千円のちっこいアンプのほうが透明感のある音がする。
パワーがないといっても、中高年が部屋で鳴らす常識的な音量の範囲内ならなんら問題はない。
あまりにも安いので、うちにはこのタイプのデジタルアンプが3台ある。
1台はテレビにつないであって、トールボーイ型の大型スピーカーを鳴らしているが、面倒なので24時間365日電源は入れっぱなしだ。それでも電力を食わないし熱も出さないのでなんでもない。6年以上電源は入ったままだが、故障もない。
今目の前にあるメインで使っているアンプはTA2020の上級版とされるTA2024というチップを使い、必要最小限度の他の部品(コンデンサなど)もそこそこまともなものを使っているとされている製品。それまでのTA2020Aを使った安価版アンプと交換したときの比較では、違いはほとんど分からなかったが、微妙に音がしっかりしているようにも思えたので(プラシーボ効果かもしれないが)、以後、これを使い続けている。
加齢で聴力が落ちている中高年にとって、合理的なオーディオライフはこういうものだろうと思う。
つまり、DAC部分とアンプ部分をある程度満足のいくものにした後は、スピーカーを変えて遊ぶという程度。バックロードホーンスピーカーを自作するなんてのはとても楽しい趣味だ。