さて、テナーウクレレを買った理由の一つは、Low-Gチューニング用のウクレレが一つあったほうがいいかもしれないと思ったことだった。
普通のウクレレは4弦のC音を1オクターブ上げてチューニングする。これをHigh-Gチューニングという。1弦と4弦は1全音しか違わないわけで、これによってウクレレ特有のカラカラ、コロコロという甲高いコードの響きが生まれる。
しかし、ギターの上4弦をイメージしてソロを弾いたりすると、1-2-3弦と下がってきてそのまま4弦を弾くと突然オクターブ上の音が出るのでずっこけることになる。
それを避けるためには4弦のCをギター同様に低く調弦するのがLow-Gチューニングだ。(……と偉そうに書いているが、実はこの歳になって初めてウクレレという楽器に触るまで、ウクレレのことはまったくといっていいほど知らなかった)
人気ウクレレ奏者の1人にジェイク・シマブクロ氏という人がいる(これも今までは名前だけはなんとなく聞いていたのだが、演奏をちゃんと聴いたことはなかった)。彼などはどっちのチューニングで演奏することが多いのだろうと、YouTubeで動画を探してみたら、使っている楽器はテナーみたいだが、チューニングは普通にHi-Gだった。
↑これは3弦が切れたウクレレでも何か弾けないかと考えたときにできた曲だという。4弦がHigh-Gであることをうまく利用している
High-G の4弦を外す。ちなみに買ったままのウクレレに張ってある弦は、フロロカーボンらしい。セットになっている替え弦にはDonnerブランドが印刷されていたが、どこ製だろう。Martinのフロロカーボンよりはおとなしい音だ
Amazonで買ったLow-Gチューニング用の弦。Low-Gチューニング用の4弦は巻き弦のものが多いらしいが、これは巻き弦ではない
つけようとしたらサドルの溝が狭すぎて入らず。仕方なく、慎重に少し削ってギリギリのところで無理矢理入れた
ナット側の溝も狭くて収まらなかったので、ほんの少し削った。こちらのほうがサドル側よりも削りすぎが怖い
動画で詳しく解説↑
やってみて、なぜウクレレの4弦がオクターブ高いチューニングなのかがよく分かった。Low-Gチューニングにするというのは、ウクレレを「4弦しかないミニギター」として使う発想なのだ。それではウクレレの存在意義をなくしてしまう。「負けの思想」なのだなあ、と気づいた。
ジェイク・シマブクロ氏などは、そういうウクレレをなおかつソロ楽器として成立させるべく奮闘しているわけだが、僕はそこまでウクレレを追求するつもりはないし、必要性も感じない。
やはり、ウクレレは「敷居の低い鼻歌伴奏楽器」としての価値が第一義だろうと思う。
それでも、High-Gチューニングのウクレレで『Two Note Waltz』を弾いてみたいという気持ちになったりして……。
そんな風に人を弾き込んでいく力がウクレレという楽器にはあるんだろうな。