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のぼみ~日記2016

2016/03/20

しらさぎ美術館と建築家・押尾章治氏


宇都宮に車を車検のため出しに行った帰りに、せっかく宇都宮まで出るのだから、どこか面白そうなところに寄ってみようと思って、ネットで見つけた「しらさぎ美術館」というところに行ってみた。
長いこと更新されていないブログがあって、そこに「第3、第4日曜日開館」とあったのだが、今日はまさにその月に2回しかない開館日。 宇都宮美術館や栃木美術館はいつでも行けるけれど、こちらは今日を逃したら行けないかもしれない。でも、今でもやっているのかな?

不安を感じつつも到着。
看板もあるし、その建物もある。でも、どうすればいいのかな?
建物の前(というか間のトンネル部分)を通り抜けると、中からラジオかテレビの放送のようなものが漏れ聞こえてきたので、人がいるようだ。
思いきって「こんちは~」と声をかけると、中から「はい~」と返事があって、館長の山口俊一さんが登場。

ここは要するに個人宅なのだった。
山口館長は建物の中と外を案内しながら、これを建てたいきさつやらなにやらを1時間くらい解説してくださった。


展示物は雑多。ブログには絵画でいくつか面白そうなものが紹介されていたのだが、この日は見られなかった



「天然の掛け軸」だそうだ



額込みで3000円で購入したという絵。手前は古い電話機など、雑多なものがいろいろと



窓から外を見たところ



両親が地区のゲートボール大会で優勝したときの金メダルが床に埋め込まれていた。両親の思い出と地域の人たちとの交流の証をここに埋め込んでずっと残したいという思いからだろう。館長の人柄が表れている



トンネル部分の屋根。曲線が多いので、職人さんは大変だっただろう



トンネル部分と庭は丸い通路で一周できるようになっているのだが……



そこには趣味の鉄道模型レールが敷かれていて、手こぎトロッコで遊べる



近所の子供たちは喜んだことだろう。僕もちょこっと乗せてもらった



このトンネルは奥の住宅街と県道を結んでいて、住民たちが自由に通れるようになっている



住宅街の側から県道方向を見たところ



庭に出てみる



庭(西)側から見たところ



このH鋼は、「自然に錆びていく変化を風景として楽しむアート作品」だそうだ



信号機。山口館長は元JRの職員だったそうだ



これが「駅」



庭のむこうには田園風景と、結構通行量の多い道路



庭の梅が満開だった



開ききったフキノトウ



夕日が当たると赤く反射してきれいだと説明される。外壁も屋根もガルバリウム鋼板



東側から見る



退職金を使って地域文化に根ざした美術館を建てたいというのが夢だったそうで、当初1500万円の予算で考えて、実際にその予算で設計もしてもらったのだが、お金が足りず、後からコストダウンして再設計してもらって建てたのがこれだそうだ。
屋根と外壁はガルバリウム鋼板(いわゆるトタン屋根に使われる建築材)。床はコンクリート打ちっ放し。確かに材料費などは安く抑えられているのだろうが、設計がハンパない。
これを設計した建築士・押尾章治氏に俄然興味を抱いた。

押尾氏は、最近では新国立競技場設計案コンペで話題になった隈研吾氏の事務所で腕を磨いた後、2001年に仲間と一緒に建築事務所を立ち上げた。
現在事務所は、野川アトリエ、東京事務所、宇都宮支所の3か所にあるらしいが、この筆頭に載っている「野川アトリエ」は、僕が卒業した川崎市立野川小学校のすぐ目の前にある
Googleのストリートビューを見たら、小学校周辺がすっかり変わってしまっているので驚いた。
僕が通っていた昭和30年代後半当時は家もまばらで、第三京浜もまだ工事中。雨が降ると関東ローム層の赤土がどろどろになってぬかるむ道を通った。子供たちは素手でヤマカガシを捕まえて2つに裂いたり、アメリカザリガニを捕まえてはその肉を餌に別のザリガニを釣って遊んでいたものだ。今はもうそんな光景はないし、そういう時代を覚えている人も少なくなっただろう。

押尾氏の事務所WEBサイトに、竣工当時のしらさぎ美術館の写真がいっぱい載っている
YouTubeに解説している動画もある↓。



水田と里山が広がる一角に古くからある集落.その南の端に,その敷地はあった.南北の2本の道に挟まれたその土地で,庭は集落の人びとの南北の道を繋ぐ通路として開かれ続けてきた.30年間続けられてきたこの習慣から,庭は道になった.個人所有の敷地の中を人が自由に通り抜けていく.土地所有の考え方からすれば奇妙な光景ではある.しかし少しの譲歩によって,私有地が公共性を持った姿がここにあり続けていた.
(押尾章治/新建築201103号 より抜粋)

これがやはりいちばん興味深い話かもしれない。
山口館長は地域の人たちからは相当な変わりものと見られているだろうが、土地を開放して地域の人たちの利便性を大切にしてくれるありがたい人でもある。その緩さというか、ほんわかした空気感がなんともいえずいいなあ。

一度しかない人生なのだから楽しまなければ、という館長。その通りだ。
昨日がダイサギで今日はしらさぎ美術館。なんかつながっていて面白かった。









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「福島問題」の本質とは何か?


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『裸のフクシマ』以後、さらに混迷を深めていった福島から、若い世代へ向けての渾身の伝言。
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第1章 あの日何が起きたのか
第2章 日本は放射能汚染国家になった
第3章 壊されたコミュニティ
第4章 原子力の正体
第5章 放射能より怖いもの
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裸のフクシマ  『裸のフクシマ 原発30km圏内で暮らす』(講談社 単行本352ページ)
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第1章 「いちエフ」では実際に何が起きていたのか?
第2章 国も住民も認めたくない放射能汚染の現実
第3章 「フクシマ丸裸作戦」が始まった
第4章 「奇跡の村」川内村の人間模様
第5章 裸のフクシマ
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