WEB上には、「実際のあさ(浅子)はどうだったのか、というまとめ的ページがいっぱい出現している。
⇒これなんかよくまとまっていると思う。
ドラマとの違いを意識していくつかポイントを抜き出すと……、
- 浅子の父・三井高益は正室との間に三女一男をもうけたがいずれも早世。別の三井家から高喜(当時35歳)を養子にとり、48歳で家督を譲る
- 浅子は父・高益50歳のときの娘だが、正室の子ではない。姉も正室の子ではない。しかも浅子とも腹違い
- 父・高益は浅子が9歳のときに死去。以後は、血のつながっていない兄で家長の高喜が浅子にとっては父代わりで、嫁いだ後も商売のやり方などでいろいろ影響を受けているようだが、ドラマでは割愛されていて、父親がずっと生きていたことになっている
- 2歳上の腹違いの姉・春は浅子が嫁いだ6日後に両替商の天王寺屋五兵衛に嫁ぐが、天王寺屋没落後、長屋住まいで苦労しながら25歳で死去
- 朝の夫となった広岡信五郎は、浅子との間に一女をもうけた後、浅子のお付き女中ムメ(小藤)を側室にして三女一男をもうける。浅子はそれをお膳立てしたようで、お付き女中と夫との間に生まれた4人の子を可愛がる。ムメとの間に生まれた長男松三郎は後に大同生命保険4代目社長に就任
事実はドラマより奇なり。
ドラマでは、姉はもっと長生きで、大阪市中で苦労するのではなく新天地で夫と農家を始めるということになるらしい。
夫の側室には自分のお付き女中(友近が演じるうめ)ではなく、姉につけられた若い女中・ふゆがなるらしい。
この話に興味がわくのは、自分の祖先に少しかぶるところがあるからだ。
僕の母方の実家は細野といって、江戸末期、群馬県伊勢崎市で2番目の長者だったという。蝋燭問屋を営んでいて、門から母屋までは何百メートルもあり、その通路の脇には使用人の家が並んでいたというから、まさに豪商。
そこに嫁に来たのが、白河小峰城最後のお姫様で、一時は棚倉にいたというから、白河藩最後の大名・阿部家の娘だったようだ。
それが僕の祖母にあたる。
祖母は豪商に嫁いだが、夫(蝋燭問屋の主)が死んだ後、商売のことなど何も分からないままあっという間に店をつぶしてしまった。
武家の出だったから気位が高く、夫の死後、つきあいのあった商家などから「おたくには○○円の貸しがある」などと言われると、裏もとらずに金を渡していたという話だ。
祖父(蝋燭問屋)と祖母の間には2男5女の子がいて、僕のお袋(昭和3年生まれ)は4女。下から2番目だった。
次兄は頭がよかったが身体が弱くて30を前に死去。長兄が父親代わりになって妹たちを育てたが、太平洋戦争で徴兵され、ボルネオ島に通信兵として渡り、その後はシベリア抑留。
長兄が帰国後は白河の外れにある白坂という荒れ地に開拓農民として入り、2町7反を開墾した。
このへんの話は、ドラマの中でこれから「あさ」(波瑠)の姉「はつ」が歩む没落人生にも似ていて、ますます興味がわいてしまう次第。
それにしても、親父もお袋も、二代前までは豪商だったというのはなんとも皮肉だなあ。
しかしまあ、僕らの世代は今のところ戦争を経験していないわけで、幸せだ。
死んだお袋はよく「よしみつは世が世なら侍大将として戦の先陣をきって戦わなければならなかったのよ」と言っていたが、もちろん、そんな運命も背負わなくてよかったわさ。