なんでこんなことをしているんだろうと、自問自答するのは仕方ない。
僕なりの答えは簡単ではないのだが、自分でもこの気持ちをいつかは忘れてしまうと思うので、備忘録として書いておきたい。
今、世の中は急速に息苦しく、生きづらくなっている。(以下のデータは主に
⇒こちらを参照した)
国の高齢化率(人口全体に対する65歳以上の割合)は安倍政権発足前は24・1%。今は26%で4分の1を超えた。ちなみに1935年には4.7%だったそうなので、80年間で20%以上(20人に1人以下だったのが4人に1人以上に)上昇したわけだ。
70歳から74歳の医療費自己負担割合は1割から2割に上がり、65歳以上の介護保険料は月額平均で4,160円から5,514円へと上昇。
普通の感覚だと、老人大国になっていく中で、その分つましく暮らしていこうと考えそうなものだが、国家予算は90兆円台だった2012年度に対し、今年の当初予算は96兆円を超えた。
格差社会は急加速している。500万円以上の高級車がどんどん売れる一方で、軽自動車税を値上げ。古い車に乗り続けると自動車増税。
株価は安倍政権発足前は1万円前後だったのが今は1万8000円前後で株主はウハウハ。
為替は1ドル84円台だったのが120円前後へと急速な円安になった。飲食店などは原材料の多くを輸入穀物に頼っているが、単純に円/ドルのベースで考えると、安倍政権発足前に10kgあたり1万円の穀物があったとすると、今は同じ量の穀物を買うのに1万4000円以上払わなければならない。
消費者物価指数は上がっているのに給与は上がらない。非正規雇用率は安倍政権前に35.5%だったのが今は37.1%に上がっている。貯蓄ゼロ世帯は26.0%から30.4%に急増。そんな中でメニューを値上げするわけにもいかないから、個人経営の飲食店などは大変な努力をしながら経営を維持している。
飲食店だけでなく、優秀な技術と真面目な労働倫理を持っている中小企業は資材輸入コストが急増して倒産続出。
そんな中での安保関連法案や辺野古への基地移設強行。
「フクシマ」の後始末ができないどころか原発再稼働だの輸出だのと開き直り、金が出るとなればさっさと国立競技場を壊してしまい、その後の馬鹿さ加減は世界中から嘲笑される始末。
独裁者気取りの首相の首に鈴をつける者がいないどころか、自民党総裁選は候補が出ずに無投票。
まともな神経の持ち主なら、こんな世の中で生きていくのは嫌になる。鬱病、自殺者が増えるのはあたりまえ。
それでも、僕らは生きていこうとする。
心がつぶされないように日々の行動や考え方を工夫して、残されたわずかな隙間を探し、可能性を見出そうとする。
日光どっと倶楽部、日光クリックなどは、今の自分にできる「彫刻屋台精神」の継承……というとかっこつけすぎだろうが、せめて「みんな必死に生きている社会に自分もいるんだ」という思いからの行動、作業だ。
阿武隈でも同じようなことをやり始めていたが、「フクシマ」で吹っ飛んでしまった。
吹っ飛ばされたというよりは、「想定外」のビッグマネーが流入してきて、引っかき回された。その力はすさまじく、もうこれ以上そこにいることはできない、いても何もできないと知った。
その経験も踏まえて、今は無理せず、期待せず、見返りを考えず、でも諦めることもせずにやっている。
「公用車がクラウンだとはなにごとだ。レクサスに替えろ」と内閣府に突っかかった地方創生大臣は、一声で億単位の金を動かせる。でも、彼は770円でうまいヒレカツ定食を食わせる店の苦労など知るよしもない。
僕はランチ代を100円安く設定することの大変さを知っている。大変な苦労をしながらも、今日も笑顔で迎えてくれる店主の気持ちに感謝している。
その視点でできることをしている。