のぼみ～日記　2015/04/15　ウッディハウス

助手さんが留守で、ご飯は納豆ご飯、レトルトのシチュー、カップラーメン、セブンイレブンでだいぶ前に買ってあった冷凍パスタ……と続いて、面倒なので外に。

ウッディハウスというのはスーパーオータニやコメリなどが並んでいる道沿いにあるので、ここに引っ越して来た当初から存在は知っていた。ああ、ここにこんなお店があるなあ……と、常に横目で見て通り過ぎ、３年以上が経過したわけだ。
最も頻繁に通る道にあるのになぜ一度も入ろうとしなかったのか？
多分、表に出ているキーコーヒーの看板と「スパゲッティ＆ピザ　ケーキ＆コーヒー」という表示のせいだろう。
つまり、ここは基本的には「よくある喫茶店」で、食事は多くの喫茶店が「軽食」として用意している冷凍物の営業用商品を解凍して出すだけなのだろう……と想像していたのだ。
店名も店の外観も「ああ、こういうタイプの喫茶店ってあるよね」と感じさせる典型というか、目に入った時点で脳が勝手に体験から情報処理をするような感じ。さらには、都会から脱サラで出てきた40代くらいの人がログハウスで喫茶店をやるんだと意気込んで始めたんじゃないかなあ……なんて、勝手に想像していた。

ふぃふぁ山荘さんも、

日光に引っ越してきた17年前から、気にはなっていたけど、中々入る機会がなかったこのお店は、この界隈では一番古いカフェ。

……と書いている。このリポートが去年の11月。あれだけ隠れ家的お店や知られざるお店を探索しまくっているふぃふぁ山荘さんが、17年間素通りしていた……多分、僕と同じイメージを抱いていたんじゃないだろうか。
つまり、よくある平凡な喫茶店であろう、というイメージ。
キーコーヒーの看板と「軽食」という文字が結びつくと、多くの人たちは都会の郊外にある平凡な喫茶店と、業務用スーパーで仕入れてくるような営業用食材、冷凍食品を温めてちょっとトッピングしたようなスパゲッティやらピラフやらピザを想像してしまう。

ところが、ふぃふぁ山荘さんのリポートを読むと、そうではないらしい。
なすの包み揚げ？　おいしそうではないか。
……というわけで、遅ればせながら行ってみた。

手作りキルト？のメニューには「日替わりランチ」というのがあるので訊いてみたら、壁に貼ってあるメニューから選んでほしいと言われた。どうもこのメニュー以外に「日替わりランチ」というのがかつてはあったのだが、今は辞めてしまったということのようだが、そういう説明はなかった。
よくよく見ると、このキルト風メニューには「軽食　手作りカレー600円　ピザパイ（ミックス）800円　日替わりランチ800円　スパゲティ（ミート　ナポリタン）650円　ホットサンド　650円」と出ている。ハンバーグもなすの包み揚げも出ていないから、かつてはこういうメニューだったのだろうか。
テーブルの上のメニューはまた違っていて、餃子や焼きうどんなんかも書いてある。さらには、壁にかかっている木製のメニュー表示の脇には、紙に書かれてラザニア、ドリア、グラタン、カツカレー、ビーフシチュー……などなど、かなりの数のメニューがあるようだ。まとめて表示していないので、どうにもよく分からない。

まあいいや。言われたように、壁に掛かっているセットメニューから選ぶことにする。
ふぃふぁ山荘さんがなすの包み揚げとハンバーグを紹介していたので、ここはそれ以外から選ぼうと思い、「野菜ホーク（ポーク？）肉巻セット」を注文した。

内容は全然悪くない。水菜のお浸しとサラダのドレッシングの味が濃すぎたくらい。料理は十分おいしいし、価格も納得できる。
ただ、とにかくあらゆることが分かりづらい。レストランに力を入れたいのかカフェなのか。キラーメニューは何なのか。カレーなのかハンバーグなのかパスタなのか。ランチタイムはあるのかないのか。
こんなに大きくてきれいな本格ログハウスの入れ物があるのに、場所がスーパーとパチンコ屋の隣りで目の前はひっきりなしに車が通る生活道路というロケーションからも、食事を楽しむのだ～、という「物語」が想像しづらいのだと思う。
実際には、想像以上に広い店内に入れば、外の音も聞こえず、ゆったりできるのだが。

外食するというのは、外回りの人たちにとってはコストパフォーマンスを最重視した「生活の一部」だけれど、一般の人たちにとっては、ちょっとした非日常を味わいたい、つまり「食」に絡めたプチ物語を体験したいという欲求があるからお店を探し、出かける。
お店の側も同じことで、生きていくための手段としてシビアにコスト計算しつくしてつぶれないことを最重視してやっていくお店がある一方で、自分の店を持ち、自慢の食事を出してお客さんの喜ぶ顔が見たいという、生き甲斐重視でやっているお店もある。
で、多くのお店は、その狭間で苦悩している、というのが現実。国の失政で庶民の経済状態がどんどん圧迫され、個人経営の商店や中小企業もやっていけなくなっている現状がさらに追い打ちをかける。

ところで、このお店は、食べログのリポートなどを読んでも、お店で飼っている犬が自由に出入りしていて、お客さんも犬を連れたまま店内に入れるらしいのだが、今日は犬の姿は見えなかった。
オーナーさんが終始暗い顔をしていたのが気になったが、まさかお店のわんこに何か……いやいやいや。昼寝していただけなのだろう。きっとそうだ。

僕と同様に、多くの人がこのお店の中身をイメージできないまま、長いこと素通りし続けているような気がする。
隣のパチンコ屋は常に繁盛しているし、店の前の交通量は相当なものだし、「かつ亭石川」以外には付近に超人気店はなさそうだし、工夫次第でもっとお客さんが増える余地はあると思う。看板ひとつ変えるだけでもいけるのでは？
「味自慢の洋食屋さん」とか「ランチがおいしいカフェ。わんちゃんも店内OK」とか、そういう表示にするだけで、イメージが広がる。
あと、カフェなのだから、ランチタイムにはデミタスカップの珈琲がついてくる、といったサービスはあったほうがいいと思う。