のぼみ~日記 2015

2015/03/11の2

黙祷サイレンを聴きながら

3月11日。

テレビでは3.11特番をやっているが、いくつか気になるものを録画セットしてから復活の沢に向かった。
この前、ふと思いついたこっそりビオトープ(コッソリープ)を試してみるため。
2日かけて準備してある。
ビバホームで大きめのプランターを2つ購入。翌日、底の水抜き穴をシーラントで埋めた。
このまま埋めただけで使えるか、それとも側面上部に水の流入・流出用の穴をドリルで空けたほうがいいか……。
昨日は草刈り機で山側にはびこっている篠竹(スズタケかな)やら蔓やらを刈り取った。これが結構大変だった。

プランターはとりあえず穴をあけてない状態で現場に持ち込んで埋めてみたが、あ~、これはやっぱり穴は空いていたほうがいいと判断して、もう一度家に持ち帰ってドリルで穴をあけてから戻った。

沢の底は思っていた以上に石がいっぱいでスコップがなかなか入らない。
それでもなんとか掘り下げてプランター2つを埋めた。
流されないように大きめの石をいくつか入れて、泥も入れる。さて、これでうまくいくのかな……。しばらくは様子を見ながら調整?かな。

この手前には泥の壁だけで作った水たまりも。これは大雨とかで簡単に崩れそうだけど、比較のために……ね。
早くも水の流入が止まって水が抜けていたから、やはり泥の壁だけで作るのは難しそうだ。
流入口に塩ビパイプでも埋めると少しはいいかもしれないが……。

作業をしている最中、遠くでサイレンが鳴った。地震が起きた時刻になったらしい。
周囲には誰もいない。

4年前のこの日、この時刻、僕はお隣のジョンと一緒に川内村の家の庭にいた。4年経った今、日光の地で、こっそりカエルのための避難所?を作っている。
こういうことが「生きる」ってことなのかな。


このへんに埋める


スコップが入らず、かなりの重労働になった


側面に小さな穴をいくつかあけたプランターを埋める


こんな感じになった


上流側を見る

とりあえず今日はここまで。
明日以降、様子を見ながら少しずつ調整してみよう。場合によってはプランターの周りに石を積んだりしたほうがいいかもしれない。

家に戻り、録画してあった震災特番をいくつか見た。
FNNのやつは、賠償金格差問題で取材を受け、一旦は断ったが、食い下がられたので、その後、メールでなぜ取材を断るのかを少していねいに説明し、さらには今後このテーマで取材を続けるなら、せめてこういう点だけは注意してほしいという要望を伝え、いくつか知っている実例も教えた。
いわき市が30km圏を早々に切り捨ててしまったことで、かなり汚染された地域なのにそこの住民が十分に賠償をうけられなかったことなどはとりあげるべきではないか、とも書いた。

福島県の都市部、特に浜側からの避難者が集中しているいわき市内では、それまでの稼ぎの何倍もの賠償金が振り込まれ、仕事をする気持ちが失せて退廃の極致とも言うべき生活を送り始める人たちと、インフラを圧迫されて迷惑しているいわき市民との間で相当な軋轢が生じていることはすでによく知られている。
だから、テレビがそこに入っていくと、「賠償金成金」の生活ぶりばかり取り上げて、視聴者の感情に訴えるのだろうなと容易に想像ができた。この問題を扱うなら、同じ放射能被害者であっても、切り捨てられ、財産を失いながらも自力で立ちあがろうとしている人たちの姿も併せて伝えなければ特集を組む意味がないだろう。

取材班は、いわき市の30km圏で生活していた家族が長野に移って、賠償を十分に受けられないまま、自力で稼業を再開した姿も取材したとのことだったが、結局それは一切放送されなかった。
放送されたのは「賠償金成金」の映像が中心。予想通りだ。
1億数千万円の賠償金をもらっている家族とか、一回の振込が2800万円の家族(通帳までカメラの前にさらしてた)が毎日大型テレビの前でゲーム三昧とか、そういう映像。
番組制作側にとっては「おいしい映像」というやつだ。
確かに、それはインパクトのある映像ではあったけれどね。
いろいろな立場の人たちが悩みながらそれぞれの選択をしてきた。しかし、どんな立場の人が見ても、こういう映像は不愉快極まりない。疲れる。

居住制限区域・解除準備区域では、財物賠償額が帰還困難区域の6分の5に減らされている。道一つ隔てただけなのに納得できない」と言う人の例も紹介していたが、その両者はどちらもとりあえず「賠償される」人たちだ。
いわきの30km圏などは、いわき市が「避難地域指定から外してくれ」と国に言ったために、財物賠償どころか、精神的損害賠償(例の一人ひと月10万円)も外され、個々に東電と交渉しなければならなくなってしまった。
それでも、借金をしたり借地・借家を探し回って遠く離れた土地で稼業を再開させた人たちもいる。そういう例は、取材しておきながら放送しない。分かりづらいし、視聴者受けしないから。

いずれにしても、取材される側はものすごく疲弊する。金の話というのは、ただでさえ疲れるのだから。
うちだって、「フクシマ」で失った財産の額を計算なんかしていたら、腹が立って疲れるばかりだ。吹っ切って残りの人生を少しでも有意義に過ごしたいから、蓄えを切り崩して移転を決めたのだ。
もちろん、財物賠償など一銭も受け取っていない。預金を切り崩し、持っていた家を売ってなんとかやりくりした。
ちなみに今住んでいる日光の家は、川内村の家より安かった。どちらも数百万という範囲で、千万の単位ではない。そういうレベルで必死にやりくりしているのだ。
理不尽な形で財産を失う一方だが、カネを巡る闘争で疲弊し、人間としての品性も危うくするくらいなら、身を切ってでも新しい生活を組み立てるための努力をしたほうがいいと考え、「カネ闘争」を切り上げた人たちは他にも大勢いる。


とにかくね、この手の「特番」はもうお腹いっぱいだよ。
いちばんの問題は、どの局も、好奇心に訴える手法だけで、問題の根源には一切踏み込もうとしないこと。こんなに危険だとか、こんなにひどいとか、扇情的な絵作りをしながら、やりっぱなし。引っかき回すだけでやり逃げ。そもそもなんでこんなことになったのかという根源に迫らない。
せめて、ひとつだけ忘れてほしくないのは、わけ分からない除染にしても、うまくいくわけがない凍土壁計画にしても、毎日テレビゲーム三昧の一家に一回で2800万円振り込まれる「賠償金」にしても、原資は全部税金、あるいは総括原価法式で守られている電気料金だということ。払っているのは我々。出すのを拒否できない金だってこと。

ま、腹を立てても、呆れても、嘆いても、きりがないから、もうやめよう。

一日経過して水が澄んだところで確認。中の土の量とか、調整がいろいろ必要かな。
失敗しそうな予感も大だな。
水を相手にするのは難しい。水棲生物って、それだけ貴重な存在なんだよなあ。気がつけば、ドジョウが絶滅危惧種なんだもんなあ。
東北に棲息するカエルが全種、家の周囲にいた川内村の環境は、今の日本では稀少価値。ここ、日光の家の周りではすでに環境が破壊され、水たまりや池がなくなってしまっているので、全種なんて無理。
感じとしては、
トウキョウダルマガエルを100とすれば、アマガエル200、ヤマアカガエル3(住宅地や田んぼではほぼゼロ)、ニホンアカガエル2、シュレーゲルアオガエル2、ツチガエル0~0.5、モリアオガエル0、タゴガエル0、カジカガエル0 ……といったところか。アズマヒキガエルもまだ見ていない。絶対にいると思うのだが、卵さえ見ていない。
せめてこのへんで地域絶滅寸前のツチガエルが、1シーズンでも長く生き延びられるといいのだが。


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