2014/11/05

『鬱の村』(川桐浤二)



川内村に移住してきた川桐浤二さんは、「フクシマ」被災後に佐渡へ移住。
終の棲家として選んで余生を送ろうとしていた川内村で体験したことを伝えようと、3年連続で新潟日報文学賞の小説部門に応募し続けた。応募作を含めた作品集を自費出版もしている。
2012年、2013年と2年連続最終選考で落ちて、3年目の今年、ついに受賞した。
『鬱の村』というタイトルで、30枚の短編(30枚上限が応募規定)。

おそらく川桐さんは必ずしも「小説」を書きたかったわけではない、と思う。
自分が体験したこと、見たこと、考えたことをなんとかして「外の人たち」に伝えようとしたのだろう。
その手段として、移住先の地元紙がやっている文学賞に着目した──ということではないか。

思えば、2011年の夏から2012年前半くらいまでは、僕にとってもありとあらゆることが「想定外」に推移していって、怒りやら絶望やら虚無やら……いろんなものが渦巻いていた。
そんな中で書いたのが『裸のフクシマ』だった。
あの時期、同じように、たくさんの人たちが、何かしなくちゃ、言わなくちゃ、書かなくちゃ、ってハイテンションになって、本を書いたりネットで訴えたりデモに参加したり……いろいろやっていた。
「外の人たち」も、ボランティアに参加したり、被災地で行われるイベントに出向いたり、歌を歌ったり、これまたいろいろやっていた。でも、なかなか両者の思いは重ならない。
「フクシマ」がなぜ起きたか、起きた後どうなったのかを実際に体験した僕たちは、「本当はこうなんだよ」「一番の問題はそこじゃなくてこういうことなんだよ」という思いが強いのだが、その本質部分はなかなか伝わらない。共有してもらえない。マスメディアが中に入って、情報を脚色し、勝手に演出した絵作りをして流したために、真相が伝わりにくくなったという一面もある。

今は僕も少し「落ち着いた」、と言うと語弊があるかもしれないが、「要するに日本中が共犯者なんじゃないか」と分かったので、怒りや絶望が空中分解しているような感じだ。空中分解した怒りや絶望が、塵のようにまた自分の上に降り積もる。
このまま呑み込まれることはないぞ、という気持ちは強く持ち続けているけれど、目的の置き場所を、本来の自分の生き方に戻したい。残された時間はもうあまりないのだから。

川桐さんが3年連続で書き続け、出し続けたという、そのエネルギーと粘り強さに驚嘆する。

新潟日報文学賞の受賞作は新聞紙面に全文掲載されるので、メジャーな賞を受賞して数千部刷られる本よりも多くの人の目に触れるかもしれない。
一部を抜き出して紹介させていただきたい。





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