オリオン座

夜中に表に出たら、オリオン座が……。冬の星座だよねえ。もう夏は終わって、寒くて長い冬が待っているのか……と思うと、かなり寂しい。

日刊ゲンダイ9月29日号に『日本総研・藻谷浩介氏 「安倍政権は経済的な“反日”の極み』と題したインタビュー記事が掲載されている。

すごくまっとうなことを述べているだけなのだが、そのまっとうなことが今の日本ではきちんと報じられていないだけでなく、マスコミが率先して大ウソを流して間違った方向に誘導しているから困る。
要点を少しまとめてみると、

「原発が止まったから、火力発電所用の石油輸入量が増えて貿易赤字国になった」「国富を流出させないためには再稼働が必要だ」という話を、多くの人が信じ込んでいるが、とんでもない話で、真犯人は政権が自分で誘導している「円安」

日本の輸入は野田政権の時に６６兆円、そして安倍政権の時に７７兆円と、１年間で１１兆円も増えたが、そのうち石油・ガス・石炭は３兆３０００億円、３割で、７割は食品や雑貨やスマホなど、燃料以外の商品の輸入額が円安で膨れ上がってしまったもの

燃料代３兆３０００億円の増加も円安が原因で、原発停止が理由ではない。原発は野田政権当時から全部止まっていたのだから。日本の石油や天然ガスの輸入量は国民や企業の省エネ努力のおかげで、原発事故前の２０１０年も、安倍内閣の昨年も、２億５０００万キロリットルと横ばいのまま

……つまり、原発が止まる前も止まった後の今も、燃料輸入は増えていないのだ。

日本にとって石油や天然ガスなどの燃料輸入は食糧と同じで、途絶えれば国民の生活は成り立たない。しかし、工夫することで売れ残り食品の廃棄などを減らせるのと同じで、省エネを追求することで燃料消費量を減らす、増やさないことはできる。
一方、原発というのは発癌物質や毒物をたっぷり含んだ菓子のようなもので、食ってはいけない。健康を害する菓子を製造・販売している人たちを儲けさせるために、「これを食わなければ飢えちゃいますよ」と嘘を流布しているのがマスコミ。それを信じている多くの国民……。

日本は２０年前から、１人当たりのＧＤＰは世界２０位以内の水準。失業率も先進国で最低水準なのに、「もっと稼いでＧＤＰを増やさなければならない」と政治家は叫び、そう言えば、支持率が上がる。そのために刹那的な「マネー資本主義」に走っている。その結果、未来のために残さないといけないものまで使い尽くし、今稼ぐために、残してはいけないものを残している。具体的には借金と汚染物質

このまっとうな主張がなぜか通らない、無視されて、暴走政権を傍観しているだけの国民。
国民に現実を知らせるどころか、政権の広報活動に専念して嘘を垂れ流し、まともな主張が表に出ないように動くマスコミ。

いい加減、自分の頭で考える癖をつけないと、この国の民度はとことん落ちていき、取り返しがつかなくなる。

株が上がったと浮かれている人は、「国全体が赤字になっても、自分だけは儲けることができた」と喜んでいるが、それを「政権の成果」と囃していていいのか

株なんて持っていない人たち、為替変動ゲームなんてしたことがない人たち、真面目にコツコツ働いている人たちが、実体のない数字を動かして儲けている人たちを一生懸命支えている。