2014/09/17

CDという「もの」

『Digital Wabi-Sabi ─As Easy As EWI』はすでに9月6日から販売が始まっていて、世界中でダウンロード購入できる。
販売はアマゾンやアップルのiTunesストア、SONYのmoraなどだ。
取次店にデータを送って登録費用をオンライン決済すれば、あとは販売業者(アマゾンなどの)への納入から著作権料の支払い(日本国内ならJASRAC)まで、全部お任せでやってくれる。とても楽だ。
今回は「形」を残してみたかったのでサンプルCDを焼いてみた。
昔だったらこんな形のものが店頭に並んだはずだが(今でも、そのようにして売っているが、タヌパックではやらない)、僕としてはもう、音楽CDアルバムというのは「売る」商品ではないなあと感じている。デジタルデータを再生しているのだから、ディスクに入っている必要がない。ハードディスクやメモリの中に形のないデータとして蓄積され、聴きたいときに再生されるだけの商品。
しかし、こういう風に、最低限度の「形」を与えてやることで、僕らアナログ世代は一つの達成感が得られる。
見開き紙ジャケットというのがなかなかいい。あのジュエルケースというのはいただけないね。すぐに角が割れるし。

最近は、何か一つ、創作物を形にするたびに、これが最後になるのかもしれないという気持ちを抱く。
『3.11後を生きるきみたちへ 福島からのメッセージ』が岩波ジュニア新書から出たときは、これで遺言が書けた、と思った。
その後、何校もの中学校、高校入試の国語長文読解問題に採用されたことで、その思いはさらに強くなった。

今回の音楽アルバム『Digital Wabi-Sabi ─As Easy As EWI』も、これが最後の音楽アルバムになるのかもしれないと思いながら録音した。
もちろん、まだまだ続編をやる気持ちはあるのだが、こういう時代だし、こういう年齢になったし、いつどうなるか分からない。
何歳まで生きられるかという生物的な寿命と、今よりいいものを作り出せる力を維持できるかというアーティスト生命は別物だし。
干支がもう一回りすれば、70代に入っている。誰がなんと言おうと、おっさんではなく、じじいだ。
同じことをやっても、「すごいね」「いいね」と単純に評価されるのではなく、「あのじいさん、結構やるじゃん」っていう評価になっているはずだ。

作曲能力と演奏能力のどちらが先に衰えるのか、というのも分からない。肉体の衰えが先だと思っているけれど、案外、作曲能力のほうが先にダメになっているのかもしれないし。(それがいちばん怖い)

考えてみると、30代後半から40代にかけての十数年間、僕はほとんど音楽を聴かなかった。オーディオにもまったく興味を失い、いい音で音楽を再生するという気持ちが持てなかった。
今でも、人の曲はあまり聴かないが(他人の音楽を聴く時間より、自分の音楽を聴いている時間のほうがはるかに長い)、30代、40代の頃に比べれば聴くようになった。ネット時代になったおかげかもしれない。
ましてや、人前で演奏する、歌うなんていう欲求はすっかり消え失せていた。
でも、還暦を迎えた今、残された生命時間を気にしながら、音楽に費やす時間が増えている。
聴力は落ちているが、いい音で音楽を再生したいという気持ちも甦ってきている。

そういう気分の中での作業だった。
もう、じじいなんだから、パッとできないのは仕方がない。時間がかかってもいい。じっくりやればいい。疲れたら寝よう。明日、続きをやればいい……という感じだった。
たらたらやっていて、ほんとにできるのかなあ、と思っていたが、気がつくと出来上がっていた。

これがじじいのやり方ってことだな。ていねいに、時間をかければそれなりのレベルにまでいける。

「EWIに対する愛」ってコメントをくれる人もいた
EWIが好きなんじゃなくて、自分がこの歳でソロ楽器を始められたことが嬉しい


紙ジャケットはジュエルケースより製造費がかかる。でも、絶対このほうがお洒落だし、ものとしてきれい


方舟に居着いているトウキョウダルマガエル。緑の線がくっきり


切り倒したつもりの草が……


しぶとく天に向かって伸びている。なんか息の根を止める気がしなくなった


こんな感じで折れた身体なのに、すごいな




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