2013/11/29の2

山木屋太鼓の練習風景(2)


練習風景を撮るTokoさん


経験、習熟度?別に何班かに分かれて同じ課題の練習をする


暖房らしきものは部屋の隅に1台ある灯油ストーブだけ


元気氏の注意を真剣に聴く


さあやるよ、の掛け声で構える


お尻が冷たいだろうが、そんなことは言ってられない


小さいメンバーに個人指導する先輩メンバー


基本練習が続く


自分たちの番を待っている間も真剣に見て学ぶ




休憩時間。表情が緩む


こちらは女子会風談笑の輪


竹撥の使い方を教える元気氏


練習終了。整列して、礼、後片づけ、解散……

この練習場所がある小島地区は町の中心部からは結構離れた田園地帯にある。交通手段は車しかないから、保護者が車で送り迎えしている。
継続するのは大変だと思うが、親たちも笑顔を絶やさない。

山木屋太鼓を最初に知ったのは去年の春、埼玉会館でのイベントでだった。そのときは話をする時間もなかったから、また会いたいなと思っていた。
Tokoさんから映画の話を聞いて、いろいろやりとりするうちに、「復興のシンボルがどうのとか、そういうんじゃなくてね、純粋に音楽として痺れるよ、これは」と、YouTubeにいくつかUPされていた動画のリンクを教えたところ、すぐに「ぜひ会ってみたい。撮りたい」と思ったそうで、Tokoさんが彼らにコンタクトをとり、代表者からも「ぜひ撮ってください」という流れになったそうだ。
山木屋太鼓は2012年、アメリカ・ワシントンDCの桜祭り100周年に招待され、トリのパフォーマーとして演奏した。このときの経験は彼らにとって大きな財産となったことは言うまでもない。でも、「あのときお世話になったかたがたにはその後、十分にお礼も言えなかったし、おかげさまでその後も元気で太鼓を打ち続けていますよという映像をぜひアメリカに、世界に伝えてほしい、願ってもない話です」(代表者のひとり・遠藤さん)ということで、すぐに相思相愛の関係となり、今回の映画でも山木屋太鼓は重要なポジションを占めることになった。

練習後、代表者の一人遠藤さんとその息子であるチームリーダーの元気氏と一緒に会食。
深いところで話がどんどん盛りあがって、とても楽しい夜になった。
僕が獏原人村の話をしたら、「ヒッピーってなんすか?」と元気氏。あちゃ~、世代がこんなに違うのか~と大笑い。
「うわ~、なんすかそれ、やばいっすね。いいなあ、行きてえなあ、原人村」「じゃあ、来年の春にはきょーじゅ(Tokoさんの旦那。ミシガン大学教授の音楽家)も来るし、みんなでセッションやろうよ」……と、音楽の話でもどんどん盛りあがった。

音楽によってどんどん人がつながり、話が弾み、出逢いが生まれ、新しい何かが生まれそうな気配がしてくる。これはTokoさんにとってもまったく想定外だったようで、プロジェクトが進行するにつれて熱が入ってくる。

「音楽」が最初にあって、福島と音楽を結びつけてどうのこうのというイベントやプロジェクトだったら、僕はおそらく乗っていなかっただろう。そういうのはもういいよ、と。これは皮肉ではなく、3.11直後に気持ちが高揚して、音楽活動においては考え違いや失敗をやらかした自分に対しての反省も込めてそう思っているのだ。
でも、今回のは、なんの計算もないところから動き始めたら、進めば進むほど音楽で満たされてくる。何もしていないのに音楽のほうからやってくる、とでもいうか、嫌らしさがない進み方なのだ。
そこがすごく気持ちがいい。

「フクシマ」はあまりにも複雑で複層的で、一面的には伝えられない問題になってしまっている。僕自身、すごく疲れている。何かを伝えたいと思って動いている人にそれを説明するのはとても難しいし、無理だとも思っているのだが、今回はひとつ説明するとぽ~んと、打てば響くかのようにまともな反応が彼女から返ってくる。
「そういうノリはあざといからやりたくない」「それはもういっぱいやっている人たちがいるから、今、敢えてやる必要はないし、僕自身、やりたくない」「説明がいらないほどすばらしいもの、真実なものを並べていくだけでいいんじゃないのかしら」……いろいろ言ったが、彼女は全部、すぐに理解して「そうなんですよ! 私もそう思っていたんです!」と反応し、さらにこちらが予想していなかったようなことも提案し、話がどんどん前に進む。
こんなことは今まで経験がない。怖いくらいだ。

紐付きでない、純粋に個人の思いから出発しているというのも大きい。「手伝いたいから今から旅費を貯める」と言っているアメリカ側のスタッフもいるそうだし、機材の無償提供の話なども出ているようだが、みんな彼女の真剣さや、今までやってきたことに共鳴し、一緒に充実した時間を過ごしてきたからこそだろう。
それでも、根本的に金はないので、手弁当+個人レベルの民間サポートだけでやれる範囲でやる。そこは「腕」だ。

まあ、完成までにはまだまだ紆余曲折があるだろうし、予断は許さないけれど、僕としては、コミットできるものを与えられて感謝している。



↑練習最後は曲を演奏して仕上げ。晴れ舞台の演奏とは違う美しさもあって、いいなあ



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