のぼみ~日記

2013/09/10



ブルテリアの雑種? 白い犬が家の前を通りすぎていった。迷い犬なのか勝手に散歩しているのか……。

2013/09/11

椏久里のマスター夫妻が書いた本



高かったが、どうしても読んでみたかったのでアマゾンで注文。
//翌15日、放射能被爆を避けるために屋内で過ごしていた。固定電話が回復して、遠くにいる子供や兄弟から「飯舘村は危ないから、早く避難しろ!」という電話が何件かあった。妻にも催促されたが、「国が避難指示を出さないのだから、その必要はないのだろう」と応えた。
「お願いだから、一緒に逃げてください」と、正座して涙ながらに訴える妻に、何らかの情報かデータが村役場にあるかもしれないから、と役場に出かけた。
シーベルトもベクレルもキュリーも線量の単位さえこの時点では知らなかったが、何らかの測定がすでに行われているのではないか。避難すべきなのかそれとも安全なのか、判断できる材料を役場では持っているのではないかと思えた。//(P150)

//ちなみに、3月30日発行の「広報いいたてお知らせ版・東北関東大震災号外第1号」に、いちばん館前の大気中の放射線量の推移が発表されている。その最初の記録が3月15日午後6時20分で、44.7マイクロシーベルト/hとなっている//(P.151)

//原発で爆発事故があり「避難しよう」と勧める妻に、はじめは「国からの避難の指示が出てないんだから、避難の必要はないべ」と断った。このときの判断は、「国は国民の安全を考えるはずだ」ということに基づいている。
国に対する国民としての信頼が、自分の中にこれほどあったことを我ながら驚いた。しかし、判断の基準を何も持たず、国の判断にすがるほかはないのだった。根拠のない付和雷同するような動きはしたくないということもあった。
3月15日18時、飯舘村役場付近の空間線量が毎時44マイクロシーベルト。事故後最初の文科省モニタリングによる公式な飯舘村の空間線量である。(略)
この時点で避難どころか屋内待避の指示も出なかったのはなぜなのだろうか。飯舘村や浪江町津島地区の人々を避難させることよりも優先させたことは何だったのだろうか。(略)
線量を測るために村外からやってくる人は白装束(放射線防護服)で、そこに暮らす人々は普通のマスクをつけた程度の普段着という世界に、異様さを感じぬ村人はいたろうか。//(P.215)



★この本にざっと目を通していちばん驚いたのは、著者の市澤秀耕さんがあまりにものんびりしていることだ。
彼は僕と同世代で、国立大学を出て、飯舘村役場に勤めていた。村の中ではインテリ層と言っていいだろう。
そうした人物でさえ、「国からの避難の指示が出てないんだから、避難の必要はないべ」と、あの状況下で思っていたというのだ。
これには正直、相当びっくりした。
と同時に、田舎のコミュニティを正しく動かすことがどれだけ大変なことか、改めて思い知らされた。

正しく判断できる人間は少数だがいるはずだ。
しかし、その判断ができる人間が組織を動かす立場にいなければよい結果につながらない。
国という、指揮系統のトップにいる人間たちはどうなのか。
能力だけでなく、人間性の問題が大きい。
タイベックスーツを着て村に入り、線量を測っていた人たちは末端の人たちだ。その人たちは少なくともどれだけ事態が大変か知っていた。でも、彼らは上からの命令からはみ出して、村長に「こんな悠長に構えている場合ではない!」と直談判する勇気や行動力はなかった。
それをしたのは今中助教ら、自主的に動いていた人たちだったが、それをちゃんと理解して、適確な行動に移せるだけの力量を持つ人が、しかるべき立場にいなかった。
問題の大きさ、深さを改めて知らされた。

読みやすい本ではない。改行が少なく、辛抱強く読まないといけないところがある。あと、大半は珈琲の話だったりするので、内容がとっちらかる印象もある。

その分、読者が想像力を働かせて読む必要がある。こんなに珈琲を愛していた夫婦が、こんな理不尽なめにあったのだなあ……というように。
復興、復興というけれど、補償とか除染とかいうけれど、必要な助けは相手によってそれぞれ違う。この夫婦にとっては珈琲店を続けることが人生においてとても大切なことで、店を再開させたことが復興だったのだなあ……と。

市澤夫妻にとっての「椏久里」のようなものが、すべての人にあると思う。僕にとっては創作活動。
ところが、今、東北で進められている「復興」には、そうした「生きる目的」「人生の核」を見つめる心が欠落したまま、単に経済的な数値を取り戻すための行為になっている場面が多すぎる。
家は全部高台に新しく建てればいい、津波が来ても大丈夫なように海岸線には万里の長城みたいな長大な防潮堤を作ればいい、金を投入すれば仕事が増えるんだから地元も嬉しいだろう……的な論理が平気でまかり通る。


それじゃダメじゃん。……ということを、この本を読んで再確認する……そんな感じだろうか。

2013/09/12

翠とシロ

アメリカ、ミシガン在住のToko Shiiki Santos さんという女性から長いメールをいただいた。
After 3.11、特に「フクシマ」の現場で生きていた、今も生きている人たちの生の声を集めたショートドキュメンタリー映画を制作しようとしているという。その中で僕の話も入れたいので協力してほしい、と。
来日するのは来春ということなので、だいぶ先の話だけれど、川内村を案内したり、いろいろ協力しましょうと答えた。

彼女は自分のメインワークは「ポートレートの写真家」だという。最近、賞をとった(おめでとう!)。

彼女の夫はミシガンの音楽大学教授で、ミュージシャン。来春、取材で日本をひと月くらい訪れる予定の彼女を追って自分も日本に行くから、そのときにできればあちこちでライブなどもやりたいと言っているそうだ。
いちばん得意なのはベースだが、日本にはギターだけ持って行くという。そこで、ベースを借りられないか? どんなベースを持っているのか? というので、急遽、クローゼットの中からベースを引っぱり出して「こんなベースですよ」と説明するために写真に撮った。
昔、脚本家の小中千昭さんにもらった通称「翠」という名器。大きさが分かるように、Parkerのギター(うちでは通称「シロ」)も並べて撮ってみた。
「おっし、それ貸してくださいな」とのこと。ライブ、できるかな。やってみたいな。
このへんでやるなら、Daddy's CafeかAGダイニングあたりだが、問題は客集め。
まあ、来春までには時間があるので、とにかく練習しておかなくては。







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↑今日のアルバム
Second Amour ~たくき よしみつ Songbook2 女性vocal作品集
歌:清水翠、Dana、西村千亜紀、他
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オリンパスXZ-10
のぼみ~日記の写真は主にオリンパスXZ-10で、他にソニー NEX-5R+SONY 50mm/F1.8 OSS、フジフィルムX-S1 などでも撮っています


更新が分かるように、最新更新情報をこちらの更新記録ページに極力置くようにしました●⇒最新更新情報

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「福島問題」の本質とは何か?


『3.11後を生きるきみたちへ 福島からのメッセージ』(岩波ジュニア新書 240ページ)
『裸のフクシマ』以後、さらに混迷を深めていった福島から、若い世代へ向けての渾身の伝言

第1章 あの日何が起きたのか
第2章 日本は放射能汚染国家になった
第3章 壊されたコミュニティ
第4章 原子力の正体
第5章 放射能より怖いもの
第6章 エネルギー問題の嘘と真実
第7章 3・11後の日本を生きる

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裸のフクシマ  『裸のフクシマ 原発30km圏内で暮らす』(講談社 単行本352ページ)
ニュースでは語られないフクシマの真実を、原発25kmの自宅からの目で収集・発信。驚愕の事実、メディアが語ろうとしない現実的提言が満載。

第1章 「いちエフ」では実際に何が起きていたのか?
第2章 国も住民も認めたくない放射能汚染の現実
第3章 「フクシマ丸裸作戦」が始まった
第4章 「奇跡の村」川内村の人間模様
第5章 裸のフクシマ
かなり長いあとがき 『マリアの父親』と鐸木三郎兵衛

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