日光周辺の狛犬巡りも、少しずつ回を重ねてきたので、このへんでちょっとまとめておこう。
栃木の狛犬は、江戸時代のものが面白い。
都内には古い狛犬があっても、はじめタイプは都下まで行かないとほとんど見つからない。喪失していると思われる。
栃木は東照宮があるからか、文化の伝播形態が面白い。東北ほど取り残されていないし、千葉のように江戸に密着してもいない。
はじめタイプも、越前禿型の尻尾の特徴や走り毛が伝わっていたりするかと思えば、ものすごく個性的なものがいっぱい出てくる。
はじめタイプではない大作狛犬も、典型的な江戸タイプは少なく、宝珠型が多い。
そこで、今後は江戸時代の狛犬に絞ってまとめていこうかと思っている。
はじめちゃんコレクションと並列して、宝珠型などの伝播の仕方を探る感じだろうか。
グーグーさんの「狛犬探検隊」サイトに、
古い順ランキングが載っている。
これによれば、
1位・寛永13年(1636年) 日光市 東照宮奥の宮の「奉納させてやる」狛犬
2位・明暦4年6月(1658) 日光市 青龍神社の苔むし狛犬
3位・天和3年(1683年) 東照宮のブロンズ狛犬
4位・元文4年(1739年) 多気山不動のカバ狛犬
5位・寛保3年(1743年) 足尾町 通洞鉱山神社のちょっと中国獅子風の狛犬
6位・明和6年(1769年) 壬生町 雄琴神社 カマキリ顔の狛犬
7位・明和7年(1770年) 大室高お神社 狛犬は歯が命狛犬
8位・天明2年(1782年) 塩谷郡藤原町 十二神社 白くなってしまった狛犬
9位・天明6年(1786年) 宇都宮市宝木本町 寶徳神社のはじめ狛犬
10位・寛政9年(1797年) 下都賀郡藤岡町 八龍神社
11位・寛政11年(1799年) 鹿沼市 古峰神社 デブだけど名品
12位・享和2年(1802年) 宇都宮市古賀志 日吉神社 なかなか見つけられなかった内陣狛犬
13位・文化2年(1805年) 宇都宮市 多藤神社 はじめ集団の中のアニメキャラっぽい狛犬
14位・文化15年(1818年) 栃木市旭町 神明宮 顔がつぶれかけた狛犬
15位・文政10年(1827年) 日光市大杉神社虚空蔵尊 彫りがちょっと浅いけど大きな宝珠型狛犬
16位・天保3年(1832年) 足利市八幡宮 猫背の狛犬
17位・天保5年(1834年) 鹿沼市奈佐原 奈佐原神社 宝珠型狛犬
18位・天保6年(1835年) 鹿沼市奈佐原 奈佐原神社のお隣の神社? 宝珠型狛犬
19位・天保7年(1836年) 日光市下今市 滝尾神社 「狛犬かがみ」に載せた宝珠型狛犬
20位・天保9年(1838年) 鹿沼市 熊野神社 先代のはじめちゃんのほうが古いのに狛犬
21位・天保10年(1839年) 宇都宮市古賀志 日吉神社 脚が風化している狛犬
22位・天保10年(1839年) 下都賀郡壬生町 雄琴神社 明和6年の隣りで頑張る狛犬
23位・天保11年(1840年) 日光市小来川 黒川神社
24位・天保13年(1842年) 栃木市 太平山神社 おどろおどろしい顔の狛犬(『狛犬かがみ』にも収録)
25位・嘉永5年(1852年) 那須町伊王野 霞ヶ岡神社 尾が分かれている渋い狛犬
26位・嘉永6年(1853年) 那須町芦野 健武山湯泉神社 いい彫りの江戸タイプ
27位・安政3年(1856年) 那須町 境の明神(玉津島神社) ここはうちの親戚筋が関守だった
28位・安政6年(1859年) 宇都宮市徳次郎 智賀都神社
……となっている。
だいぶ前に更新しなくなってしまった僕の狛犬データベースで栃木県の江戸時代の狛犬だけを拾い出してみると、
住所 | 神社名 | 建立年 | 建立年西暦 | 作者 | 寄進者 | 大きさ | 記録年月日 | 形式・種別 | 一言コメント |
栃木県小山市本郷町3丁目 | 愛宕神社 | 天明05年 | 1785 | | | 小 | 02/06/02 | | 小山市でいきなり見つけた天明 |
栃木県鹿沼市草久古峰原 | 古峯神社-4 | 寛政11年 | 1799 | 江戸下谷坂本?一丁目棟梁長八、江戸浅草田原町石工新助弟子熊吉 | | | 93/10/29 02/10/25 | | |
栃木県鹿沼市引田 | 石村神社 | 文化04年 | 1807 | | | | 02/10/25 | | |
栃木県栃木市旭町 | 神明宮 | 文化15年 | 1818 | 石工宮田浩兵衛 | 願主湖東平岡作兵衛 | 小 | 02/06/01 | | 吽の顔が歪んで欠けている |
栃木県小山市南小林 | 東箭神社 | 文政09年 | 1826 | | | 中 | 02/06/02 | | 社殿の彫刻も見事 |
栃木県佐野市天神町 | 朝日森天満宮 | 文政12年03月 | 1829 | | | 中 | 02/06/02 | | |
栃木県今市市瀬川 | 滝尾神社1(今市市) | 天保7年 | 1836 | | | | 00/04/13 | | |
栃木県宇都宮市古賀志町 | 日吉神社(宇都宮市古賀志町) | 天保10年10月 | 1839 | 石工 北条新右衛門 | | | 00/04/13 | | |
栃木県栃木市平井町 | 大平山神社随身門 | 天保13年11月 | 1842 | 不明 | | 中 | 02/06/01 | 変形構え獅子 | 吽は尾がとれている |
栃木県下都賀郡大平町榎本 | 八坂神社 | 弘化04年08月 | 1847 | | | 中 | 02/06/02 | | |
栃木県佐野市堀米町 | 八幡宮(参道入り口) | 嘉永03年08月15日 | 1850 | | | 中 | 02/06/02 | | |
栃木県那須郡那須町明神 | 玉津島神社(境の明神) | 安政03 | 1856 | | | | 90/09/18 99/12/18 | | |
栃木県宇都宮市徳次郎町 | 智賀都神社 | 安政6年9月 | 1859 | 石工 城野銀右エ門 | 城野岩右衛門 | | 00/04/13 | | |
栃木県今市市根室 | 王子神社(今市市根室) | 安政7年 | 1860 | | | | 00/04/13 | | |
栃木県今市市文挟町 | 二荒山神社(宇都宮市文挟町) | 慶応3年正月 | 1867 | | | | 00/04/13 | | |
……という結果で、探検隊ランキングにいくつか漏れているのがある。
これを併せ、さらには今年新たに見つけた2つ3つを入れて新ランキングを作ってみると……
1位・寛永13年(1636年) 日光市 東照宮 仁王門裏側の木彫り狛犬
1位・寛永13年(1636年) 日光市 東照宮 陽明門裏側の木彫り狛犬(大宝神社のコピー狛犬)
1位・寛永13年(1636年) 日光市 東照宮 鼓楼前石柵の玉垣狛犬
4位・寛永18年~19年(1641~1642) 日光市 東照宮奥の宮の「奉納させてやる」狛犬(関東最古の独立した石造り狛犬と言われる)
5位・明暦4年6月(1658) 日光市 青龍神社の苔むし狛犬
6位・天和3年(1683年) 日光市 東照宮 鋳抜門前のブロンズ狛犬
7位・寛保3年(1743年) 足尾町 通洞鉱山神社のちょっと中国獅子風の狛犬
8位・明和6年(1769年) 壬生町 雄琴神社 カマキリ顔の宝珠狛犬
9位・明和7年(1770年) 大室高靇神社 狛犬は歯が命狛犬
10位・天明元年(1781) 壬生町稲荷神社 宝珠と角をつけた構え獅子と玉乗り風の異色狛犬
11位・天明2年(1782年) 塩谷郡藤原町 十二神社 白くなってしまった狛犬
12位・天明5年(1785)小山市本郷町3丁目 愛宕神社(02/06/02 記録)
13位・寛政9年(1797年) 下都賀郡藤岡町 八龍神社
14位・寛政11年(1799年) 鹿沼市 古峰神社 デブだけど名品(江戸の石工が彫っている)
15位・文化2年(1805年) 宇都宮市 多藤神社 はじめ集団の中のアニメキャラっぽい狛犬
16位・文化4年(1807) 鹿沼市引田 石村神社 (02/10/25 記録)
17位・文化15年(1818年) 栃木市旭町 神明宮 顔がつぶれかけた狛犬
18位・文政9年(1826)小山市南小林 東箭神社(02/06/02 記録)
19位・文政10年(1827年) 日光市大杉神社虚空蔵尊 彫りがちょっと浅いけど大きな宝珠型狛犬
20位・文政12年3月(1829) 佐野市天神町 朝日森天満宮(02/06/02 記録)
21位・天保3年(1832年) 足利市八幡宮 猫背の狛犬
22位・天保5年(1834年) 鹿沼市奈佐原 奈佐原神社 宝珠型狛犬
23位・天保6年(1835年) 鹿沼市奈佐原 奈佐原神社のお隣の神社? 宝珠型狛犬
24位・天保7年(1836年) 日光市下今市 滝尾神社 「狛犬かがみ」に載せた宝珠型狛犬
25位・天保9年(1838年) 鹿沼市 熊野神社 先代のはじめちゃんのほうが古いのに狛犬
26位・天保10年(1839年) 宇都宮市古賀志 日吉神社 脚が風化している狛犬
27位・天保10年(1839年) 下都賀郡壬生町 雄琴神社 明和6年の隣りで頑張る江戸獅子
28位・天保11年(1840年) 日光市小来川 黒川神社
29位・天保13年(1842年) 栃木市 太平山神社 おどろおどろしい顔の狛犬(『狛犬かがみ』にも収録)
30位・弘化4年8月(1847) 下都賀郡大平町榎本 八坂神社(02/06/02 記録)
31位・嘉永元年(1848) 宇都宮市 多気山不動尊 埋もれていた狛犬(12/02/16 記録)
32位・嘉永3年8月15日(1850) 佐野市堀米町 八幡宮(参道入り口)(02/06/02 記録)
33位・嘉永3年11月(1850) 日光市薄井沢 高お神社 やんちゃな顔の狛犬(12/02/28 記録)
34位・嘉永5年(1852年) 那須町伊王野 霞ヶ岡神社 尾が分かれている渋い狛犬
35位・嘉永6年(1853年) 那須町芦野 健武山湯泉神社 いい彫りの江戸タイプ
36位・安政3年(1856年) 那須町 境の明神(玉津島神社) ここはうちの親戚筋が関守だった
37位・安政6年(1859年) 宇都宮市徳次郎 智賀都神社
38位・安政7年(1860) 日光市根室 王子神社(00/04/13 記録)
※太字は「探検隊ランキング」にたくきが追加した分
……となる。
嘉永ではもう30位以下。しかも、年号が刻まれていないはじめちゃんはこの他多数存在するのだから、栃木県の江戸時代狛犬残存数は全国有数ではないだろうか。
空襲や震災があった都内より、適度な田舎のほうがこうしたものは残りやすいのだろう。
今後、このリストが少しずつ変わっていくのが楽しみだ。