ドメインとは何か? 知っておくべきドメインの知識
私が初めてドメインというものを意識したのは、知人の作家さんから来るメールのアドレスが単純にXX@○○.orgとなっていたからです。彼のWEBサイトのURLも単純にhttp://○○.orgでした。
かっこいいな。ドメインを取ればこんなにすっきりするのか……と気づき、自分の屋号である「タヌパック」にちなみ「tanupack.com」を取ったのが2年前(98年夏)のことです。
アメリカの某レンタルサーバー業者のバナーに釣られて迷い込み、取得代行費49ドルとINTERNICへの登録料70ドルをオンラインで支払いました。
しかし、それで単純に、自分のサイトのURLがwww.tanupack.comになったわけではありません。取得と同時に、「ではレンタルサーバーのお申し込みをお待ちしております」という英文メールが届きました。「49ドルで無料ホームページ」という誘い文句は、自分では何も変更できない定型の「準備中」ページが表示されるだけというものだったのです。
その業者とは英語で何度かやりとりした挙げ句、結局、日本のレンタルサーバー業者と再契約し、ドメインの移転をしなければなりませんでした。10MBのスペースで、初期設定費8800円、月々の使用料が1800円(いずれも税別)というもので、今の相場では相当高く思えますが、2年前ではこれはかなり安いほうでした。
それから2年、ドメインのことを徹底的に勉強し、情報を集めました。ここにその一部を公開します。
これからドメインを取得しようと思っているかたも、ドメインとはなんなのかピンとこないかたも、どうぞこの情報をお役立てください。
そもそもドメインって何?
電子メールにせよWWW(World Wide Web……いわゆる「ホームページ」が閲覧できる場所)にせよ、実体はインターネットに接続されたサーバーにあります。
インターネットに常時接続されたサーバーの場所は「IPアドレス」というもので示されます。プロバイダの申し込み手続きのとき、「202.163.42.3」などという数字を記入したことを覚えていると思いますが、あれがそうです。
しかし、ただの数字の羅列では覚えにくいので、これを指し示す「別名」……屋号のようなものを登録しておき、それを一般には使うようになっています。このインターネット上の「屋号」がドメインです。
ドメインにはどんなものがある?
まず、国別・地域別に発行されるドメインがあります。日本は「.JP」、フランスは「.FR」です。アルファベット2文字から成っており、これをccTLD(Country Code Top Level Domain)といいます。
国や地域に無関係に使えるドメインとして、.COM/.NET/.ORGなどがあります。 .comはcommercialの略で、本来は商用サイトを示す世界共通ドメインですが、個人でも取得できます。「ドットコム」という呼び方は、日本でもすっかり定着しました。
.netは network の略ですが、商用サイトや個人でもよく使っています。
.orgはorganizationの略で、主に非営利組織によく使われます。この3つは国別ドメインではないので、Generic(一般総称的な) Top Level Domainsと呼ばれています。
TLD(Top Level Domain)とは?
ドメインの最後につく部分のことです。例えば、「ソミー株式会社」のドメインが「somy.co.jp」とすれば、TLDは.JPの部分です。その前の.COの部分を「セカンドレベルドメイン」と呼びます。
ドメイン名に使える文字などのルールは?
次のようなルールがあります。
- 使える文字はアルファベット、数字、ハイフンのみ。?や空白、ピリオド、スラッシュなどは使えません。
- ハイフンは使えますが、ドメイン名の最初と最後に置くことはできません。
- 大文字・小文字の区別はありません。(従って通常はすべて小文字で表記されることが多い)
例:
○……1105tanaka.com love2tanaka.net 3pei-tannaka.org など
×……-tanaka.com(最初がハイフンはダメ) tanaka!.com(!などは使えない)
.JPドメインはどこでどうやって取れるのか?
.JPドメインは
JPNIC(社団法人 日本ネットワークインフォメーションセンター)というところが管理しています。「属性型」と呼ばれるセカンドレベルドメインを指定しており、例えば「somy.jp」というような単純なドメインは取れません(2000年7月現在)。
属性型セカンドレベルドメインには次のようなものがあります。
- AC(教育関連)
- CO(営業性法人)
- GO(政府関連、特殊法人など)
- OR(財団法人、社団法人、医療法人、監査法人、宗教法人、特殊法人(特殊会社を除く)、農業協同組合、生活協同組合、その他 CO,AC,ED,GO のいずれにも該当しない日本国法に基づいて設立された法人など。
- AD(JPNICの会員が運用するネットワークなど)
- NE(国内のネットワーク提供会社など)
- GR(任意団体)
- ED(18歳未満を対象にした教育機関など)
日本の悪しきお役所精神丸出しで、細分化が大好き。ドメインの取得には煩雑な手続きが必要で、審査を通らないと取得できません。また、一組織が複数のドメインを所有することを禁止し、ドメインの転売も認めませんでした。しかも、登録料は2万円と高額。世界のどこを見ても、こんな高額な登録料を取る国はありません。
JPNICの「細分化主義」がもたらした「被害」として有名なのは、ネットワーク会社のドメインをor.jpからne.jpへと変更するよう指導したことでしょう。例えば、so-net.
or.jpはso-net.
ne.jpに変わりました。この迷惑な「指導」のおかげで、多くのユーザーがメールアドレスやURLの変更を余儀なくされ、日本中でとんでもない無駄と混乱が生じました。or.jpで印刷された封筒、名刺などの印刷物はことごとく使えなくなりゴミとなり、それまで届いていたメールがある日突然届かなくなったのです。なんという愚行!
こうした「お役所根性」丸出しの組織が日本のドメインを管理していたのでは、WEBビジネスで世界を相手に戦うことなど、とてもできるわけがありません。
賢明な起業家たちは、さっさと.JPドメインは見捨てて、.COMや.NETドメインを取得しました。
しかし、さすがにこれでは世界に取り残されるということで、現在、セカンドレベルドメインの開放(somy.jpが取れる)や一組織の複数ドメイン所有、ドメインの転売を認める方向で動いているようです。(遅すぎる!)
ドメインは「財産」とはどういう意味か?
ドメインは取得した人だけのもので、早い者勝ちです。somy.comは世界で1つしかないので、「ソミー社」がsomy.comを取ろうと思っても、他の個人や企業がすでに取得していたら取れません。
そのため、大企業が自社名のドメインを高額で買い戻したりするケースが多々あります。ドメインは数十ドルで取得できますが、買い戻すために数百万、数千万円単位のお金が動くこともありました。
.COM/.NET/.ORGドメインはどこでどうやったら取れるのか?
.COM/.NET/.ORGドメインについては、以前は
INTERNICという組織が一社独占で登録・管理をしていて、その費用は登録時70ドル(2年分)というものでした。しかし、世界中のインターネットユーザーの共通資源であるドメインが一社独占状態ではよくないということで、現在は自由市場になり、世界中に数十の「レジストラ」(登録業者)が存在します。
ドメインの登録費用は、それらの登録業者が自由に設定できることになっています。
.COM/.NET/.ORGドメインの「値段」はいくらか?
かつてINTERNICを名乗っていた
Network Solutions社は、今でも70ドル/2年、35ドル/年という値段で登録・管理をしています。これが世界最高値で、他の業者はこれより安い値段を設定しているところがほとんどです。
.COM/.NET/.ORGを総括管理しているのは
ICANN(The Internet Corporation for Assigned Names and Numbers)という組織で、そこから一次登録業者に「卸す」元値は6ドルという説があります。ですから、どんなに安い業者でも、6ドル以下ということはありえません。
日本でも一次レジストラがありますが、運用面でのサービスが別立て料金であることが弱点でしょう。
また、世界には、ドメインを無料提供する代わりにサイトには強制的にフレームをつけて広告を入れるとか、ドメインを取得した人は無料でサーバーを借りられる代わりに、やはり広告バナーが自動的に貼りつくというようなサービスをしているレジストラもあります(どちらも英語ページのみ)。
「自分だけの屋号」であってこそのドメインですから、このように強制的に何かの広告を入れられてしまうような形でのドメイン取得は「紐付き」であり、あまりにもみじめだと思います。
.COM/.NET/.ORGドメイン以外のTLDは取れないのか?
国・地域別ドメインの中には、欧米のインターネット関連会社に権利を委託し、世界中の人々を対象に自由に販売しているものがあります。有名なものでは、.TO(トンガ) .NU(ヌイエ) .WS(サモア) .CX(クリスマス島) .CC(ココス島) .PR(プエルトリコ) .TV(ツバル) .AC(アセンション島)などがあります。
管理・販売している会社は「.ACはAcademyの略です。世界中の学術関係者のみなさんに最適なドメインです」とか「.WSはWorld Siteの略です。国に関係なく、世界を包括するドメインです」などというこじつけの売り口上を使っていたりしますが、単なるこじつけで、もともとは国名・地域名にすぎません。.TVなどは、Televisionの略であるなどとして、世界各国の放送局相手に高額に売りつけようとしている販売戦略がニュースにもなりました。
.COM/.NET/.ORGに比べると高額なものが多い中、従来、お勧めは.CX(クリスマス島)ドメインでした。英国のPlanet Three社が良心的な管理・運用をしていたのですが、2000年7月6日、突然、新規登録を停止し、.CXドメイン登録業務からの撤退をほのめかしました。クリスマス島に設立されたDot CX Limitedという企業が新しい価格体系と登録システムを採用したためで、良質なサービスを安価で提供していたPlanet Three社は、はじき出された形になりました。恐らくクリスマス島政府を巻き込んだ、ベンチャー企業同士の暗闘があったのでしょう。小国のドメインがどんどん高騰し、ドメイン市場を混乱に巻き込んでいるのは嘆かわしいことです。
DNSとは何か?
ドメインというものは、最初に説明しましたように「IPアドレス」(「213.145.15.3」などの数字の組み合わせ)を別名で表すものです。ドメインを受け入れる側のサーバーが「ドメインネームサーバ」で、DNSと略されます。ドメインを取得するためには、そのドメインを受け入れるドメインネームサーバを指定しなければいけません。DNSは通常「NS.HOGEHOGE.NET」などという名前がついています。
ドメインを取得するためには、そのドメインを受け入れるドメインネームサーバが必要で、ドメインネームサーバの側ではそのドメインを受け入れる設定をしておく必要があります。
ドメイン・パーキングとは何か?
ドメインを取得するためには、そのドメインを受け入れるDNSが必要ですが、一般のインターネットユーザーには自前でDNSを用意することは困難です。また、一般のインターネットサービスプロバイダも、個々のユーザーがドメインを取得するためにDNSを使わせるサービスはしていません。
また、中には、今すぐドメインを使うわけではないが、どうしても自分のものとしてこのドメインを取得しておきたいという人もいます。そのような場合、とりあえずドメインを取得するためにDNSを提供し、ドメインの取得だけをしましょうというサービスがあります。これを「ドメイン・パーキング」といいます。
最初に紹介したアメリカのレンタルサーバー会社の「取得サービス49ドル」というのは、このことでした。
今は、パーキングさせるだけなら無料という業者もあります。一次レジストラでない限り、そんなことをしたら手間の分だけ赤字ですが、将来、自社のサーバーを利用してもらおうという意図からのものです。
メール転送、URL転送とは何か?
ドメイン・パーキングは、ドメインを取得して寝かせておくだけですが、それでは取得した意味がありません。せめて、そのドメインのメールアドレスを使えたり、自分のサイト(ホームページ)がある場合は、ドメインで接続したいと思うのが当然です。そのためには、本来、使用するサーバーにそのドメインを組み込まなければなりません。
最近、ユーザーの個別ドメインに対応してくれるプロバイダも出てきましたが、サービス料金は高額です(一例として、某プロバイダでは、ドメイン取得代行料が20000円、月額基本料金10000円、ドメイン維持・管理料2000円/月〜いずれも税別)。そこで、どこかにドメインをセットできる安いレンタルサーバーはないか……ということになるわけですが、安いところは概して性能も悪いし、安いといっても「ただ」ではありませんから、個人ユーザーなどには重荷です。
そこで、今使っているメールサーバーやホームページのサーバーに直接ドメインを組み込まなくても、擬似的にドメインを活用できるよう、中継サーバーを使って情報を「転送」するサービスがあり、世界中で広く利用されています。
これだと、費用も安くて済みますし、メールは今まで通りの設定で送受信できますから、初心者などにはむしろ気が楽かもしれません。海外の業者では、無料かただ同然の安い値段でこうした転送サービスを行っています。
国内では、一次レジストラがこうしたメール転送やURL転送サービスを有料で行っていますが(メール転送:初期設定費3000円、月額980円・いずれも税別。URL転送も同額)が、これですと、URL転送とメール転送を両方申し込むと、初年度だけで3万円以上かかることになり、安い業者なら、楽にレンタルサーバーを借りられる値段になってしまいます。
レンタルサーバーと転送処理、どっちが得か?
本格的なサイト運営をするなら、レンタルサーバーを借りたほうがよいでしょうが、サーバー管理に関する最低限度の知識が要求されます。
当面、メール、あるいはせいぜいプロバイダが提供する無料ホームページエリアを使ったホームページ制作くらいしかする予定はないという個人ユーザーなら、
メール転送やURL転送を無料で行っているドメイン登録代行業者などを利用するのもよいでしょう。
友人の作家がドメインを立て続けに3つも取ったのですが、その際、「世界にたった一つしかない商品で、こんなに安いものはない」という名言を吐きました。
本当にその通りで、それがまさにドメインの悪魔的魅力と言えるでしょう。
日本でもこのところ急にドメイン取得がブームになっていますが、少しでもご自分に合った賢い方法を選択されることをお祈りいたします。
(2000/07/07 updated by 鐸木能光)