たくき よしみつ 『ちゃんと見てるよ』

 
(週刊テレビライフ連載 過去のコラムデータベース)

 99年1月〜99年年末まで


世紀末のテレビはどこへ行くのか?


 いよいよ99年である。「7の月」の前には、やはりノストラダムス・フィーバーのようなものがあるのだろうか?
 それはさておき、98年後半のテレビ番組を見ていて、ちょっと気になったことがある。
 不況や価値観の崩壊による不安感を反映したものではないかと思うのだが、安全地帯に立って「異物」を評論するという姿勢の番組が増えてきたように思うのだ。
 例えば『禁断!ハダカの王様』(テレビ朝日系)。まずいラーメン屋のオヤジを標的にして、「あんたのラーメンは最低だ。それがなぜ分からないの?」と叩く。
『怪傑熟女!心配ご無用』(TBS系)や同類番組では、ストーカーやブランド狂い借金女など、普通に考えればおかしなやつ、腹の立つやつを標的にして、芸能人が罵り倒す。それを見て視聴者が溜飲を下げるという構図。
『これって変ですか〜!?』(フジテレビ系)なども、芸能人が物事の「異物度」を判定するという構図では同じかもしれない。
 最近よく耳にする「これってアリ?」「うん、十分アリだよね」などという言い方、非常に気になって仕方がない。
「変である」とは、そもそもどういう価値基準に立った判断で、誰が決めるのか?(テレビが決めるのか?)
 私は変じゃないという絶対安全地帯に立ち、異物とされる人間や物事に対して「変だ」「サイテー」と安易に決めつける姿勢に、世紀末的な心の荒廃を感じるのだが、この傾向、99年も続くのだろうか?
 
■近況
いろいろあって、年末年始は越後で一人寒々と過ごす予定。冬ごもりは、明るい99年を切り開くか? それともますます冷え冷えとした生活への坂道か? みなさま、どうぞよいお年を。URL: http://tanupack.com


ラジオ深夜便的なテレビ番組はどう?


 先日、講談社の編集者から送られてきたFAXの中に、こんなコメントがあった。
「NHKの『ラジオ深夜便』を聴く合間に、KAMUNAのCDを聴いてます。たくきさんの音楽は心をほっとさせてくれます」
 手前味噌で恐縮だが、僕がやっているKAMUNAというギターデュオの音楽が「癒し」になるという声は結構寄せられる。深夜のBS7で流れるKAMUNAの曲を気に入って、インターネットで検索し、CDを注文してくる人は今も後を絶たない。
 で、もう一つ気にとまったのは「ラジオ深夜便」のほう。
 かみさんも毎晩仕事のBGMにしている。僕自身、夜中にドライブしているときなどは、結局これを聴いていることが多い。流れる音楽が昭和初期の歌謡曲だったりするのはちょっと困るのだが、落ち着いた語り口調で「その道の達人」が淡々と話をしたり、古典落語の古い録音を流したり、余計な「突っ込み」の少ない構成が、耳や心に優しい。
 先日、この番組の制作スタッフに第46回菊池寛賞が贈られた。「若者向けであった深夜の放送の中に、中高年齢層にも聴くに耐えられる心やさしい番組を定着させた」というのが授賞理由だそうだが、この価値観って、そっくりそのままテレビの深夜番組にも当てはめられないだろうか? ラジオ深夜便の発想でテレビの深夜番組を作れば、意外と支持を集めるかもしれない。
 出口のない迷路に迷い込んでいるMXテレビなどは、真剣に考えてみたらどうかな?
 
 
■近況
年末年始はどこにも行かず、ひたすら執筆の日々であった。そろそろ次のCDも作りたいけれど、その前に稼いでおかないと。WEBは他人のサイトを観察中。http://aya.ccあたりがちょっと面白い。URL: http://tanupack.com


モザイクの向こうに見える虚無の影


 お正月にWOWOWで『プレイボーイナイトスペシャル』という番組が3夜連続で放送された。オープンカーの上で整形巨乳を揺するオールヌードの女性…といった映像のセンスは70年代と全然変わっておらず古くさいのだが、陰部の映し方だけは変わっていた。
 薄いモザイクの向こう側では、「見えちゃったら見えたでいいや」という感じで、オープンに陰部を見せている。
 プレイボーイ誌は、アメリカで男性娯楽雑誌の先駆けとしてブランドを確立した老舗だが、かつてはヌードを載せても性器は見せなかった。後続の『ペントハウス』は性器を見せて売り上げを伸ばしたが、ヘアの陰に自然に隠れて見えるか見えないかという状態だった。その後、モデルに無理矢理開脚させたり、指で押し広げたりさせて陰部を露出したハードコアヌードを売り物にする『ハスラー』が、『プレイボーイ』『ペントハウス』を売り上げで抜いた。
 ……そんな歴史を思いながら、少しも興奮しないテレビ画面を見ていた。
 日本のテレビでは今後ヌード画像規制はどうなるのだろう。地上波でも『シンドラーのリスト』は無修正で性器が映し出されていた。WOWOWは一つのチャンネルにペルージャもプレイボーイのおねえちゃんも同居してしまうから無理があるけど、CSではアダルトチャンネル指定もできるはず。でも、アメリカ並みになるのがいいことなのか? などと、新年早々、性器映像規制について思いをめぐらすというのも、なんだかなー。
 
 
  
■近況
貧乏暇な死、雨降って地流れる……どうも暗い格言ばかり耳にする今日この頃。待てよ。55年生まれで今年44歳になる私。足せば99ではないか。よし、今年は当たり年ってことにしよう。URL: http://tanupack.com


面白い番組は探す努力をしないとね


 最近思うのは、本当に見たい番組の情報がなかなか伝わってこないということだ。
 新聞の番組欄は特にひどい。
 例えば、イッセー尾形に続く一人芝居の天才と呼ばれている本間しげるのライブ特集が1月9日深夜にあったのだが、これなどは朝日新聞のテレビ欄には「ワイド」としか書かれていない。「ワイド」!?
 この番組、ワイドビジョン・アワーといって、ワイド画面での放送なのだが、だからといって「ワイド」の3文字だけじゃ分からんだろがぁ!。TVライフで「本間しげる無差別ギャグ」という見出しを見なければ気がつかなかった。
 2月に来日が予定されていたジャズピアニスト、ミシェル・ペトルチアーニが先日急死した。ビル・エバンスを継承する叙情派として評価が高かった人。骨の病気で身長はわずか90センチしかないというハンディを背負いながら、美しいプレイでファンを魅了し続けた。彼が出演していたモントルージャズフェスティバルは、最近BSで何度か放送されたが、これも番組欄に彼の名前が載ることはほとんどないから、見られたのはほとんど偶然。こういう番組では、タイトルを削ってでも出演者名を列記してくれたほうが助かるのだがなあ。
 本当に見たい番組は、自分からよほど努力して探さないと見られない。これが見られなかった悔しさでWOWOWに加入した「シティボーイズライブII」も、気づくのが遅く、再放送の第1日目を見逃してしまった。悔しい。見たい番組を見るって、騙し合いのような過酷な戦いなのね。
  
■近況
ローラ・ニーロ、アントニオ・カルロス・ジョビン、ステファン・グラッペリ、ペトルチアーニ……ここ数年、好きな音楽家がどんどん死んでしまう。ペトルチアーニの来日公演見たかったなあ。合掌。URL: http://tanupack.com


どこまでが本当!? 素人登場番組の謎


 年末年始号で、最近やたらと目につく「普通に考えればおかしなやつ、腹の立つやつを標的にして、芸能人が罵り倒す。それを見て視聴者が溜飲を下げるという構図」の番組に対する懸念を書いたが、さっそくちょっとした事件が起きた。1月29日放送の『ウォンテッド』(フジテレビ系)で、意識のない患者を蹴ってストレスを解消する看護婦が登場した。「患者なんか人間と思ってない」と言いきるこの人物に対して、視聴者は不快感を抑えきれず、放送中から深夜にかけ、数千本の苦情電話が局に殺到したという。
 朝日新聞の記事には、局広報部長の「現実にある社会の問題を広く伝えるための番組だ」という説明が掲載されていた。だとしたら、この番組が100%本物であることを証明する義務もあるのではないだろうか? そもそも、あの看護婦は「本物」なのか? 毎回、あれほど「嫌なやつ」「変なやつ」が番組に出てくること自体、妙ではないのか? どこから連れてくるのか?
 モザイクと音声操作の向こう側で何が行われているのか、疑い出せばきりがないが、視聴者は知る手だてがない。
 また、当然「出演料」が支払われているはずで、悪行で金が儲かることになる。そこが普通のドキュメンタリー番組とは決定的に違う。
 実在の人物だとしても、それをあのような形で「バラエティ」にしてしまう危険性が浮き彫りになったような騒動だった。どうも、さらなる「事件」が起こりそうな予感がするのだが……。
 
 
  
■近況
3年越しの長編を書き上げた途端、風邪をひいてしまった。このところご無沙汰している円丈師匠から、「狛犬ビデオ」に入れる「狛犬音頭」作曲を打診された。「狛犬音頭」かあ……すごいなー、なんか。
URL: http://tanupack.com


『宇宙船レッドドワーフ号』がMr.ビーン人気に迫る!?


 昨年秋から、NHK総合の「コメディー決定版」枠(金曜深夜0時30分)で『宇宙船レッド・ドワーフ号』というのをやっている。一見『スタートレック』のパロディっぽいのだが、内容はまったく違う。SFは舞台装置だけで、面白さは登場人物(といっても、猫が進化した人間もどきとか、アンドロイドとかばかりで、人間という設定の登場人物は一人しかいないのだが)の会話にある。シモネタやダーティジョークもふんだんに飛び出すので、どう考えても子供用の番組ではない。
 この枠では、その後大ブレイクした『ミスター・ビーン』を始め、たった2回だったが往年の名作『モンティ・パイソン』など、英国BBC制作のコメディを放送してきた。イギリスの笑いは濃い。人間の深層心理を残酷なまでにえぐって笑いに転化させる手法が、アメリカン・コメディとはまったく違うノリを生む。
 BBC(英国放送協会)は文字通りイギリスのNHKみたいなものなのだけれど、NHKのお笑いセンスが何十年経っても『コメディーお江戸でござる』的な田舎臭さから成長できないのに比べると、四半世紀も前に『モンティ〜』を制作していたんだからすごい。民放のバラエティ番組がどんどん幼児化して、笑いも直接手法の悪ふざけばかりの今こそ、NHKはBBCコメディの精神を見習ったらどうだろう。それにはまず、バラエティ番組スタッフの若返り政策だな。経験や理屈じゃなくてセンスがすべてだから、じいさまたちには無理だもん。
 
 
  
■近況
ちなみにレッド・ドワーフの意味は「赤い小人」。モンティ・パイソン(オカマの恐竜)と同様に、タイトルからしてちょっと危ない。インターネットにもファンのサイトが出現していた。映画化もされるんだってさ。URL: http://tanupack.com


誰も教えてくれぬ臓器移植の「値段」


 
 2月末から3月にかけて、どの局も大々的に日本初の「脳死臓器移植」を報道した。通常番組をすっ飛ばして特番を組み、臓器搬送の生中継映像を流した局もある。報道番組のキャスターやコメンテイターは、口々に「私もドナーカードを持っています」とか「早くコンビニにドナーカードを置くようにすればいい」などと言う。でも、何かおかしくないだろうか?
 まず、日本初というけれど、実際には水面下で非公開なまま、脳死者からの臓器移植はすでに数百例行われているということをポロッと話す医者がいる。また、東南アジアなどでは、生きている人間が、貧困から自分の腎臓や角膜を売るという状況もすでに生まれていると聞く。当然、闇ルートでは人間の臓器は今も高額で売買されているはずだ。
 今回の移植手術にしても、手術代やその後の治療費はいくらかかるのだろうか? どこまで保険が効くのだろうか? それを払える人だけが被提供者として登録できるのだろうか? 一部が保険でまかなわれるのだとしたら、今後、このような移植手術が増えてきた場合、保険料の負担増はどうなるのだろうか? ざっくばらんに言えば、臓器移植って「いくら」かかるのか?
 脳死者の臓器が生きている患者の命を救うという面ばかり強調されているが、医療もビジネスなのだ。ドナーが無償で自分の臓器を提供しても、そこから先は金がからんでくる。そういう側面をきちんと伝え、解説してくれる番組が、未だに現れないのはなぜ?
 
  
■近況
ある獣医さんが、宣伝用のホームページを70万円かけて作ってもらったという話を聞いた。うちなら、サーバーや独自ドメイン取得も入れて、その1/10の予算で作りますよん。そういう商売、始めようかな。URL: http://tanupack.com


まずい団子はもう喰い飽きたぜ!


 
 しかしなんでしょね。どこもかしこもダンゴ、ダンゴ。
 4個串で売っていた普通のダンゴは1個減らして3個串にしちゃうし(ざけんなよ)、肉団子はもちろん、芋串3兄弟や、ドーナツ3姉妹だと?
 六本木あたりでは、サラリーマンが飲んだ勢いで「談合3兄弟」なんて替え歌を歌いながら千鳥足で帰っていく。
♪事前調整談合 だんごう ルール違反だ談合 だんごう しかしやりたい談合 だんごう 談合3兄弟♪
 ちなみに、この『談合3兄弟』には、原発業界3兄弟編とか、鋳鉄管業界3兄弟編とか、いろいろあるらしい。
♪こんど入札するときも 願いは揃って同じ値段 できれば今度は利益率 たくさんついた公共事業 だんごう♪
 小室ファミリーとかが大量生産した、メロディーがリズムに呑み込まれた機械的な音楽にストレスを感じ始めていた多くの日本人が、この歌の単純さで一気に救われたってことなのかな。そこまで考えなくても『黒猫のタンゴ』や『泳げたいやきくん』みたいなヒットは数十年に一度のサイクルで巡るのだろうが。
 気に入らないのは、ニュース番組などがこぞってこのヒットをあおり立てたことだ。伝えるキャスターの笑顔も嫌らしい。まるで、不況の世に現れた救世主を拍手で出迎えるかのようだ。貧乏くさい。
『ダンゴ3兄弟』のヒットは、メディアが無理矢理作り出したと見ることもできる。で、みんなと同じじゃないと不安な日本人が行列を作る。でもまあ、すぐに飽きるでしょ。
 
  
■近況
仲間を集め、ついに立ち上げてしまいました「タヌパック・デジタル工房」。だって、この業種(ホームページ広告制作)、あまりにいい加減で儲け主義のところが多いんだもの。URL: http://tanupack.com/kobo/


「選挙になる」だけ都民が羨ましいよ


 
 史上最激戦といわれる今回の東京都知事選。誰を知事にしたいかではなく、誰を落としたいかという選挙だというのはいつものことだけど、それでも、選挙になるだけ東京都民は幸せですよ。ほんと。
 うちの県知事選なんてね、事実上選挙になってないんだから。共産党以外全党相乗り(!!)の元官僚知事の再選は事実上決まっているんだもの。
 今回の都知事選は、相次ぐテレビの公開討論会が大きなポイントになると言われる。
 話し下手で、出席を断りがちな某候補は不利だとか、テレビ慣れしている某候補は有利だとか、いや、あいつは喋りすぎるから、かえって嫌味に取られるだろうとか。
 そんな中で、『ニュースステーション』(テレビ朝日系)が、各候補者にテレビ公開討論会出席依頼をしにいくドキュメンタリーみたいなものを放送した。
 これが実際のテレビ公開討論会よりずっと面白かった。いわば、候補者の「楽屋の顔」が見えやすいからだ。
 ある人が新聞で「人間性のよさと思想性は別物」と評した某候補者が、意外に人当たりがよかったり、やっぱり某候補者は「喋りすぎ」て墓穴を掘り気味だったり――。
「本番」では見えてきにくい素顔がぽろっと出てしまい、それが映し出されるのは、候補者にとっては恐怖だろう。
 しかし、なんといってもいちばん印象が悪かったのは、都知事選候補者ではなく、事実上「選挙になってない」わが県知事選の現役知事だったのだよなあ。あーあ。
 
  
■近況
 広島の栗栖晶さんから「しょう月がきてから、なんかしらん、たくきさんがへんしんした」と評された。そうなのよ。生きていくのは厳しいことなのよ。で、変身の結果はいかに? URL: http://tanupack.com


不況時代に「ケチ」番組は受けるか?


 
『素晴らしきドケチ家族』(テレビ東京系)という番組が始まった。ケチ生活をする家族を紹介するというもの。
 この番組がスタートする前の週に『ドケチ家族傑作選』というPR特番を放送したのだが、この中身が3年前に放送した不定期番組のVTR寄せ集めというところからして、すでにケチ。新番組に採用されたドケチ家族への謝礼50万円というのも、結構ケチ。
 テレ東は、『開運!なんでも鑑定団』とか『TVチャンピオン』『愛の貧乏脱出大作戦』など、一般人を参加させる番組でいくつもユニークな企画を打ち出してきた実績があるが、はたしてこの『ドケチ家族』は当たるのかしら?
 この不況のときだからこそ、ケチは美しいというコンセプトなのだろうが、3年前なら「偉いなあ」と見ていた視聴者が、今は余裕がなくなり、見ているうちに身につまされて辛くなるかもしれない。
 いっそ、もう一歩進んで『素晴らしき一点豪華主義人生』なんて番組はどうだろう。
 路上生活者が中古でもベンツを乗り回しているとか、大型犬と一緒に暮らすために田舎の廃墟に引っ越しした夫婦とか、風呂なしアパートの中で数百万円の錦鯉を飼っている男とか、毎日粗食に耐えて金を溜め、半年に一度、超高級ソープの愛しのマリリンに会いに行き、何もしない年金暮らしのおじいちゃんとか。
 これなら単なる「ケチ」ぶりを超えている分、心が豊かになれるんでないかい?
 あ、どこかの局で採用したら、企画料ちょうだいね。
 
■近況
 電脳文豪への道を邁進するあまり、ついに自分でサーバーを所有。WEBMASTERになった。メールアドレスの発行とかもできちゃう。tanupack.comの他に、tanu.netも所有。なんだか、バーチャルな国の国王になった気分である。


ゴシップメイカーという「職業」


 
 ヨーロッパで戦争が起きていても、アメリカの高校で生徒が銃を乱射しても、日本のテレビは、相変わらず芸能人のゴシップがいちばんの興味の的。ほんとに見事なほどだ。
 羽賀研二が梅宮アンナと別れてどうのこうのという話が連日テレビのワイドショーで流れていたとき、ふと、この人は、スキャンダルというか、ゴシップを「職業」として確立しているんだな、と気づいた。ここ数年、それ以外の話で彼をテレビで見ることはほとんどなかったし。で、次は「羽賀研二みそぎ修行を決意」とかいう特番でも組むんだろなあとか思っていたら、ほんとにやっている(『走れ!!しあわせ建設』)。読めすぎー。
 サッチー醜聞にしても、テレビは最初から彼女のそうした性格を期待して起用し続けていたわけで、実生活がその「期待値」以上だったというだけのこと。石井苗子のときもそうだったけれど、「なんであんな女をテレビに出すのか」というリアクションが起きるというのは、それだけみんな見ている、視聴率が取れてるってことで、やっぱりゴシップは立派な職業なのだ。
『ニュースステーション』の菅沼さん、お気の毒だったけれど、やはり「あの人、ちょっとズレてない?」と思わせるキャラクター商品だったから、はまってしまった罠なんだろう。今、他局は彼を、前任の若林さんと同じようにバラエティーへ転向起用できないかと狙っているんじゃないかな。『マジカル頭脳パワー』で踊る菅沼さん……ううー、見たくない見たくない。
 
 
 
■近況
 嫌なことと期待できそうなことが交互に起きる今日このごろ。連休明けには、いよいよ私がプロデュースするWEBビジネスも本格始動。Enet(イーネット)というのだ。「Enetは、いいネット」と覚えてね。http://enet.cc


テレビでは放映しにくい映画?


 
 5月1日にNHK衛星第2で『クイズ・ショウ』という映画を放映した。ロバート・レッドフォードが監督した作品で、実際にあったテレビのクイズ番組での八百長事件を元にしている。
 視聴率を上げるためには、あらゆることが「演出」として許されると考えるテレビ界と、不正は不正であるとして告発しようとする連邦司法局の捜査官の対決。
 映画としては「佳作」くらいの出来だと思うのだが、こういう作品に出逢うと、なんだかほっとする。
 このところの映画界は、毒にも薬にもならないような大作主義が横行し(特にハリウッド映画。『タイタニック』はその代表)、人間や社会を深く描き出す硬派の作品はほとんど出てこない。
『クイズ・ショウ』の中で、八百長を仕組んだプロデューサーは、「我々は娯楽産業に従事している。視聴者を喜ばせるためには何でもする」と言い切る。この言葉の意味は、時と共にだんだん正当化されてきている気がする。
 かつてはジャーナリズムと呼ばれていた分野まで、テレビの中ではどんどん娯楽化されている。それを視聴者も望んでいるのだと思われたら、もうテレビはおしまいだろう。
 この映画、制作当時はずいぶん話題を呼んだと記憶しているが、結局ヒットしたのだろうか? 民放テレビ局では放映しづらい作品なんだろう。
 結局、テレビを育てるのは視聴者なのだ。ヤラセだけでなく、定番化した演出にもノーを言い続けなくてはね。
 
■近況
 映画といえば、最近『ダ・ヴィンチ』誌が特集した「映画監督が映画化したいと思っている日本のミステリー」で、鹿島勤監督が、拙作『カムナの調合』を筆頭にあげてくれていた。嬉しいね。(http://tanupack.com)


サッチー報道でTVが「言えない」こと


 
 野村沙智代さん(通称・サッチー)の社会常識を外れた行動をめぐるいわゆる「サッチー叩き」は、どうもなかなか終結しそうにない。
 ところで、この中で、彼女の講演会のいくつかがキャンセルされたという報道は、肝心なことを何も伝えていなかった。まず、「○○市で行われる予定だった講演」という言い方がおかしい。自治体の施設を使っていても、主催者が営利団体なのか、自治体そのものなのかではまったく話が違う。呉服屋の客寄せに使われたというなら、内容がどうであれ、勝手にやるなりやめるなりすればいいんだから。
 問題は税金が使われている例で、一体誰がどういう目的で彼女の講演会を企画したのか? そのためにいくら支払われていたのか? キャンセル料はいくらだったのか? そこを伝えてくれなくちゃね。
 さらには、自治体が税金を使ってこの手の講演会を主催した過去の例を、具体的に挙げてほしかった。今まで誰がいくらで呼ばれて、どんな話をしたのか? それをテレビが報道すれば、視聴者は「えー? あの人のギャラに税金がこんなに使われたの〜?」と、憤慨するなり呆れるなりすることで、少しは楽しめるから、その分、使われた税金も報われる。(テレビを見て怒ったり呆れたりすることも、一種の「娯楽」だろうから)
 それができなかったのは、やっぱりワイドショーの常連コメンテイターがずらずら並ぶからだろう。斡旋している事務所はテレビ局と運命共同体? あー、知りたいなー。
 
 
 
 
■近況
 ウサギのゴロちゃんは、毎日目に見えてでかくなってきて、目下570g。調べてみると、ドワーフ種の血が濃い雑種らしい。ドワーフといえば、「宇宙船レッドドワーフ号」、毎週必ず見ている。あれはすごいわ。(http://tanupack.com)


先が思いやられるデジタルBS放送


 
 BSデジタル放送が来年度からスタートするらしい。今まで「ミューズ方式」と呼ばれる独自のハイビジョン放送にこだわっていたNHKも、完全デジタル化の波には逆らえないと覚悟を決めたようで、今では「現行ハイビジョンテレビやBS受信機でご覧の方は、BSデジタル放送受信アダプターを付加するだけで、簡単にBSデジタル放送が受信できます。だから、今すぐハイビジョンを!」とPRしている。(なんかこの論旨は妙だよねぇ……??)
 一方、一般視聴者でBSデジタルに「関心がある」と答えたのは二割以下という世論調査もあり、なんだかお役所と放送局トップだけが右往左往している感じが拭えない。
 先日『BSデジタルの魅力を語る』(NHK衛星第一)という番組が放送されたのだが、壇上に各放送局の社長が偉そうに並んで話をしているだけ。この図を見ただけで「あ〜、こりゃだみだわ〜」と思わざるをえなかった。
 デジタルにすれば多チャンネル化も可能だが、民放各社では「それだけの番組供給能力がないから、高画質化して、チャンネル数を減らす」という作戦に出るらしい。本末転倒もいいところだ。タレントへの高額なギャラや不要なセット、タレントや容疑者を執拗に追い回すカメラクルーを見直し、ホームビデオ画質でもいいから、面白いものをどんどん出していくという発想がなぜできないの? 世の中にはお下劣バラエティやハリウッド映画以外にも、質の高い娯楽はいくらでもあるのに。
  
 
■近況
 久々に机の上を整理したら、ウサギのゴロちゃんのウンコが大量に出てきた。フロッピーや書類もオシッコ漬け。教訓「机の上は整頓しないと、ウサギの便所になってしまう」。しかし、気づかずに仕事していた私って……。(http://tanupack.com)


サッチーと野村監督の商品価値の差


 
 いやしかし、全然終わらないのね、サッチー・バッシング。美容整形外科医やら不動産屋さんまで出てきて、へえー、コラーゲンの注入って高いのね。初回は無料にしちゃったの? アバウトなのね。
 不思議なのは、ここまでサッチー・バッシング(というショーですね)が過熱しても、旦那の野村監督のほうには飛び火しないという点。前妻や前妻との間にもうけた息子にもずいぶんひどいことをしてきたらしいのに「でも、監督はいい人」という不文律みたいなものが出来上がっている。
 どうやら、数十年ぶりの阪神優勝の可能性と、それにまつわる「経済効果」とやらが、監督を守っているらしい。つまり、サッチーはバッシング・ショーの悪役を演じ続け、野村監督はリストラ世代の期待の星として頑張らなければいけないという図式なのだ。
 サッチーは視聴率を稼ぎ、監督はプロ野球の報道価値を上げる。言ってみれば「役割分担」。いい悪いじゃなくて、そうしてもらうことがテレビにとっていちばん都合がいいという論理。
 しかし、サッチーは分かりやすすぎるけれど、野村監督という人は本当に分からない。そろそろ視聴者の興味も「野村監督ってどういう男なんだ?」という方向に移ってくる頃じゃないのかな。もし、阪神がBクラスで終わったなんてことになると、テレビはたちまち「日本一優柔不断な男・野村克也」なんていうキャンペーンを展開し始めるかもしれない。阪神は必死で優勝するしかないね、もう。
 
 
 
■近況
 ウサギのゴロちゃんはついに床を食べることを覚えてしまった。フローリングが剥がされて無惨。本箱の本もボロボロ。でも下痢一つしないのね。丈夫なおなかだ。ビフィズス菌いっぱいなのか?(http://tanupack.com)


細かいこと言うよ小言オヤジ特集


 
 久々の小言オヤジ特集(なんじゃそりゃ)である。
◇最近、テレビのテロップが気になるのよ。誤字も多いが、いかにも旧式の漢字変換ソフト任せっていう文字遣い。有る、在る、或る、無い、居る、そう言う話、そんな事、かも知れない、何故……こういうのは、今では平仮名で書いてくれないと気持ちが悪い。
「そういうこと、よく言うよまったく」というフレーズを「そう言う事良く言うよ、全く」と変換してしまう神経が分からん。機械任せなんじゃろな。アシスタントが。
◇テニスの4大大会。全仏はWOWOWが、全英はNHKが中継したんじゃが、WOWOWのときのほうがずっとよかったな。いろんなカードを放送する工夫があったし、随所でトーナメントの進行状況を図で見せたり、放送しなかったカードをダイジェスト版で一気に流したりした。だから全体の流れが把握できたんじゃが、NHKはこれと決めた試合を単調に流すだけ。ドキッチは全試合映す一方で、注目のグラフ&マッケンロー組の混合複とかはやらんのね。雨が降れば、ビニールかけたコートを延々と映しとるし、サービス精神が足りん。大相撲中継の新機軸「フラッシュバックコーナー」みたいなのを入れてちょうだいな。
◇NHKといえば、教育テレビの朝と夜の7時に流していた時報も復活しておくれ。うちのビデオはあれに合わせて内蔵時計を修正する仕組みなんじゃが、ずっと機能しておらん。そういうとこはお役所っぽく不変でいいのじゃ。
 
 
■近況
 タヌパックのサイトにMP3ファイルを13曲置いてみたら、たちまちCDのご注文が増えた。MP3をめぐる違法コピー問題論争は盛んだけれど、インディーズにとっては一条の光。この流れは止められないね。 (http://tanupack.com)


一生飛べぬトキと捕まりたくない猿


「麻布の猿」はその後どうなったんだろう。テレビ局が「猿番」スタッフまで結成して追いかけ回していたとき、みんな疑問に感じていたはず。あんなもの、昔はニュースにさえならなかったし、なったとしても、連日追いかけ回すなどという報道パラノイアは起きなかった。異常なのは「住宅街に住み着こうとしている猿」ではなく、追いかけ回す人間のほうなんだよね。
 もっと腹が立つのはトキ報道。作り笑いで「すくすく育ってます」と報道するけれど、あのトキは一生自由に空を飛び回ることはないわけで、悲劇の鳥なのだ。
 佐渡の空を自由に飛び回っていた最後のトキ5羽が一斉捕獲されたのは昭和56(1981)年。捕獲決定には、当時の早稲田大学教授(ホルモン基礎研究専門)の意見が大きく影響したという。捕獲されたトキの多くはすぐに死んでしまった。作春に死んだミドリの細胞は、早大とつくばの農業生物資源研究所に冷凍保存されている。将来、遺伝子からクローンを作れないかという思惑からだ。
 トキの激減は環境汚染より前に乱獲が原因だ。また、檻に閉じこめ人工授精させたり、死んだトキの細胞からクローンを作ろうという発想は、医療倫理や生命操作につながる問題を秘めている。脳天気に「トキの赤ちゃんの名前を募集」などとやっているだけでよいのか? こんなに大きくなりましたというニコニコ報道だけでよいのか? 伝えるべきことは別にある。麻布の猿も苦笑しているに違いない。
 
 
■近況
「東芝VTR事件」は、ついに告発したユーザー側サイトのアクセス数が550万を突破。今までなら泣き寝入りだったものが、とりあえず双方の言い分を聞ける時代になったことは画期的ともいえるが、その分、我々には文章の嘘・欺瞞を見抜く力が試されている。(http://tanupack.com)


民放の「絵作り」NHKの「絵作り」


「一度操縦桿を握って有視界飛行をしてみたかった」という理由でのハイジャックというのは、恐らく世界初ではないかと思うが、あの事件でいちばん問題なのは、殺された機長の妻(事件当時外出中だった)を報道陣が自宅前で待ち伏せして、何も知らずに帰宅したところを「絵」にして全国放送したこと。ハイジャック犯人は「無職男性」で実名報道さえないのに。ニュースの絵作りのためにはなんでも許されるのか?
 生の映像ならショッキングなほどいいというのが民放流絵作りなら、NHKは、台本通りの絵作りにこだわりすぎるきらいがある。
 総合の『昼どき日本列島』とか、8月1日にBS11で6時間ぶち抜きで放送した『おーい、ニッホン〜今日はとことん北海道』などの地域紹介番組は、事前に何回リハーサルしたんだろうというような鮮度のない絵作りが興ざめ。
『さんまのスーパーからくりTV』(TBS系)の中の「日本列島ダーツの旅」などは、いかにもふらりと訪れて行き当たりばったりに土地の人に話しかけてみましたという感じが出ているけれど、NHKのは、何時間も前からそこに待機してて、台詞を言わされているという感じなのだ。
 BSの『インターネット法廷』なども、インターネットで意見を交換するということになっているが、意見の主がパソコンに向かってパコパコキーボードを叩いている画像がしらける。ああいう絵作りは必要だろうか? いい番組なのに、ちょっと惜しい。
 
 
■近況
今夏の越後は灼熱地獄。連日室内は37度前後。脳が沸騰する。仕事にならん。三遊亭円丈師匠のために、ドメインenjoo.comを取得し、我がサーバーにセット。一緒に何か面白いことやりたいですねと画策中。tanupack.com同様、enjoo.comもよろしく。
(http://tanu.net)


世界陸上「疑似生放送」演出を叱る


 楽しみにしていた世界陸上はTBSの独占。そんなぁ。
 しかし俺も大人だ。織田裕二&中井美穂の脳天気司会や、「吠える鉄人DNA室伏広治」などというキャッチフレーズの連呼もぐっと我慢しよう。陸上競技の素晴らしさをより多くの日本人に知ってもらうには、こうした恥ずかしい演出も必要悪かもしれないし。
 そう言い聞かせて初日を迎え……いきなり白けた。
 まず、夜10時スタートの番組前に、他局のニュースで、注目・伊東浩司が百メートル一次予選を通過したことを報じている。その後で、TBSでは、VTRの画面をあたかも生放送であるかのように流しているのだ。
「あ、待ってください。今、サブトラックに伊東選手が現れたようです」って、録画なのによく言うよ。
 さらには、ハンマー投げの室伏が決勝に進めるかどうかという予選の第三投目の直前、なぜか画面が数分前に戻った。同じ映像が繰り返される不思議。それで「この続きは0時20分から引き続き」って、なんだよそれ。その間、何が哀しくてオムライスの映像(『チューボーですよ』)見てなきゃならんの? その後のニュースでも、室伏の予選落ちは分かっていたはずなのに報じないで世界陸上に戻る。
 勘ぐれば、あのまま生映像を流していると、番組中断寸前で室伏の3投目に入ってしまう恐れがあったからわざと映像を数分戻して「時間調整」したんじゃないかとも思える。だとしたら、とことんなめられてるなあ、われら視聴者。
 
 
■近況
久々に本が出ます。『インターネット時代の文章術』(SCC。1600円)。固い内容ではなくて、単純に読み物として読んでも楽しめるよう工夫したつもり。その後も数冊予定されてて、毎日原稿書きでっす。がんばろ。(http://tanu.net)


死者への配慮と自然への冒涜と


 神奈川県の山中、玄倉川中州にテントを張って宴会していた人たち十数人が、集中豪雨の増水のために流された事故はまだ記憶に新しい。
 人々が濁流に呑み込まれる瞬間の映像は、当初、いくつかのニュースなどでそのまま流されたが、以後は自粛して流さなくなった。かと思うと、遺体捜索を生中継していたワイドショーでは、たまたまそのときに引き上げられた若い女性の水死体を生々しく映し出したりもしていた。
 テレビにとって、映像は大切な要素だが、それよりも気になるのは報道の姿勢に一本芯が通っていないことだ。
 遺体捜索をしやすくするために、丹沢湖の水を大量に抜いたことに対し、愚行だと指摘するコメントがない。
 水没している遺体を発見しやすくするだけのために、県民の貴重な飲料水を捨てたのだ。これは許されることなのか? 誰が決めるのか? そうまでして遺体というものは回収する必要があるのか?
 自然を侮り、自然に呑み込まれた者たちを、自然の中にそのまま葬るのも、ひとつの見識である。水を抜くより、ダムに事故のことを記したモニュメントでも建てればよい。
 サイレンが鳴り響く中で子供を連れた大人が川の中に居座るのは無理心中に近い。また、あの事故のために一体どれだけの税金が使われ、どれだけの人が迷惑を被ったのか。それを明示してこそ、視聴者はあの事故の意味を深く考えることになる。「痛ましい事故」という報じ方だけでは、死んだ人々も浮かばれまい。
 
 
■近況
『インターネット時代の文章術』(SCC。1600円)好評発売中。続編『インターネット時代の英語術』も刊行予定。三遊亭円丈師匠とは本格的にインターネット上でコンビを組むことになりそう。(http://tanu.netとhttp://enjoo.com)
///追記・2000年6月///
 この文には猛烈な抗議文が送られてきた。死者への冒涜であるというような内容だったが、そうは思わない。「水葬」というのは立派な自然葬であり、ダムや海の中には、もともといろいろな生物の死骸があるわけだから、「そんな水を飲めるか」という感性もおかしいと思う。
 あらゆる有機物は循環してこそ「浮かばれる」。なにがなんでも遺体を回収するという姿勢こそ、人間の傲慢を端的に示しているのではないだろうか?


ソフト多様化時代をどう生きるか?


『Bet On Jazz』というジャズ専門チャンネルに惹かれて、ディレクTVに加入してみた。
 24時間ジャズ三昧と思いきや、日本向けの「ラップ番組」が邪魔。別のチャンネルにしてほしいもんだ。
 しかし、CSはやはり違う。『ジャズ・ディスカバリー・ショーケース』という番組では、全世界から送られてくる新進アーティストのビデオをそのまま流している。中には近所の公園で8ミリビデオに一発録りしましたみたいな粗い映像のものもある。家庭用ビデオの揺れる映像、ひどい音質もそのまま。でも、アーティストの意気込みはびしびし伝わってくる。日本だったら、荻原健太とかタレントを数人呼んできてあーでもないこーでもないと論評させ、さあ、合格するでしょうか? と、無理矢理オーディション番組に仕立てるところだが、『ショーケース』は送られてきたビデオを流すだけ。その間中、アーティストの連絡先がテロップで出ている。興味ある業界関係者は勝手に連絡してくださいという姿勢。
 これが文化の厚みの違いなんだろうな。歳や容姿は関係ない。実力と面白さが勝負。
 視聴者も自分の意思で気に入ったものを選び取る。
 プレステ2が出て、DVDやインターネットが当たり前になってくると、ソフトを自分で探し出し、選び取る能力が必要になるだろう。そうした「ソフト多様化時代」に日本人は耐えられるのか?
 宇多田ひかるは「与えられた」ソフトだ。あの程度の「ソフト」はいくらでもある。
 
 
 
 
■近況
『インターネット時代の文章術』(SCC。1600円)好評発売中……なんだけど、パソコン書籍売場だけじゃなく、ビジネス書のコーナーにも置いてほしいなあ。http://tanu.netに立ち読み版あります。


東海村JCO事故の何が怖いのか?


 東海村の核燃料施設で起きた事故については、とてもこの誌面では書き尽くせないのでやめるつもりだったのだが、ポイントだけでもまとめておくことにした。(雑感を、インターネット上に日記として掲載しました。興味がある方はアクセスしてみてください)
●臨界事故…ウラン235をゆっくり核分裂させて燃やし、その熱でお湯を沸かし、発電タービンを回すのが原子力発電。一気に燃やすと広島型原爆になる。今回の事故は、ウランが放っておいても連続して反応し、燃え続ける状態(臨界)を、原子炉の外で起こしてしまったことになる。
●通常状態では臨界になりえない5%以下の低濃縮ウラン(一般軽水炉用)と、一定量を超えて集めると臨界に達しうる10%以上の高濃縮ウラン(今回のは18%のもの)を、同じ施設、同じ設備で扱っていた! しかも、作業員がその区別の重大さを知らなかったという驚くべき実体。
●許し難いのは、消防署への通報時に、核の事故だということを一切言わなかったこと。消防士は防護服を着ないまま放射線を出し続けている現場に突入した。これは殺人に等しい。事故責任とは別に追及すべきだ。
●放出放射能の怖さをメディアはあおり、それが大したことはなかったと分かってくると急速に沈静する。やがて人々も忘れてしまう。文明の死滅を意味するかもしれない重大な事柄に対し、自分の力で正しい知識を知ろうとしない(現場の作業員でさえ)。この虚無感がいちばん怖い。
 
 
 
 
■近況
『インターネット時代の文章術』(SCC。1600円。発売中)に続き、『インターネット時代の英語術』も11月に発売予定。今度はカバーデザインも担当させてもらった。http://tanu.netに立ち読み版があります。


『ここがヘンだよ〜』はここが変だよ


 スタジオに在日外国人を集めて、日本人の習癖や風俗、日本文化の「ここがおかしい」というところを指摘させるという趣旨で始まった(はずの)番組『ここがヘンだよ日本人』(TBS系)が、最近どうもヘンだ。いつしか外国人の過激な発言や特異なキャラクターを日本人が見て楽しむという趣向になっている。これはかつて『笑っていいとも』(フジテレビ系)からオスマン・サンコンやケント・デリカットらのタレントが生まれたときの経緯に酷似している。
 ベナン共和国のゾマホン氏は「危ない性格のサンコン」で、アジア系の風貌でアメリカの正義を振りかざす日本語ペラペラのケビン氏はジョークの出ないデーブ・スペクターというところか。
 別の大義名分を立てた上で、実は単なる「変な人」ウォッチングの番組にして視聴率稼ぎを狙うというのは、野村沙知代を出演させ続けた『怪傑熟女』(これもTBS系)と同じ手法。視聴者は「あの女、まだいけしゃあしゃあとテレビに出ている!」と怒ったが、その反感と好奇心が視聴率を上げるという矛盾を生んだ。
 最近では外国人同士を反目させたり(中国人以外の外国人に中国人を攻撃させた「ここがヘンだよ中国人」企画)、同性愛者という別のマイノリティ集団をターゲットにして過激発言を誘い出そうとするなど、意図的な細工がありあり。ついにはスタジオ内暴力沙汰を「こんなことがあっていいのか?」と問いかけながらも予告編に使う始末。面白さの質が低下してないか? 
 
■近況
『インターネット時代の文章術』(SCC。1600円。発売中)に続き、『インターネット時代の英語術』が11月に発売。12月初旬には、栗栖晶君との文通記『ありがとうの歌』(ポプラ社)が発売予定。http://tanu.net。


今さらながら感心声優の技とタクミ


 WOWOWで『刑事コロンボ』の新作をたまにやっていて、そのコロンボ役の吹き替えが銀河万丈という声優さん。
 最初は気づかず、石田太郎もうまくなったなあと思っていたら、違う人だった。故・小池朝夫氏から数えれば三代目。その小池氏の声は、CSでやっている昔のコロンボで聞けるけれど、銀河氏とあまり区別がつかない。へえー。
 CSといえば、かつて『世界まる見えテレビ』(日本テレビ系)で「こんな破廉恥な番組がある!」と紹介していたイタリアの『コルポグロッソ』という番組を、今、CSで見られる。男と女がクイズで対決して、負けると服を脱いで点数を回復するという趣向。点数がたまるとモデルの女の子の服を脱がせられる。
 内容もすごいけど、感心するのは、日本語吹き替えをたった二人の声優さんがやっていること。司会役の中年男性の他は、男性出演者、女性出演者、女性モデルたちの声を全部、むたあきこという声優一人でこなしている。ほおー。
 七色の声といえば、乱一世もすごい。『噂の東京マガジン』(TBS系)の中の「やってTRY」というコーナーで女の子を揶揄している児島三児のような声も、甲高い小島一慶風の早口ナレーションも、全部彼。おひょー。
 最近はすっかりフジテレビの朝の顔になっている小倉智昭が、番組の中でトヨタファンカーゴの早口CMナレーションに挑戦していた。CMは編集処理しているけれど、生でほぼあの速度で読み切った。さすが元声優。むひょー。 
 
■近況
私と吉原寛で結成しているギターデュオ・KAMUNAのライブを収めたビデオをBET on Jazz(アメリカのジャズ専門テレビ局)に送ったところ、放送決定の通知が来た。Jazz Discoveryという番組。日本ではディレクTVで見られる。いよいよKAMUNAも世界へ進出!? http://kamuna.comもよろしく。


日本では作れない『アルケミスト』


 WOWOWが無料放送キャンペーンをやった去る11月13日、実に見応えのあるドラマが放送された。『アルケミスト 背徳の遺伝子操作』というイギリス制作の3時間ドラマで、テーマは生命倫理。
 大手製薬会社で密かに行われている遺伝子操作実験と陰謀をめぐるサスペンスと言ってしまえば簡単なのだが、このドラマ、日本では絶対に作れないものだった。
 例えば、地雷撲滅を叫ぶのは簡単だが、地雷を作っている兵器会社と、義足を作っている医療装具メーカーは、大元で同資本だったりする。
 除草剤に強い遺伝子組み替え作物の種子は、その除草剤とセットで売られる。あまり言うとネタバレになるのでやめるが、このドラマはそうした資本主義の闇を鋭く告発している。
 製薬会社は民放テレビの大スポンサーだから、日本では製薬会社を悪者にするような番組は作りにくい。このドラマの場合、単に悪者にするだけでなく、医療ビジネスとは何かという本質をえぐり出しているわけで、たとえ海外ドラマだとしても、民放地上波では到底放送できなかっただろう。NHKでも難しいかもしれない。アメリカでもこれだけの硬派ドラマは作れないのではないか。イギリスの放送文化の質というものを改めて思い知らされた。
 もっとも、これが民放地上波では見られない類のドラマだと見抜き、WOWOWに加入しようと思った視聴者がどれだけいるかは疑問で、そこがなんとも歯がゆいのだが。
 
■近況
『インターネット時代の文章術』に続く『インターネット時代の英語術』(SCC)いよいよ発売。広島の「天才詩人」栗栖晶くんとの交友録『ありがとうの歌〜ぼくの歌をつくってください』(ポプラ社)ももうすぐ発売。URL http://tanu.net


「雑」と「ストレス」が支配したTV界


 
 バケツでウランをホイホイ運んでミニ原子炉を作り出す原子力産業の実体が露呈したり、ミイラ化死体が「生きている」と主張する、オウムも恥じらう(?)カルト集団が出てきたり、35歳・2児の母親がまさかの「お受験殺人」を実行したり…世紀末ショーは年が押し迫ってもまだまだネタ切れになりそうもない。
 小説にしたら「そんな間抜けな話では読者が納得しない」と、編集者に叱られそうな事件・事故の連続だった99年。事実は小説よりも奇なりというが、あまりにも「雑」な出来事が多かったように思う。
 雑な事件を報道する姿勢も雑だし(相変わらず意味もなく警察署前に立って家族構成図などを示しながら説明しているしね)、ヤラセ番組疑惑とか、テレビカメラマンが民家の風呂場を盗撮など、制作現場の「雑」さも目立った。
 今年を表すもうひとつのキーワードは「ストレス」。雑な事件の背景には、借金、家庭崩壊、就職難・子育てノイローゼ、愛の不在などなど、様々なストレスが存在し、そうしたストレスを演出し、誇張して見せた番組がヒットした(『怪傑熟女』や『愛する二人別れる二人』など)。
 テレビ番組を作る側も見る側も、心がとても貧しくなってしまっている気がする。
 2000年代、テレビは再び夢と想像を取り戻せるのだろうか? おっと、その前に、今年の「行く年来る年」はY2K(コンピュータの西暦2000年問題)トラブルが起きるかどうかというサスペンス付きだ。いやはや。
 



     
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