たくき よしみつ 『ちゃんと見てるよ』

 
(週刊テレビライフ連載 過去のコラムデータベース)


 

 98年1月〜98年年末まで


「京都会議」報道ってなんだったの?


 昨年末に京都で行われた温暖化防止京都会議は、結局のところ、現代人には自然をコントロールする能力など到底ないのだということを再確認させただけだった気がする。
 そもそもこの問題を正確に報道できたマスメディアはあっただろうか? 報道する側も、情報を受け取る側も、環境問題の基本を分かっていないから、「南の島が海に沈む」などの情緒的な言い回しや、「多少不便でも『無公害自動車』の導入を」……といった切り口ばかりが先行する。
 例えばNHKではいろいろな特番を組んでいたが、その中の一つは、テレビの電源コードをコンセントから抜いて「指示待ち消費電力」(リモコンの命令を受け付けるために絶えず消費されている電力)を節約すると1年間でどれだけのCO2が削減できるか、などということをもっともらしくPRしていた。
 その一方では、電気自動車はあたかもCO2を出さない無公害カーであるかのような報道をする。指示待ち消費電力と電気自動車が消費する電力では比較にならない程の差がある。電気自動車が製造され、耐久年数を過ぎて廃棄され、そこから出るバッテリーなどの処理困難ゴミをきちんと廃棄するまでにどれだけCO2や有害物質を出すことになるのか、まともなデータを試算してみよういう番組を見てみたいものだ。
 京都会議の意義と成果などという前に、メディアはもっと基本的な知識を学び、「ものの考え方」を提示する番組を作る努力をすべきだろう。
 
■近況■
今年は厄年を抜けるはず。去年までの悪夢を少しずつ乗り越え、復活する予定。CDも最低3枚リリースが目標。でも、無理はしないの。たらたらと不景気なりにやりましょう。


問題の『ポケモン』を見てみたぞい

 年末に起きたポケモン失神騒動は、作家としての想像力や好奇心を強く刺激するSF的な事件だった。
 こういう事件が起きると、すぐにインターネットの世界ではよからぬ情報が飛び交う。翌日には「ポケモンビデオ売ります。1万円」なんていう掲示が出ていたとか。(ちなみに私もこうした下世話な誘惑には弱く、酒鬼薔薇事件の「A」少年の写真と本名情報、ダイアナ妃事故直後現場写真なんてものもインターネット経由で入手した。ダイアナ妃事故写真は偽だという噂もあるが、偽だとしたら相当精巧なコラージュ)。
 今回は幼稚園児の姪ッコがビデオに撮っていたというので即確保。お正月にかみさんの実家に集まったおり、みんなで鑑賞会とあいなった。
 問題のシーンは思っていたよりも短くて、光の点滅による刺激というのも大したことはなかった。むしろそれまでに何度かあった白っぽい画面のほうが光量的には刺激が強い気がした。
 多分、このシーンだけを抜き取って見せても、失神する子供はいないんじゃないかな。要するに、この『電脳戦士ポリゴン』という回は出来がよくて、子供たちがいつもより強く画面の中に引き込まれたのではないだろうか? 
 番組の休止措置というのは、いつものことながら後味の悪さだけが残る。
 それにしても、失神して病院に運ばれた人間の中には40代の男性というのも一人いたとか。よほど純真無垢なおじさんだったのかなあ……。
■近況■
元旦は近所の神社を巡って狛犬ぞめ。その日のうちにインターネットの網頁「別館・狛犬博物館」に載せてしまうという荒技。こういう時代だからこそ、狛犬に惹かれるのだよね。わっかるかなー。今年もどうぞよろしくお願いしまする。


パンツの数は19枚? んなわけないじゃん


 正月4日に放送された『今夜発表!初めてわかる日本女性実体赤裸々大アンケート!!あなたはすでにズレている?!』なる特番を見てしまった。
 この番組、東京・大阪の5000人の女性たちを対象にアンケートを行ったというが、既婚未婚の比率や平均年齢はどうだったのか? 
 例えば冒頭に「持っているショーツの枚数は?」という問いに対して、「19枚と答えた女性が最も多く、5000人中1076人」だったという。……本当か? 
 パンツを何枚持っているかと訊かれて、正確に「19枚」と答える女性が5人に1人以上いるだろうか? 普通は「20枚くらい」とか「15枚くらい」とか「30枚ちょっと」とか答えるんじゃないだろうか。
 多分これは、答えた枚数の平均値が19枚前後だったのだろう。だとしたら「1076人」はどこから出てきたのか?
 なんかもう、この時点で、ああ、この番組は嘘臭いなとしらけてしまった。
 案の定、その後も妻の外出を尾行する隠し撮りの声がアフレコ臭かったり、いろいろ怪しい点が続出。データがいい加減だと、こういう企画は全然楽しめない。後半、こぶ平の携帯電話のメモリを呼び出して、六本木のリカちゃんの存在が浮かび上がるという「おいしい」シーンまでが、嘘臭く感じられてしまう。
「六本木のリカちゃん」がヤラセなしだったとしたら、それまで嘘臭く見せてしまったスタッフの安直な構成・演出は罪が深い。こぶちゃん、やられ損じゃないか。
■近況■
元旦は近所の神社を巡って狛犬ぞめ。その日のうちにインターネットの網頁「別館・狛犬博物館」に載せてしまうという荒技。こういう時代だからこそ、狛犬に惹かれるのだよね。わっかるかなー。今年もどうぞよろしくお願いしまする。


権威に腰が引けてる


『誰でもピカソ』
「たけしの〜」と冠がつく番組は、現在『万物創世記』(テレビ朝日系)『誰でもピカソ』(テレビ東京系)『TVタックル』(テレビ朝日系)などがあるが、どれも中途半端にインテリぶっている気がして物足りない。
 例えば『誰でもピカソ』で数億円のストラディバリウスと5万円の安物バイオリンを弾き比べるという企画があった。「やっぱり違いますね」では面白くもなんともない。
 音楽評論家や一流バイオリニストに目隠し試聴実験をさせるというなら俄然面白くなる。それも、5万円の安物ではなく、50万円の国産バイオリンと弾き比べたら相当面白い。大昔、NHKで似たようなことをしたら、一流の音楽評論家が誰もストラディバリを当てられなかったとか。
 権威主義に疑問を投げつけてこそ「たけしの〜」という冠が生きるのではないか?
 一般からの応募者が作品の「芸術性」を競って勝ち抜きするというコーナーには、普通のプロ美術家も出てくる。これを審査員がくさすだけでは従来の「高みからの発言」と同じ構図だ。工芸品なら人間国宝級の作品と、絵画なら億単位で取り引きされる作品と応募作品を並べて、どちらがどちらか言わずに一般視聴者百人に「芸術度」を投票させるというのはどうか。
 芸術ってなんなんだ? そんなに偉そうなものなのか? という素朴な疑問を娯楽番組の形にすることができれば、『誰でもピカソ』は本当に面白い番組になる。でも、今のままでは腰が引けすぎている。
■近況■
年末に買った「グランディア」というゲームをやっているんだけれど、世界観とか哲学とかが完璧に欠如した物語にがっかり。『天外魔境・風雲カブキ伝』とか『マザー2』はよかったなあ。


2カ国語放送じゃない外国ドラマ


『刑事ナッシュ・ブリッジス』(テレビ東京系)というドラマをご存じだろうか。これが結構不思議な番組なんである。
 まず、テレビ東京はこれを日曜日の昼間という腰の引けた時間帯に放送しているのだが、お子さまアニメや演歌番組、温泉紀行より視聴率が稼げないと判断しているのかなあ。主演のドン・ジョンソンは『マイアミ・バイス』でスターダムにのし上がった人気俳優だし、購入金額だってそんなに安くはないはず。
 もっともテレ東は鳴り物入りで放送した『マイアミバイス』の視聴率が散々だったので、強気にはなれないのかも。それでも懲りずにドン・ジョンソンの新作を買ってくるあたりがテレ東らしくて好きよ。
 次に、この番組、外国ドラマなのに二カ国語放送ではない。ステレオ放送なのだ。
 音楽がかっこいいから、英語の台詞を捨ててでもステレオで行こうということなのだろうか。英断と言えば英断だが、それにしてはドン・ジョンソンを吹き替えている野沢那智が浮きすぎている。
『マイアミバイス』のときは、確か堤大二郎だったと思う。あれもちょっと違うという感じがしたんだが、野沢那智は違いすぎだなあ。原語版を切り捨てるんだから、もう少しピタッと来る人選にしてほしかった。
 違うと言えば、『刑事コロンボ』の石田太郎氏も、なんかどんどん外れていく気がする。小池朝雄氏死去の後、小池氏のイメージに近い声優ということで選出されたのだけれど、馴染めないなあ。
■近況■
2月17日渋谷ジァンジァンの「三遊亭円丈炎の百番勝負」で円丈師匠がかけた新作ネタ、実は師匠に頼まれて僕が下読みした。師匠にギャグのセンスを見込まれ「次はぜひ書き下ろしを」とか言われたのだが、はて……。


テレビが作れなかった五輪ドラマ


「雪上を舞う女子高生!上村愛子登場」(TBS『長野五輪ハイライト』)「でるか愛ちゃんスマイル!?注目のモーグル上村選手に超密着」(テレビ朝日『Jチャン』)「モーグル上村愛子速報」(テレビ朝日『ニュースステーション』)……これらは2月11日朝刊テレビ欄に踊ったニュースや五輪特番のサブタイトルの一部だ。どの局も、上村愛子をヒロインにしようと躍起になっているのが分かる。IBMのCMに起用され、直前のワールドカップで好成績。おまけに可愛い女子高生とくれば、放ってはおかないということなのだろう。
 ところが、蓋を開けてみれば、上村は見事に七位入賞したが、先輩の里谷多英がまさかまさかの金メダル。冬季五輪で日本人女性選手初という大快挙。上村の名前ばかり聞かされていた視聴者は「里谷って誰?」という反応。もちろんその瞬間からメディアは掌返しの熱狂ぶりだったが。
 事前に上村だけがちやほやされていたため、プレッシャーや喧噪を一人で背負ってしまったようなところがある。その分、里谷は静かに調整ができたのかもしれない。メディアの事前報道って、ほんとに罪だな。
 スポーツのドラマ性をメディアが事前に演出する必要はない。予測を裏切ったドラマこそ面白い。その点、原田は本当に芸人というか、見ている者を裏切り続けて楽しませてくれる。絶対いくと思ったノーマルヒル二回目はドジって、またかよと諦めていたラージヒルで復活。偉いなぁ!
■近況■
タヌパックスタジオのミキシングコンソールを最新式のデジタル制御卓に入れ替えた。オートミックスもできる夢のような卓なのだが、それまで使っていた200万円の重量級卓の下取り価格が3万円。泣く。


ちゃんと見てたよ長野五輪中継NG集


●女子モーグル。解説役の山崎修氏の「すっげー、多英」は話題になったが、他にも思わず漏らした「まずい!」に驚いたおじさんは多いはず。現代日本語では「まずい」「やばい」は「素晴らしい」と同義語なのか? これは「とーそーしん」CM以上のカルチャーショックだわ。
●ジャンプラージヒル。原田が2回目一三六メートルという最長不倒を決めた後、アナウンサーも解説者も「原田と船木の金銀は間違いありません」を繰り返す。でも、ソイニネンと原田は飛距離の合計が同じ。それなら飛形点が悪い原田のほうが下だってことはすぐに計算できる。速報テロップもソイニネンが飛んだ後、三位という間違った表示。結果的には4位との差がわずか0・1点。あれで原田が銅を逃していたら、どっちらけの責任、どうとってくれたの?
●美人で可愛い笑顔の岡崎朋美と地味で愛想のない島崎京子がメダルを競った女子スピードスケート500m。岡崎のメダル確定後、隅で悔し涙を流す島崎を、スタジオのアナは「岡崎選手のメダルに感激しての涙かもしれません」。……なわきゃないじゃん。
●キャスターの長嶋一茂。「名選手が必ずしも選手育成に長けているわけじゃないのに、八木さん(ジャンプ船木のコーチ役)は凄い」と発言。もしかしておやじと比べてた?
●しかし最悪のNGは閉会式。五輪旗を降ろし、運ぶ役は自衛隊員ではなくて子供たちにすべきだったね。あの軍隊式行進を見て、ここは北朝鮮かと目を疑った人は多いはず。
■近況■
番外編・長野五輪そっくりさん特集。「眉剃り」船木と舟木一夫(まさか親戚じゃないよな)。女子フィギュア金のリピンスキーとナイナイ岡村。モーグル里谷多英と樹木希林(あるいはその娘)。


スポンサーの番組支配は進むのか?


 ある番組で、突然、本放送の画面の下のほうからビールの泡みたいなものが現れ、画面の半分近くを覆ってしまうというCMが流れている。キリンビールのCMだが、最初に見たときは驚いた。これだと本放送(番組)とCMの境目がなくなり、CMをスキップしにくいし、注目度も高い。
 去年あたりから、番組の下に頻繁にテロップが入る現象が目につき、新聞報道などでも話題にされた。制作側が強調したい、伝えたい部分だけをテロップにすることで、視聴者の受け取り方までコントロールしていると。番組画面に割り込んで流れるCMというのも、視聴者の意識を逸らせずにコントロールするという意味では、テロップ作戦に近いかもしれない。
 ただ、こうしたCMがどんどん発展すると、スポンサーが番組本体を浸食していくことにもなりかねない。
 不況でスポンサーが細切れになれば番組への支配力は弱まる。でも、逆に大スポンサーはますます大切にされ、番組をコントロールできるようになるかもしれない。
 若禿げ防止にはどうすればいいかという内容の番組で、「いいシャンプーを使いましょう」なんていうしょーもない結論を出しているので呆れていたら、化粧品メーカーがスポンサーだった。本当はシャンプーをやめて石鹸で洗髪したほうが禿げないが、スポンサーがシャンプーや育毛剤のメーカーだからそうは言えないわけだ。これならいっそ、有料放送多チャンネル化のほうが健全かもしれない。
■近況■
デジカメを買った。当初は「あんな玩具なんか」と馬鹿にしていたのだが、やっぱり即時性というのは偉大だ。性能もよくなってるし。これでインターネット網頁の日記なども、写真入りが増えるだろうな。


こんなにあるのね「衝撃映像」特番


 改編期になると必ず出てくるパニック再現特番や衝撃映像特番。
 3月23日『奇跡の生還!!九死に一生スペシャルわたしはコレで助かった!第5弾』(日本テレビ系・2時間半)、24日『劇的瞬間スペシャル!衝撃映像未体験ゾーン』(フジテレビ系・3時間半)、25日『熱血スクープ報告!!奇跡の生還者〜生と死を分けた運命の一瞬』(フジテレビ系・2時間)、26日『総力生放送スペシャル事件の最前線直撃24時』(テレビ朝日系・3時間)、27日『衝撃の映像クラッシュ98超過激濃縮特大号!(TBS系・2時間)……なんと、この5日間だけで13時間! いくらなんでも毎日3時間近くの「衝撃映像」につき合わされていては、感覚が麻痺してくる。
 でも、よく見ていると、同じような番組でも内容や取り組み姿勢が違うのが分かる。
 ちょっと感心してしまったのは日テレの『九死に一生スペシャル』(23日)だ。なにしろ再現映像がめちゃくちゃ凝っていて、金がかかってる。
ウルトラマンなんかよりずっと迫力のある特撮は、ハリウッド映画に負けないと言ったら誉めすぎだろうが、これまでの「再現映像」とは一線を画する秀逸なものだった。
 これに対し、フジの『奇跡の生還者』(25日)は、再現映像も見劣りするし、タレントやアナウンサーを起用しての「体験実験」とやらが中途半端で、逆に緊迫感が削がれてしまう。やはり何事も一途にやらないと、視聴者に「衝撃」は伝わらないのだね。
■近況■
「アミノ酸せっけんシャンプー」なるものの正体を見極めるべく、いろいろ調べてみた。衝撃の事実が!! 最近は怪しい「石けんシャンプー」が多くて、騙されてしまう。近々網頁で報告予定。


再現ドラマ役者を集めたこんな企画


 ご対面番組としてすっかり定着した『ああ!バラ色の珍生』(日本テレビ系)だが、実はご対面シーン以上に、再現ドラマが面白い。
「父親が酒乱で妻と子供に乱暴」「継母(養父)が露骨な差別」は定番。そのドラマを演じる役者も、いじめられる女の子役、酒乱の父親役、鬼の継母役、みんな決まっていて、すっかり顔も覚えてしまった。(特に、いじめられ役の女優さんは、暗い色気があって、マニアックなファンがいるかも……?)
 でも、あの役者さんたち、他のドラマなどではほとんど見たことがない。台詞が吹き替えだから、生の声さえ視聴者は知らない。そこで、いっそ「再現ドラマ役者」だけを集めた本格創作ドラマというのを作ってみたらどうだろう。彼らが生の声でどんな演技をするのか、一度見てみたい。
 さらには、いつもと役を入れ替えたドラマも見てみたいなあ。鬼の継母役の役者が、優しい(でも、病弱な)実母役に。酒乱の暴力父親役の役者が、頑張り屋だが、騙されて借金を背負ってしまう正直者の父親役に。悲劇のヒロイン少女はいじめっ子に……。
 ついでに、同じ親子の半生記を、捨てられた子供と、敵役(あるいは捨てた親)の両方の側からの証言で別々に再現してみるという実験も面白そうだ。敵役側から、「あの子こそ、とんだあばずれで……」なんて反論が出て、全然違うドラマになる可能性大。
 プロ野球中継で番組放送が少なくなる時期にこそ、いっそこんなスペシャル版はどう?
■近況■
4月に入って、今年初めての越後滞在。例年より雪は少なく(それでも窓の下まで積もっていたのだが)家も無事だった。田舎は、豆腐は消泡剤無添加だが、石鹸シャンプーは置いてない。


お手軽さが覗く「どっきり宅配便」


 4月から、『日本列島どっきり宅配便』『愛の貧乏脱出大作戦』(どちらもテレビ東京系)という番組が始まった。
 視聴者から募集した願いをテレビ局がかなえるという発想が共通しているのだが、出来が全然違う。結論から言えば、『宅配便』は×、『貧乏』は○である。
『どっきり宅配便』はまず、応募ビデオなるものからしてヤラセ。視聴者がビデオでテレビ局にお願いをしているという演出だが、番組制作が全部決まった後、テレビ局のプロがカメラを回しているのは明らか。しらける。
 また、企画がすべて「売れていない(失礼!)芸能人を田舎に派遣する」というパターンで、まったく工夫がない。田舎の人間は芸能人を見れば喜ぶだろうというような奢りが見えるのだ。子供が、世話になった両親や祖父母を喜ばせたいという話が多いのだが、肝心の親は、派遣された芸能人を知らなかったりするというお粗末。最初にお涙ちょうだいの意図ばかりあって、それが上滑り。これじゃあ小朝の老人ツッコミより下品だ。
 片や『貧乏脱出』のほうは、売れない飲食店経営者が一流の料理人や経営者に弟子入りして鍛え直してもらうというパターンだが、依頼されたプロ中のプロたちが半端なことはしないので、ちょっとしたドキュメンタリーになる。多分、一流の人間の持つ技や厳しさが、番組制作者の思惑以上に画面に出てきて、視聴者の心に触れるのだろう。
 番組作りの精神も、こうじゃなきゃね。見習いましょう。
■近況■
連休中は越後の仕事場で大工仕事三昧だった。玄関や台所の壁を杉板張りにした。成果は網頁の日記に載せたので見てね。今年は音楽CDを数枚作る予定。


中途半端な訂正はかえって誤解の元


 5月19日放送の『お宝なんでも鑑定団』(テレビ東京系)で、最後に「訂正」があった。
「5月12日の放送の中で、アイヌに関する古文書について、アイヌの反乱及び一揆と表現しましたが、史実ではないので、アイヌと松前藩の戦いと訂正させていただきます。ご迷惑をおかけしましたことを謹んでお詫びいたします」
 しかし、この訂正、よく考えると不可解だ。
 古文書を解読した研究者が古文書に「一揆」という表現があるのでそのまま読んだとしたら、「古文書には一揆という表現がありましたのでそのまま読みましたが、アイヌ民族は朝廷や幕府に隷属していたわけではなく、侵略者である松前藩と戦ったというのが史実です。補足して説明いたします」が適当だろう。
 古文書を忠実に解読した結果「一揆」「反乱」という言葉が出たのか、解説の言葉の中で研究者が勝手にそう表現したのかではまったく事態が違う。解説者が自分の言葉でそう言ったのなら「訂正」するべきだが、読んだだけなら訂正の必要はない。
 この手の「訂正」を見た視聴者は、「ああ、また関連団体からクレームがついたのか」と思ったに違いない。
 事なかれ主義から生まれる中途半端な訂正は、問題をますますタブー視させるばかりで、かえってきちんとした歴史解釈を妨げることにもなる。これは誰にとっても幸福なことではない。訂正するならするで、きちんと問題に対峙すべきだ。その姿勢がメディアとして、一番大切なことだ。
■近況■
今年はCDを3枚以上作ろうと思っているのだが、1年の半ばにさしかかってもなかなか作業が進まない。演歌CD『葛城慕情』というのも制作中なのだが、タイトルに反対意見続出。ダメかな? 


食い物を「安全牌」にする逃げの姿勢?


 最近、TBSは一日中誰かが何かを食べている映像が目立つ。両隣の局が聖子の再婚ショーを大騒ぎでやっているときも、TBSだけは何事もなかったかのように、誰かが黙々と何かを食べている。
 立派といえば立派、これは一つの見識である。しかし、行きすぎるとその見識も疑わしくなる。
 硬派の社会派リポートが売りであるはずの『噂の!東京マガジン』。日曜日の午後はこれを見ることが多いのだが、5月24日の放送では「噂の和歌山ラーメンを追う」と題して、よくある食い物番組に成り下がっていた。食い物の話題なら権力とは無関係だから安心して放送できると考えてのことか……などというのはうがった見方だろうか?
 この番組に視聴者が期待しているのはラーメン紀行ではないはずだ。役所や大企業の不正・怠慢、法律の不備・矛盾や、社会慣習や流行への疑問を呈する路線こそこの番組の見所だったはず。翌週は欠陥住宅の話題に戻り、少しほっとしたが、先行きに不安を感じてしまった。
 また、私は決して過剰なフェミニスト的主張を売りにした似非論客は好きではないが、この番組、女性出演者が少ない。中村あずさが降りた後を継いだ女性は、中村の容姿だけを忠実に再現したようなマスコット的存在で、番組内では意見を言うこともない。男性レギュラー陣の冷やかし的ギャグや突っ込みを受ける、いかにも「お約束」的存在を忠実にこなしている気がして、これもちょっと気がかり。
 
■近況■
毎日録音作業に明け暮れている。デジタル録音の世界はほとんどパソコンを相手にするときの苦労と同じで、とても神経が疲れる。優秀な道具だけれど未完成で不安定。道具としててなづけるのは大変だ。 


外国人タレントが話す怪しい英語!?


 世間はサッカーワールドカップで盛り上がっているが、日本人は相変わらず外国(人)に対しての感覚がずれている気がしてならない。
 世界的に見れば、第二次大戦後、戦争や内乱を経験していない国のほうが少ないくらいで、W杯出場国の多くも、単なるスポーツとして以上の感情移入があるに違いない。
 ずれているといえば、かつて朝のワイドショー番組で、ウィッキーさんというスリランカ人が、朝っぱらから通勤途中の人を呼び止めて、しょーもない英会話を強要するというコーナーがあった。なぜスリランカ人が、母国語でもない英語を日本人に教えようとしなければいけないのかと不思議でならなかった。
『さんまのスーパーからくりTV』(TBS系)という番組で、カミュという外国人タレントが日本人に英語の問答をしかけるという似たようなコーナーがあるが、これを見ていて、かつてウィッキーさんに感じたのと同じ疑問が蘇った。このタレント、名前からしてフランス人だと思うのだが、どうも喋っている英語が怪しい。そもそも、「ハーハァ」と「イングリッシュ、プリーズ」くらいしか聞いたことがない。なんか、外国人ならみんな英語が上手に喋れるという日本人の妄想を利用されていないだろうか?
 でも、標的になる一般人の反応は、ウィッキーさんのときとはだいぶ違う。平気で無茶苦茶なこと喋るし。ある意味では正しい「国際化」かも。
 で、カミュさんって、ほんとに英語喋れるの?
 
■近況■
タヌパックレーベルの次回作は『SONGBOOK2』という女性ヴォーカルオムニバス。SONGBOOK1は自分で歌うつもりなのだが、それより先に「2」を出すという……。

キックターゲットが暗示してた結末


 結局、当初の予想通り(?)3戦全敗だったW杯サッカー。
 点がなかなか入らないのにじれて、マスコミはこぞって「シュートの正確さが足りない」とか「ストライカーの不在」とか言い始めた。
 でも、これって、もしかして、初めから分かっていたことなんじゃないだろうか?
『筋肉番付』(TBS系)の中に、「キックターゲット」というサッカーのシュートの正確さを競うゲームがある。升目に区切られた標的を蹴ったボールで射抜くという単純なものだが、ゴン中山はじめ、Jリーグの代表的ストライカーは、これがことごとくできなかった。中学生でも5、6枚は抜くやつがいるのに、3枚とか2枚とか、散々なのだ。
 しかも「5番!」などと宣言しておきながら、ボールは全然違う方向に飛び、1番がまぐれで射抜かれたりする。ほとんど当たるも八卦当たらぬも八卦の世界。
 一方、世界レベルの外国人選手はそこそこの成績を残す。
 いちばん印象的だったのは今回のW杯関連番組でも辛口解説者として引っ張りだこだったセルジオ越後。「パワーは落ちても、身につけた技術は落ちない」と、最初から自信満々。その言葉通り、あわやパーフェクトという出来だった。最後に残った1枚も、「あと1球あればできた」と宣言し、ゲーム終了後、規定外の1球を蹴って、残った的も見事に射抜いてみせた。
 あれを見ていた人なら、セルジオ氏の辛口批評にも「うん、あんたには言う資格がある」と思ったんじゃないかな。
 
 
■近況■
タヌパックレーベルの新作『The Second Amour〜たくき よしみつSONGBOOK2 女性VOCAL作品集』が完成。8月上旬通販開始予定。
参加歌手は清水翠、他。1800円。詳細は、http://music.tanupack.com  にて。


たまにはミーハーに『天うらら』的話題


 かみさんが鈴木一真のファンを始めてしまったので、つき合いで朝の連ドラを見るようになった。さすがに毎朝つき合うことはできないので、土曜日にBSで1週間分やるやつを録画して、一気に見る。
 人と人が、予想通りにくっついたり離れたり喧嘩したり仲直りしたり、実に他愛ないストーリーなんだけれど、まあ、こういう陳腐さがうけるというのはよく分かる。
 職人たちの配役が面白い。脇頭領役の木村(    )は、最初「小田和正って芝居がうまいのね」と感心していたのだが、やっぱり違ったらしい。ぬわんと、「勉強しまっせ引っ越しのサカイ」のオヤジなんだとか。芸達者!
 辞めていった大工の山田(吉見一豊)は、箱根駅伝で早稲田三羽がらすの一人としてならした武井隆次と、現百メートル日本記録保持者・朝原宣治を足して2で割った顔をしているんだが、マニアックすぎて誰も分からんネタ。
 左官の岡田(光浦靖子)は女二人のお笑いコンビ「オアシズ」の一人。マニア(なんの?)の中には、「光浦はナイスバディだし、東京外語大卒のインテリだし、ぜひヌードになってほしい」などというディープな意見を言うやつもいる。岡田の水着シーンとか考えてみる? NHKさん。 それはともかく、オアシズの相棒・大久保佳代子もぜひ見たい。かつてのおきゃんぴーみたいな空中分解&消滅だけは避けてほしいものだ。
 ん? なんで「天うらら」からおきゃんぴーになるの?どこがミーハーネタなんだ!
 
■近況■
タヌパックレーベルの新作『たくき よしみつSONGBOOK2』が完成。通販開始。最後の1曲『ありがとう』は広島の詩人・くりすあきらさん作詞によるもので、これが目玉かな。


大食い・筋肉の次は職人芸ブームだ?!


 演出されたドキュメンタリーほど薄っぺらなものはないと、僕は常々言い続けてきた。
『TVチャンピオン』(テレビ東京系)の大食い選手権は単純だからこそ面白い。『筋肉番付』はシンプルな肉体の競い合いから、一輪車だのだるま落としだのと手を広げすぎてからつまらなくなった。
 最近、面白いと思っているのは「職人」だ。
 7月25日の『土曜特集・スーパー職人伝〜ハイテク日本を支えるお父さん』(NHK)は実に面白かった。H2ロケットの先端部や新幹線の先頭車両の先っぽを、還暦前後くらいの職人さんが実にシンプルな方法で作っている。「最後は人間でなければできない」というより、受注が少ないから、量産する機械を作れないという面もあるだろうが、それでも人間が金槌でしこしこ板金している姿は刺激的だ。
 バブル崩壊、経済神話壊滅の今こそ、こうした「技術の原点」を見直すことはとても意義があると思う。
 なにも日本一の技術を持つ少数のトップ職人に限らず、「へえー、世の中にはこんな仕事があるんだなあ」という素朴な発見でもいい。『1億人の大質問?!笑ってコラえて』(日本テレビ系)の中で、町を歩いていてふと目についた会社や店に飛び込んで取材するコーナーがあるが、ビルの工事現場や公園の管理人などという一見平凡な仕事にも、感心させられるような発見がたくさんある。こうしたシンプルな「仕事ガイド」みたいなレギュラー番組があってもいいんじゃないかな。
 
■近況■
遅ればせながらtanupack.comというドメインを取得。長ったらしいURLとはこれでおさらば。初めて網頁を作ってUPしたとき以上の感動があったりして。思い出したらつないでみてね。URL=http://tanupack.com


「声を変えております」の裏側


 
■近況■
 一般人や、企業の内部告発証言者のプライバシーを守るため、声を変調させて誰だか分からなくさせるという手法がある。音楽でいえば、フランジャーやピッチシフターというエフェクト効果を利用するのが一般的だが、とにかく聴きづらい。ほとんど何を言っているのか分からないこともある。そのせいで、最近では、同時に字幕を出すという方法が一般化してきた。
 現代の技術なら、男の声を女のように、その逆にという細工は簡単なことだ。聞き苦しくなく「声を変える」ことはできるはずなのにそれをしないのは、誇張した変調音声によって「これでプライバシーは守られていますよ」という免罪符を得たいためでは? などと勘ぐりたくなる。
 ところで、先日『嗚呼!バラ色の珍生!!』(日本テレビ系)を見ていて驚いた。赤ん坊取り違え事件が、その子が成人してから判明し、悩んだ末に両親が実の子を捜し始めるという話。この両親へのインタビューでの当事者の声が、なんと「変調」ではなく、「吹き替え」なのだ。
「プライバシー保護のため声を変えております」というお約束のテロップが出るが、声質を変えているのではなく、声優が吹き替えている。つまり、同番組お得意の再現ドラマ方式なのだ。
 モザイクもかけまくりだし、こうなるとどこまでが事実なのか全然分からない。杉樽はお呼ばれのザルそばである。
■近況
 タヌパックの新譜『SONGBOOK2』の最後に入れた『ありがとう』という歌に、静かな反響が続いていて、対応に追われている。この歌の誕生にはドラマがあるのだが、歌の出来そのものにも自信あり。詳細はhttp://tanupack.comにて。


「個人制作」のソースを活用しよう


 先日、『ニュースJAPAN』(フジテレビ系)を見ていたら、「ビデオジャーナリスト」という肩書きのリポーターが出てきて、特集を一つ丸ごと担当していた。
 聞き慣れない言葉だが、要するに、一人でディレクター、取材記者、カメラマンをこなしてしまうフリーのジャーナリストということらしい。
 ビデオカメラが小型化・高性能化し、安価な家庭用ビデオカメラでも十分鑑賞に耐える画質の映像が録れるようになった。となれば、あとは中身の質であり、それは必ずしも金をかけ、大人数で制作したからよくなるわけではない。センスと実力さえあれば、個人でも十分に番組ソースを作れる。言ってみれば、「インディーズ」の番組制作。
 CSの参入で多チャンネル化が進むと、当然、番組のソースが足りなくなる。同じような番組が並んでいたのでは多チャンネル化の意味はない。
 今の民放キー局の番組作りは、自民党政権の腐敗と同じで、視聴率とスポンサーの顔色、芸能事務所や製作会社とのしがらみ(なれあい)に流され、金ばかりかかって中身のない番組が多い。
 この際、「インディーズ」の発想で、面白い映像ソースをどんどん導入したらどうだろう。ニュースに限らず、娯楽番組こそ行けそうだ。ライブハウスや劇団が自主制作したライブビデオ。個人や少人数グループが作ったドラマ。音楽家や芸人の自主PRビデオ。メジャーに勝てそうな素材は、ごろごろ転がっているんじゃないだろうか?
 
■近況
 10月に『ねえ』(吉本裕子)という演歌CDをリリースする予定。発信地は大阪。昔のように、有線や口コミから火がついて……という伝説は生まれにくくなっているけれど、それこそ、作品には自身あり。http://tanupack.com


『どろろ』と『水戸黄門』の文化論!?


 WOWOWで『どろろ』という手塚治虫のアニメ作品をやっていた。僕が子供の頃、夕方の6時台か7時台に放送していた記憶がある。今見ると、滅茶苦茶暗い話だ。飢え、裏切り、社会の不平等などなど、重いテーマがぎっしりで、これを本当に子供が見ていたのかと、改めて驚かされる。「このどんびゃくしょうが」などという台詞も、断り付きでそのまま放送されている。
 こうした作品がテレビで流れることはとんとなくなってしまった。片や、『水戸黄門』とか『暴れん坊将軍』などという、最高権力者(お上)が正義の味方で、最後に悪人を懲らしめるというようなドラマはしぶとく生き残っている。
 絶対権力を持っている人間が正義の味方のヒーローだという構図は、普通ならずるすぎて物語にならない。怪傑ゾロだってローンレンジャーだって、みんなアウトローだ。反権力だからこそヒロイックなのに、印籠を出して悪人をひれ伏させることでカタルシスを得るという日本人の国民性に、物凄く疑問を感じる。
 最近、NHKでは『ミスター・ビーン』の後枠で、懐かしの『モンティ・パイソン』の放送も始めた。強烈なアンチ権力、権威愚弄精神の塊。
 思えば、かつてテレビ黄金期には、こうした批判精神旺盛なパロディ番組や、社会の暗部を描くことにより人間の根元に迫ろうとするドラマ作品などが存在し、それがテレビ文化を豊かにしていた。もう一度あの混沌時代に戻れたら、テレビ文化の寿命は延びるかもしれない。無理かなあ。
 
 
■近況
タヌパックの新譜『真昼の月/吉本裕子』がいよいよ完成。10月に発表の予定。元キングレコードの演歌歌手が、長いブランクを破って再び歌うたくき作品。いい曲ができたよ。
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テレ東が偉大に見える改編期


 表題、一応5・7・5でまとめてみた。改編期の特番にろくなものはないけれど、10月6日のゴールデンタイムは我が目を疑ってしまっただよ。
 特に、「慰めも涙もいらない…転落!どん底!衝撃の人気スター無名時代2」(日本テレビ系)と「初公開!芸能人もらい泣き!秘話告白スペシャル」(TBS系)ってのは、放送中にチャンネルを切り替えてもどっちがどっちだか全然分からない。司会が研ナオコってとこまで同じ。
 で、中身も「衝撃」とか「もらい泣き」とかにはほど遠くて、爆笑問題の田中が学生時代に女に振られたとか、江守徹がどうやって親離れしたかとか、どーでもいいような話ばっかし。あまりのくだらなさが衝撃的で、泣けてくるといえばいえるのだが……。
 田中ぁ、下手な歌、マジな顔して歌うのやめてくれよぉ。
 フジテレビ系「ウルトラLOVELOVEアイラブユー98秋ラブラブ2周年記念」、テレビ朝日系「今夜ブッ飛び大騒ぎ!!そこまでやるかテレ朝98超豪華オールスター大集合!秋の人気番組炎の熱血バトル決定版」に至っては、タイトルのくだらなさからして推して知るべし、説明不要。
 この日ほど、テレビ東京系「98なんでも鑑定団スペシャル!!日本列島鑑定まつり」が偉大に見えたことはない。中身のある特番というのはこれしかなかったと言ってもいい。
 この日のこの時間帯の特番、制作費一覧表というのがあったら見てみたい。内容と反比例していそうだ。テレビ局の「防衛庁調本」化ですな。
 
 
■近況
前々号で誉め殺したドランクドラゴンのライブを見てきた。若手芸人が集まって月イチでやっている公演。客は若い女の子ばっかりで、おじさん浮く浮く。アルファルファ、てつ&とももよかった。頑張れ。
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なぜ和歌山東署前に立っているの?


 テレビのワイドショーは連日「和歌山保険金詐欺事件」一色。これだけ過熱したのは酒鬼薔薇事件以来ではなかろうか?
 ところで、容疑者夫婦逮捕後は、「和歌山東警察署前からの中継」というのが定番になっているのだが、あれって、何の意味があるのだろう? 警察署の玄関をバックに中継すると、何かいいことでもあるのか? あの数十秒の無意味な「絵」を作るためだけでも、中継車の常駐やスタッフの滞在費など、大変な費用がかかっているはずである。
 金と人手をかけるべき取材は他にある。保険会社の営業部長になぜ取材をしない? 障害者認定をした役所の担当者になぜ取材をしない?
 この事件の真の「主役」は、林真須美という女性ではなく、あのようなインチキ保険契約をいくつも見逃し、多額の保険金を出していた保険会社や、元気で自転車に乗っている人間に重度障害者一級の認定を下したという役所である。
 犯罪を犯す人間はいつの世でも出てくるが、それを許すシステムの弱点や矛盾を解明し、是正しない限り、何もならない。メディアの使命は、犯罪者の私生活を興味本位に追いかけることではない。
 するべき取材ができないのは、相手が多額の広告料を払っている大スポンサー(大手保険会社)や権力者(役所)であるからに他ならない。使命を果たせないことを、「和歌山東署前から中継です」でごまかしているわけだ。あの絵の裏には、テレビメディアの重大な恥部が隠されている。
■近況
三遊亭円丈師匠から「日本参道狛犬研究会広報部長」に着任するよう要請を受けた。http://nanja.nbj.co.jp/komaken/に網頁がある。若い女性に大人気!(嘘つけ)
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ワハハ本舗とサイレンススズカ


 WOWOWで「ワハハ本舗」のディナーショーというのを観た。高輪プリンスホテル飛天の間(いちばんでかい部屋)で去年の年末に行われたものらしい。放送禁止用語は連呼するわ、モロ出しのシモネタは連発するわで、ピー(音消し)とモザイクの嵐。吹越満が「お客様、大丈夫ですか〜?ホテルのスタッフのみなさん、大丈夫ですか〜?」と呼びかける頃には、ホテル側の責任者の首はとっくに飛んでいた? うむうむ。BSは健全だ。
 見たいから金を出す。見たくなければ金を出さなければいいだけ。これが衛星放送の原点。だから面白い。
 翌日、第118回天皇賞で、断トツの一番人気を背負って飛び出したサイレンススズカが、4コーナー手前で左前脚手根骨を粉砕骨折するという悲劇が起きた。レース後、即座に安楽死処分。(合掌)
 夕方のニュースを見ていたら、各局、スポーツ枠で短く報じただけ。プロ野球やゴルフの話題に合わせた笑顔が戻らぬまま「安楽死処分されました」と告げたアナウンサーもいたし、中には、安楽死にはまったく触れず、「大番狂わせが起きました」とだけ伝えたニュース番組もあった。
 心がない。そう感じたのは僕だけではないはず。明るいニュースのときは、見るに耐えない作り笑いを浮かべるくせに。まるで「何か」を恐れているかのような空々しさ。
 不況のときは悲しいニュースはさらりと流すというマニュアルでもできたのか? なんか怖いものを感じる。ニュースこそ、金を払って見たい。
 
 
■近況
とうとう携帯電話を買ってしまった。しかし、ひと月経つが、まだ誰からもかかってこない。電車の中から、自分のパソコンにEメール送ったりして……なんだろなー。URL: http://tanupack.com


東京女子マラソン谷川真理のドラマ


 今年の東京国際女子マラソン。優勝候補筆頭にあげられていたエチオピアのロバ選手は、またもや腹痛を起こし、8位に終わった。しかし、ゴール前、このロバ選手を抜き去り、「8番目にゴールした」選手がいた。谷川真理選手(良品計画)だ。
 谷川は今回、正式エントリーを許されなかった。日本陸連の指定する以外のCM活動をしているという理由で。
 ゼッケンもなく、所属する良品計画のネームが入ったユニフォームすら着ることを認められず、スタートでは200人を超える選手の最後尾に回された。それで8番目にゴールしたということは、200人以上を抜いたことになる。だが、記録は残らない。
 なぜ谷川はここまで「隔離」されなければならないのか? そもそも、陸連が言う資格とはなんなのか? 同じような問題を、有森裕子や早田俊幸も経験している。有森は公然と「プロ」として活動しているが、早田は収入の道を自ら断ち切って孤軍奮闘している。自分の体力や精神力の極限に挑戦しなければ到達できない一流選手という座を、どうやって手に入れるか……不器用な選手の代表は中山竹通。優等生のライバル・瀬古利彦に比べ、中山の生き様は常に一匹狼的であり、潔かった。
 スポーツの世界で「政治」を見せつけられることほどがっかりさせられることはない。中継権やスポンサーをめぐって、テレビはその「政治」に深く関わっている。陸連ってなんなんだ? NHKにも特集番組は作れないのだろうか?
 
 
■近況
ちなみに浅利も市橋も有森も好きになれない。ファンだった田村有紀や松野明美や麓みどりは不運なまま一線から遠のいてしまった。性格がよさそうな子は生き残れないのかな。URL: http://tanupack.com



     
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