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 たくき よしみつの 『ちゃんと見てるよ リターンズ』

 (週刊テレビライフ連載 過去のコラムデータベース)

 2011年執筆分


困るなあ、NHK BSが2つに減る

2010/12/18

 今年のテレビ界最大のイベント?は7月に予定されているアナログ放送(地上波もBSも)停波だが、その前にNHKのBS放送が現行の3から2に減る。
 現在は標準画質のBS1とBS2、高精細画質のBS-hiの3つだが、4月からは高精細画質放送2つ(BS1とBSプレミアムという)になるのだ。
 わが家のように、山間部でアナログ地上波はまともに入らず、地デジも届かず、BS中心にテレビを見ている環境にとっては大問題である。ちなみに、現在のBS1と2が地デジや他のBSデジタル局(民放を含む)に比べると画質が粗くて耐えられないという人がどれだけいるだろう。見られる番組を3分の1減らしてまで高精細画面を見たいという視聴者は少ないはずだ。
 ハイビジョンにしなければいけないというなら、一日中通販番組を垂れ流している局などに割り当てた電波帯域をNHKに渡せばいいと思う視聴者がほとんどだろう。通販番組しか流さない局に高画質放送の帯域を与える一方で、公共放送のNHKがそれよりも粗い画質で放送されている現状がおかしいのだ。
 3局分の番組を作る余裕がないのなら、過去の番組を再放送しまくるだけでも十分である。
 どうしてもNHKのBSを2つに減らすのであれば、現在スクランブル(暗号化)で放送しているNHK総合東京放送の難視聴対策用BSチャンネル(BS291)の暗号化を解除して、日本全国どこでもNHK総合の内容をBSでも見られるようにすることが先だろう。「BS291にスクランブルをかけないで!」…これは「地上波ではNHK総合を見られない」多くの人たちからの切なる願いだ。

(掲載は2011年売りの号)  

『雲の上の虚構船』第2回はあるか

2011/01/05

 元日の真夜中、日テレ系で『雲の上の虚構船』というコント番組がさらっと放送された。
 主な出演者は、荒木宏文、大堀こういち、隈部洋平、酒井敏也、坪倉由幸、戸次重幸、宮崎吐夢、八代英輝(50音順)。このメンツがパロディコントをやるのだが、ネタがすごかった。
 シャワーを浴びる全裸女性の胸と腰のところに「地デジへのお早めの対応お願い致します」という太くて真っ黒なテロップを入れたネタでは、最後に偽地デジカの着ぐるみまで登場した。
 これ、ほんとに地上波か? と見ていると、「東シナ海テレビショッピング」というネタでは、「海上保安庁の流出ビデオをヒントに作られた画期的商品・防犯用ペンダント カイホレンジャー」なるものが登場。鎖を引っ張ると、ワオ~ンワオ~ンという、あのビデオで終始流れていた警報音が鳴り響く。すると、その音に反応して、会場にいた中国人の客が体当たりしてくる。「今ならもうひとつ、ニセモノもついてきてお得です。でも、この音に中国人が反応してぶつかってくるのでご注意!」。
 今頃局内では始末書が飛び交っているかもしれない。でもね、この程度のパロディは海外のテレビではあたりまえのこと。特にすごいのはイギリスで、日本のNHKに相当する国営放送のBBCでさえ、平気で王室ギャグや隣国風刺、人種差別コントを流す。ヨーロッパでは「風刺は高尚な文化である」と、あたりまえに認識されているからだ。
『雲の上の虚構船』を「すわ、放送事故か」という目で見てしまう日本人って、コントロールされてしまっているんだなあと再確認させられた。さて、第2回はあるんでしょうか?
   

『てっぱん』に大久保佳代子が?

2011/01/19

 連続テレビ小説『てっぱん』(NHK)を毎日欠かさず録画してみている。今のように不景気で世の中が諦めムードのとき、このドラマの明るさは下手をすると鼻につくのに、そうなっていないのは、制作スタッフひとりひとりが気持ちを込めて仕事をしているからだろう。
 脚本とキャスティングがよいことはすでに書いたので、今日はオープニングのダンス映像の秘密?について。
 商店街で大勢が踊るシーンは毎回2回流れるが、右端の前から6人目くらい、自販機の前で小首をかしげながらモサっと踊っている青いエプロンの女性はオアシズの大久保佳代子ではないのか? 無表情でやる気のなさそうな感じが大久保そっくり。でも「てっぱん 大久保佳代子」で検索しても何も出てこないな。
 それにしてもこのオープニングタイトルバックはよいなあ。
 オープニングのダンスシーンで、若い男女が手を組んで回るところを見ていると自分の青春時代のピュアな恋愛感情が甦って熱くなるとブログに書いている経営コンサルタントがいた(僕より4つ年上のアラ還)。
 このダンスを振り付けたのはコンドルズの近藤良平。http://www9.nhk.or.jp/teppan/dance/index.html には踊り方のレクチャー動画がある。「さしてひっくり返して盛りあがる。コテ!コテ!へ~んしん! かつおぶし~かつおぶし~かつおぶし~がワッサワッサ。トントントン。陽気な陽気な私です」という彼の掛け声を聴いているとほんわかとした気持ちになれる。
 ちなみに彼の名前はタイトルバックに出てこないが、花屋の前でひとり毎回陽気に踊っている姿が見られる。

『私が初めて創ったドラマ』を誉める

2011/02/03

『私が初めて創ったドラマ』という30分ドラマシリーズを見たことがある読者は少ないかもしれない。NHKのBS-hiとBS2で週4回放送(内3回は再放送)されている。シリーズ名の通り、ドラマの演出をしたことがない人たちが「初めて作・演出」する1話完結ドラマだ。
 とはいっても、作る人たちはまったくの素人ではない。今までのリストを見ると、ドラマの演出は未経験だが、報道やバラエティ番組、CMなどの制作で十分経験を積んでいるディレクター(NHK以外も)がほとんどで、たまに脚本家、俳優、劇団主宰者などが登場する。
 毎回録画して見ているが、見て損したと思うような駄作はあまりない。今までの作品を分類すると、ほのぼの系(6)、SF・幽霊もの(5)、ショートミステリー系(4)、暗めの人生考もの(2)に分かれる。
 幽霊や神様が登場する大人のお伽噺的作品と、人と人との触れ合いを描いたほのぼのドラマが多いのが気になるが、それぞれ個性があって楽しめる。
 いちばん記憶に残っているのは『奉納イデア毛抜き祭』(前川知大・作演出)。普段テレビでは見られない世界がよかった。
 毎回、冒頭に作・演出を担当する「私」の紹介が短く入るが、ここであまり顔を出さない人、控えめな自己紹介をしている人の回ほど内容が面白い気がする。
 このシリーズは長く続いてほしい。できれば、脚本、役者、音楽などを常時一般公募するオーディションをやって、新しい才能の発掘にも一役買ってほしい。また、NHKのBSが今の3局から2局に減った後も、こうした良質の番組が犠牲にならないように祈りたい。
     

『てっぱん』のB型率はとても高い

2011/02/17

 またまた『てっぱん』を斜め裏から観るシリーズである。
 主人公・あかりの実父役で出てきた小市慢太郎がいい味を出してる。プロフィールを見たら、血液型B型という部分に目がいった。そういえば、『てっぱん』はB型っぽいドラマだなあ。
 ……と思って主要出演者20人の血液型を調べたところ、なんと9人がB型だった。安田成美、川中美幸、朝倉あき、京野ことみ、尾美としのり、遠藤要、松田悟志、趙珉和、そして小市慢太郎。20人中の9人だから45%。日本人のB型割合は約20%なので、倍以上だ。
 逆にA型は5人しかいない。ともさかりえ、神戸浩、赤井英和、森田直幸、柏原収史で25%。日本人のA型割合は約40%なので、少ない。同様に、O型は4人で20%。これも少ないが、主役の滝本美織、準主役でドラマをビシッと引き締めている祖母役の富司純子、養父役の遠藤憲一がO型なので、柱をプロ根性のO型で形成している形だ。
 AB型は竜雷太と柳沢慎吾の2人で日本人の比率通り(約10%)だが、この二人、ときどき台詞が聞き取りにくい。もっとも、聞き取りにくさ断トツのトップは遠藤憲一。渋い声を生かしてナレーションの仕事もこなしている人だが、なぜかこのドラマでは早口で、聞き取れない。何度聴き返しても聞き取れないときは「字幕」を出してようやく台詞が分かるほどだ。
 富司純子はさすがに滑舌がいいが、2月16日放送分、あかりの実父と養父母が対面するシーンでは、「たちばなさん」と言うべきところを「たちむらさん」と言っていた。NGにならなかったのは大女優の貫禄に監督が気圧されたからかしら。
       

カンニング事件報道の異常さと恐さ

2011/03/04

 3月2日、テレビにニュース速報テロップが出た。「不正入試問題で東北地方在住の受験生を特定」。テレビのニュース番組やワイドショーは、2月末からずっとこの話題がトップだった。翌日の3日も「仙台市内で行方不明の受験生を確保」「偽計業務妨害で逮捕」と、速報テロップが続いた。
 国家を揺るがすような大犯罪の報道ではない。19歳の予備校生が大学入試でカンニングをしたという事件だ。NHKまでもが、「では、京都府警前から中継です」などとやっている。
 しかも、個人情報保護にうるさいはずのテレビメディアが、「Yahoo!知恵袋」で使われたID「aicezuki」を大映しにし「あいすずきとも読める……」などと言っている。この時点でこのIDでの質問と回答は誰もがネット上で読める状態だった。テレビのニュース報道が完全に「2ちゃんねる」化してしまっている。
 この大騒ぎに隠れてまともに報道されなかったことがたくさんある。例えば「政府の行政刷新会議(議長・菅直人首相)が行おうとしている『規制仕分け』の対象となる12項目が判明した」というニュース。12項目の最後には「再生可能エネルギーの導入に関する規制(国有林・保安林)」とある。具体的に言えば、大型風力発電施設(超低周波による健康被害や発電効率の低さなどが議論の的となっている)を建てやすくするために、水源涵養保安林など、今まで守られてきた森林を伐採しやすくしましょうという規制緩和策だ。こういう問題と浪人生のカンニングと、どちらが日本にとって危機的な問題か、メディアはきちんと「仕分け」しなさいよ。

この大惨事下テレビに言いたいこと

2011/03/24

 我が家は福島県川内村にある。福島第一原発1号機が最初に爆発した3月12日午後、僕は家でテレビを見ていた。前日の地震は確かに激しかったが家にはまったく被害がなかった。電気も来ているし、村には水道がないので断水もない。村民はみな普通に生活を続けていた。しかし、福島第一原発のとんでもない放射能漏れ事故(あれは犯罪的人災なので、「事故」ではなく「事件」と呼びたいところだが)が起きて、一変した。
 今、僕は避難してきた川崎の仕事場で、これを書いている。とても書ききれないので、以下、テレビ関係に絞って列挙する。
●20日、9日間瓦礫の下にいた80歳の女性と16歳の孫が救出された。助けを求め続けて肺から空気が漏れ、低体温で衰弱しきっている少年が寝ている病室にテレビカメラが入り、あれこれ質問を浴びせる。唖然。
●原発から放射性物質がだだ漏れ状態になってからは、テレビは「ただちに健康に影響がない」を繰り返すばかり。内部被曝と外部被曝の区別さえない。無知。
●広告枠でAC(公共広告機構)のCMが大量に繰り返された。「ACのご協力で、広告枠を番組本放送に振り替えさせていただき放送しています」という処理がなぜできない。脱力。
●この緊急時にも地デジ難視聴対策用のBS7チャンネル分は暗号化され視聴できないまま。NHK総合放送さえ暗号が解除されていない。BSしか見られない地域もある。あの7チャンネル分を被災地への救援や原発事故関連情報関連になぜ使わないのか。日本人はいつからこんなにバカで怠惰になったのか。
★WEBサイトで随時情報を発信中。続きはWEBで!      

これを機に衛星放送を再編成したら

2011/04/01

 3月26日に、救援物資とガイガーカウンター持参で、川内村の我が家に「一時帰宅」した。
 老齢の親を抱えて避難所生活は無理と判断して村に戻った人、子供への影響が大きくならないうちにと早々と移転していった人など、今、村人たちはちりぢりばらばらになっている。普段家で見ていたテレビが見られなくなり、避難先の首都圏で今までとは違う放送局の番組を見ている人も多いだろう。故郷の情報を知りたいのに「都会のテレビ」はよそよそしいと感じている被災者もいるはずだ。
 地域による情報格差問題は別の形でも現れている。福島第一原発から30km以上離れている飯舘村での放射能汚染がかなりひどいことを受けて、3月30日、IAEA(国際原子力機関構)が、日本政府に対応を「助言」したことが報道さた。これで飯舘村は一躍有名になったが、飯舘村周辺の放射線量計測値が突出して高いことは3月15日にはすでに分かっていた。このことを、某関西ローカル番組では「チェルノブイリの○倍」などという刺激的な表現で伝えていたが、首都圏でも福島県でもそうした情報をテレビはほとんど伝えなかった。被災者たちが情報を遮断され、現場から遠い人たちだけが知らされているというのは、どうにも納得できない。
 前にも何度か書いたが、BSやCSの衛星放送インフラを大々的に再編成すれば、日本のどこにいてもキー局地上波番組と地方局のオリジナル番組すべてを見られるようにできる。
 官僚主導の「原子力村」が福島の悲劇を生んだ。電波行政も大改革するいい機会だ。すべての日本人が平等に情報を得られる社会を求めたい。

『てっぱん』から『おひさま』へ雑感

2011/04/15

 NHK連続テレビ小説『てっぱん』最終週に東日本大震災が起きた。BSでは1日飛んで、週末に2日分まとめて放送した。地上波では週がずれた。そのため、最終回はBSが地上波より1週間早く放送するという異常事態になっていた。
 最終回は2011年春、大阪という設定だった。もし『てっぱん』がNHK大阪ではなくNHK仙台の制作だったら、最終回だけでなく、お話自体が成立しなかったかもしれない。
 後を受けた『おひさま』は、2週目まで見ているが、もしかすると最後までは見ないことになるかもしれない。昭和初期という時代設定はとてもいい。あの時代、日本人は何を考え、どんな気分で生きていたのか、3・11以後を生きる現代日本人にとって非常に有意義な情報だ。
 しかし、登場人物の演技の不自然さや演出の薄さで、話にのめりこめないのだ。『てっぱん』の登場人物たちが生き生きと演じていたのに比べて、あまりにもリアリティがない。子役はうまいのに(特に、少女時代の陽子の親友ユキ役の荒川ちかは◎)大人の役者がみんな薄っぺらく見えてしまうのはなぜだろう。若尾文子の語りなどは、大昔の日本映画に出てくる棒読み女優の台詞を聞いているようだ。
 第一週での斉藤由貴、原田知世の演技も、現代の(時代設定ではなく、現代に制作されているという意味の)ドラマではないような違和感があった。
 昭和初期の日本人があんなだったとは思えない。「現代のドラマクオリティ」で戦前の日本人、日本の風俗、日本の空気を見せてくれるドラマは作れないものだろうか。それを見たい。NHKならできるはずだ。
     

「専門家」勢力図の変化に注目せよ

2011/04/26

「原発震災」直後、テレビに出てくる学者のほとんどは、今まで原子力を国策として推進してきた人たちだった。肩書きが「教授」「名誉教授」「元○○委員会会長」といった人たち。菅総理と一緒にヘリコプターに乗り込み「絶対に爆発しません」と言いきった御仁はその代表だ。この人たちは今、出番がぐっと減っている。「御用学者」と叩かれ、テレビに出ることを嫌がっているということもあるだろうが、テレビの側も、そういう人たち「だけ」を出していたことを反省し始めたのだろう。
 代わって少しずつ出始めたのが、髪に白いものが混じる歳なのに「助教(以前の呼称は助手)」の肩書きを持つ人たち。長年、原発の危険性を訴えてきたために、教授はおろか、准教授(かつての助教授)でさえない。
 そして目下引っ張りだこなのが、原発から「自然エネルギー」へシフトしろと主張する「専門家」たちだ。政治家も二言目には「自然エネルギーへの転換」を口にする。この人たちが風力発電や太陽光発電、あるいはスマートグリッドや蓄電池の限界をきちんと理解して発言しているのか、注意深く観察しよう。知らないでただ信奉している人たち(信者)と、知った上で「国策」として税金投入させ、儲けたい人たち(策士)がいる。
 かつて教科書には「東海村に原子の光が灯る」と、明るい未来への希望として原子力エネルギーが記述されていた。風力発電や太陽光発電が使いものになるなら、とっくに普及している。
 今必要なことは、みんなが「正直になる」こと。同じ間違いを繰り返さない知力と決意だ。
 今から「緊急時避難準備区域」にされた川内村の自宅に戻る。

   

福島県ではこんな画面を見ている

2011/05/13



 4月26日に福島県川内村の自宅に戻ってきた。そのちょうど1か月前の3月26日に、1日だけ「一時帰宅」したのだが、そのときは家の中で1マイクロシーベルト/時前後、外では2くらいあった。しかし、ひと月経って、室内が0・4、外が0・6くらいに下がった。郡山市内では今も1・5前後あるので、それに比べれば低いのだが、首都圏よりは高い。こんな風に頻繁に放射線量計の数値をチェックしながら暮らすことになるとは「想定外」の人生だ。
 ちなみに福島の人たちは、毎日テレビの画面で県内各地の放射線量を見ている。普通の番組中でもL字形に情報枠が取られ、「郡山市1・50マイクロシーベルト/時」なんて教えられる。
 しかし、原発周辺に住む私たちは冷静だ。先日、20km圏内警戒区域への「一時帰宅」が川内村から始まったため、わが村に報道陣が大挙押しかけたが、実際には汚染の程度が大したことがないことを知っている村民は、あの屈辱的な「ショー」を淡々と耐えながら見ていた。
 忘れないでほしい。一つ間違って炉心ごと吹っ飛べば、日本中が「警戒区域」になっていたかもしれないということを。










『ほこ×たて』を面白くする提案

2011/05/27

『ほこ×たて』(フジテレビ系)を毎週録画して見ている。絶対穴が空かない金属vsどんなものでも穴を開けるドリル、最強のミキサーvs鰹節……などなど、「絶対に○○しない」もの同士の対決はシンプルで面白い。
 ところが、ここにきて「椎茸嫌いのタレントに絶品の椎茸を食べさせる」といった腰の据わっていない内容に流れていて、番組がどんどん軟弱化している。
 逆にもっとタブーに踏み込んでほしい。人間vs機械も面白いが、女性プロ選手vs男性アマチュア選手、あるいは現役女子選手vsシニアの元一流男子選手による男女対決。スポーツ自慢のタレントvs中学生以下のトップクラス選手による大人vs子供の対決。400メートル選手と100メートル選手による300メートル走対決。卓球選手とテニス選手による羽子板対決……。男vs女、素人vsプロ、異種対決を実現する番組『シロ×クロ』はどうだ。
 こうした対決は欧米では企画が通るし応じる人もいるのだが、日本では実現が難しい。なぜなら、日本人は、メンツを重んじるあまりに白黒をはっきりさせたがらない性格だからだ。
 ある自治体では、学校校庭の土壌放射線量測定を拒否した。その理由は、教育委員会から「高い数値が出た場合の対応策が決まっていない状況で測定をすれば混乱を招く」というクレームが出たためだという。
 高い数値が出たら困るから測らない!? 信じられない話だが、こうした「はっきりさせない」「見なかったこと、なかったことにする」体質の積み重ねで原発事故も起きたと言える。テレビがつまらなくなるのも同じ理由からだろう。この際、体質改善して面白い番組を作ってよ。

米国犯罪ドラマ最近の傾向を研究

2011/06/10

 原発震災対応に追われているうちに『ザ・メンタリスト』(スーパー!ドラマTV)のシーズン2が始まっていた。気がついたときはすでに第3回になっていて、しまった! と思っていたら、そういう人のために、ちゃんと1回目からまとめ見できるようにしてくれている日があった。CSはこれがあるからいいよね。
 このドラマは米国内では大変な人気だが、日本ではまだ地上波で流れていないため知らない人が多いと思う。相手を軽く挑発し、その反応を観察・分析することで、嘘を見破ったり、真相を探り出したりする能力に長けた人物が主人公。
 米国の犯罪ドラマは、最近はこうした「特殊能力」を扱ったものが多い。『ライ・トゥ・ミー』(FOXチャンネル)も同じパターン。さらに進んで、もろに超能力者もどきが主人公のものもあるが、スーパーヒーローではなく、人格のどこかが壊れているような設定になる。
 欧米の犯罪ドラマの主人公は必ず問題を抱えている。アルコール依存症だったり、同僚と不倫していたり、子供がぐれていたり……。要するに単純なヒーローや派手な活劇はとうに飽きられているのだ。
 音楽が抑えめで視聴者の精神をこそこそっとくすぐるようなトーンなのも共通した特徴。ジャジャジャ~ンという派手なテーマ音楽などは絶対に流れない。
 日本の犯罪ドラマにも、もうすぐこのパターンが入り込むだろうが、真似しきれなくて、美男美女が上滑りの演技をする変なものになること間違いなし。
 日本では、視聴者がドラマに求めているものが違うのだろう。ま、海外物を見ればいいか。
   

福島では見られない原発情報番組

2011/06/25

 東電原発事故情報を得るため、日曜日の午前からお昼にかけての情報番組は録画してチェックしているのだが、その中で『サンデースクランブル』(テレ朝系)が見られなくなった。5月8日までは福島放送でやっていたのだが、打ち切ってテレ東制作のクイズ番組を流し始めた。
 調べてみると、福島放送では『サンデースクランブル』の放送を2008年9月に打ち切っていたが、東日本大震災直後の3月20日から放送していたのをまたやめた、ということだった。
 一方、宮城県の東日本放送では、同様に2010年9月に打ち切っていたのを震災後の3月20日より再開し、今(6月26日)も放送し続けている。
 原発震災まっただ中の福島県で原発情報発信に熱心な番組を見られない。これこそ深刻な「地上波情報格差」だ。
 よりリアルな情報を得るために、最近ではBS11の『INsideOUT』とかCS朝日ニュースターの『ニュースの深層』といった番組をチェックしている。6月22日放送の『INsideOUT』には、経産省現役官僚の古賀茂明氏が出てきたが「先輩OBが関西のテレビ局の番組に出演する際、プロデューサーから最初に『発送電分離の話はしないでください』と釘を差された」と証言するなど、「テレビジャーナリズムの限界」を知らされる内容だった。
 情報番組のスポンサー最大手は電力会社。そんな状況で、エネルギー問題についての正しい情報を得られると思うことが甘いということだろう。電力会社のような公共性の高い企業がテレビ番組のスポンサーになることを禁じる法律を作ることから始めなければならない。

「原発ジョーク禁止令」ですか?

2011/07/06

 東日本大震災から早くも4か月以上経過したが、最近、テレビを見ていて気づいた。お笑い番組はもちろん、あらゆる番組で「原発」をネタにしたジョークを一切聞かないのだ。
 津波震災は天災であり、多くのかたが命を落としたり家族や家をなくしたりしている。ジョークになどなるはずもないが、原発震災は人間の愚かさを如実に知らしめた歴史的な題材だろう。ヨーロッパなら確実に風刺の効いたジョークがテレビに溢れているはずだ。
 当初から、欧米では普通のニュースや報道記事にさえ様々な皮肉が込められていた。
「区別の方法? ネクタイを締めているのが東電。作業服を着ているのが政府。その作業服に青い縞が入っているのが保安院だよ」……とか、そんな感じで。(それを読んだからでもないだろうが、東電の偉いさんたちもすぐに作業服に着替えたっけ)
 被災した我々、つまり福島の地では、日常的に原発ジョークを言い合う。そうでもしないと生きる元気も出てこない。
「ヨウ素131? いや、もっと怖いのはウ素800だよ。霞が関がホットスポットで、半減期はとても短いから、75日もすれば消えちゃうらしいけど、それがまた怖いよね」……とか。
 原発絡みから派生して、政府や御用学者をターゲットにした風刺ジョークも非常に少ない。これはもう、テレビの側が意識的に規制をかけているのだろう。
 日本人のこうした事なかれ主義こそが、危ないものを助長させ、安全神話という嘘を通用させた一因だ。バカリズムや鳥居みゆきの原発ジョークなんてぜひ見てみたいが、そういう日は来るのだろうか。


佐々木監督は森田健作に似ている

2011/07/21

 女子サッカー日本代表のワールドカップ優勝、すごかったね。
 帰国直後に行われた凱旋記者会見は、メディア代表(フジテレビ)の質問や協会側の進行がお役所っぽくて、時間を費やした割には盛りあがらなかった。まあ、帰国直後で選手たちも固くなっていたし、取材する側も彼女たちの心に入り込み、柔らかく接するまでのつきあいがなかったから仕方がないかもしれない。そんな中で、一人、場を和ませようと奮闘していたのが佐々木則夫監督だった。
 この人、顔も話し方もキャラクターも森田健作にそっくり。
 本誌読者には「青春スター」の森田健作と言っても分からないかもしれない。今は千葉県知事。周囲の雰囲気に関係なく、常にテンションが妙に上ずって、浮きまくるキャラクターは、森田健作を見ているかのようだった。僕は大昔、森田氏のゴーストライターをやったことがあるが、あのときの記憶が甦った。
 なでしこジャパンのメンバーは、地味な陸上選手風から、どう見てもヤンキー上がりまで、実に様々な個性が集まっている。共通項は「流されて普通に大人になる」ことを拒否し、異常な努力を自らに課してきたこと。
 この集団をまとめるのは大変なことだ。ものすごくカリスマ性のある天才ならいざ知らず、佐々木監督は失礼ながらそういうタイプではない。しかし、「いちいち腹を立てていられないくらいずれていて、かつ憎めない人物」という奇跡的な隙間ポジションに見事にはまった。
 普通ならただのずれたおじさんになってしまいそうな彼が「天職」を見つけられたことも今回の奇跡を生んだ要因だったのだね。よかったよかった!

『Nスペ 飯舘村』の正しい見方

2011/08/03

『NHKスペシャル 飯舘村~人間と放射能の記録』(7月23日放送)は、報道ドキュメンタリーのお手本のような番組だった。いつどこで誰がどんな行動をしたかをありのままに記録し、極力脚色せずに見せる。
 福島県から「放射線健康リスク管理アドバイザー」として任命された長崎大学の高村昇教授は、三月下旬に飯舘村に入り、
「雨や台風で流されることによって、すみやかに土壌中の放射性物質は流されていく」
「基本的に10μSv/hを下回るようであれば、普通に子供さんたちが学校生活を送ったり、登下校には問題ない」
 と説明していた。番組ではそのときの映像をそのまま流し、解説はほとんど加えない。
 田中俊一元日本原子力学会長が飯舘村長泥地区の区長に、
「除染すると、多分、飯舘だけで考えても(放射性物質が濃縮された土やゴミが)何百万トンって出るんですよ。そうすると谷ひとつくらいは埋まっちゃうんだよ、フフフ(笑)。でも、これだけ広いんだから、どっかの谷を村で確保してもらえれば…ね。全部集めてまとめて処分できるようにしないと。今のまま何もしなければ、帰って来れないんですよ、本当に」
 …と説得する映像も流れた。
 さすがに多くの国民が気がついただろう。取り返しのつかない汚染をもたらした責任者が言うことか。原発推進という税金投入ビジネスができなくなったら、次は除染ビジネスで迷惑施設を押しつけるのか、と。
 この人のこの言動の真意はなんなのか、これは正しいことなのかといった判断は視聴者に委ねられている。見る側の判断力や常識も試されているのだ。

震災後5か月以上経ち分かること

2011/08/20

 3月12日夜に川内村の自宅から避難したとき、録画機の電源は切らなかった。最近、録画機のデータを遡ってチェックしていて、避難直後に自動録画されていたものを見つけた。3月13日夜に放送されていたものだ。
 テロップには「死者・不明者3000人超」などと出ていて、保安院の記者会見生中継では「3号機も水素爆発する恐れがある」などと言っている。白河市の崩落現場に貼り付いたカメラから延々と中継をしていたりして、報道する側が事態の重大さを把握していないことが分かり、今見ると実に虚しい。
 ところで、未だにほとんど報道されていないことがいくつもあるので、列挙してみる。
ο首都圏の汚染は3月21日3号機から出た放射性物質が主原因。このとき3号機ではどうも「再溶融」が起きていたらしい。
ο浜岡5号機は最新鋭の国産原子炉だが、止めたら細管が破断して海水が炉心に流入。つまり、東海地震などなくても、すでに壊れてしまっている。
ο東電は広野などの火力が復活した後は発電量に余裕があり、今は東北電力に融通している。
ο第一原発内で作業している人たちからの情報では、敷地内に地割れが生じてそこから蒸気が上がっているらしい。炉心のメルトスルーは地下にまで達しているのではないかという説も。
ο郡山の某高校屋上で、県によってとんでもない線量が計測されたが、あまりにものすごい数値なので公表されていない。
 他にも書ききれないくらいの驚くべき事実や情報が、テレビ報道ではフィルターにかけられてあまり外に出ていかない。それらを記録しておくべく、今、本を書いているところだ。

今さらだが『おひさま』の配役考

2011/09/03

 NHK連続テレビ小説『おひさま』が終わる。このドラマ、実は配役に特色があった。
①カップル役が女性上位
②アングラ劇団出身者が多い
③圧倒的にO型が多い

 まず①だが、キャストロールでは、ほぼすべてのカップルが、夫役より妻役のほうが上位位置を占めていた。村上堂の女将役・渡辺えりは劇団3○○(さんじゅうまる)の座長。主人の斉木しげるはシティボーイズ。どちらもアングラ出身だが、斎木しげるなどはドラマ前半では役名(村上貞夫)すらついておらず、完全な端役扱いだった。
 丸庵の主人・串田和美は役の上でも婿養子で、妻の樋口可南子の尻に敷かれているが、串田和美といえば演劇ファンにとっては演出の神様のような存在。年齢も樋口より17歳も上の69歳だが、樋口のほうが上位扱い。
 安曇野の隣家・宮本家はさらに面白い。家長の村松利史は劇団東京ヴォードヴィルショー出身で、WAHAHA本舗の旗揚げに参加。妻役の角替和枝は東京乾電池座長の柄本明の妻で、息子のタケオ役・柄本時生は実の息子。この3人はアングラの純血一族だが、タケオの妻役・安藤サクラは奥田瑛二と安藤和津の娘で、ハイソ?な血筋。
 で、村松利史、角替和枝、柄本時生、渡辺えり、斉木しげるがO型。そもそも、主役の陽子役・井上真央、陽子の夫役の高良健吾、父役の寺脇康文、長兄・春樹役の田中圭もO型。O型は別人になりきる演技力があり、役者に向いていると言われるが、彼らの潜在能力を引き出しきれなかった脚本と演出が残念だった。あの大変な時代を描いたにしては、話も絵作りも深みがなく、きれいごとすぎたよねぇ。

「死の町」発言の何が問題なのか

2011/09/16

 福島第一原発のすぐそばにある「プラント4」というショッピングセンターにはよく買い物に行っていた。その町にはもう立ち入りできない。もちろん人は住んでいない。
 これを「死の町」と形容したことで、鉢呂吉雄経産大臣が辞任に追い込まれた。その後、東京に戻ってから、取材記者の一人に防災服をなすりつける仕草をして「放射能をつけちゃうぞ」と発言したとも報じられた。
 原発周辺の町がゴーストタウンになったことはまったくの事実であり、それはすぐそばに住んでいる我々住民がいちばんよく知っている。むしろ、この現実をいい加減にオブラートで包まれては困る。
 事故直後、多くの住民が見捨てられたまま原発周辺に残っていたとき、マスメディアは30km、40km圏内への取材中止を早々と決めた。「死の町」の恐怖に怯えたからではなかったか。
「放射能をつけちゃうぞ」発言は、鉢呂氏本人が「言った記憶は本当にない」と取材に答えている。言ったとされる言葉もメディアによってまちまちだし、現場にいたはずの記者の誰一人、その仕草や言葉について明解な証言をしていない。つまり、ニュースとして信憑性が弱すぎる。
 ところで、経産省の「総合資源エネルギー調査会」のメンバーが、鉢呂氏着任前に内定していたが、4対1で原発推進派が圧倒的多数を占めていた。それを着任後すぐの鉢呂氏が「半々にしろ」と指示し、反原発派のメンバーが同数に増やされるはずだった。このことを伝えたテレビ報道を僕は知らない。
「死の町」にしてしまった原因はどこにあるのかを追究するのがメディアの責務ではないのか。

WOWOWが帯域拡大で再編成

2011/09/28

 地上波アナログ放送が本当に終了したが、実はBSのアナログ放送(NHKのBS1/BS2とWOWOW)も終了した。
 それで空いた帯域に新しい放送局やチャンネルが参入したが、アナログのWOWOWが持っていた帯域分はそっくりデジタルWOWOWに追加されたため、PRIME、LIVE、CINEMAというフルハイビジョン3チャンネル構成になった。料金は据え置きらしいので歓迎。
 僕は常々、WOWOWが映画ばかりやっているのは存在意義を狭めていると主張してきたが、これでオリジナル番組や舞台中継などが増えてくれるだろう。スポンサーにおもねない番組作りを期待したい。民放で放送できないような良質のドキュメンタリーなどは、今の日本には絶対に必要なものだ。また、芝居小屋やライブハウスとの提携を進めて、地上波テレビに出てこないエンターテインメントをじゃんじゃん送りだしてほしい。
 それにしても総務省のBSの電波資産分配はひどい。通販チャンネルにハイビジョン帯域をあっさり渡すくらいなら、NHKのチャンネルを増やすほうがはるかに国民のためになる。
 地方ではNHK総合チャンネルに地方特番が割り込むと首都圏放送の内容が見られない。これは現在放送されている難視聴対策チャンネル(NHK総合の場合はBS291)のスクランブル(暗号化)を解除すればいいだけのことだ。3・11以後、日本中が災害情報を欲しているときにもBS291は暗号解除せず見られないままだ。地上波が受信できなくなりBSが頼りの被災者も多いのに、これはあんまりだ。電波の公共性を守るのが総務省ではないのか。

『幸せの黄色いハンカチ』を見た

2011/10/14

『幸せの黄色いハンカチ』(日本テレビ、10月10日放送)をついつい見てしまった。
 この物語は1977年に山田洋次監督の映画として公開され、武田鉄矢の俳優デビュー作としても有名。僕ら世代は、高倉健と武田鉄矢の絡みをすぐに思い浮かべてしまう。服役囚を待つ妻役は倍賞千恵子だった。
 その後、1982年にTBSで菅原文太・泉ピン子コンビで連続ドラマとしてリメイク。そして今回の日テレ版が3回目。
 出来としては最初の映画版を超えることはできていない。でも、結末がはっきり分かっているのに見てしまう、泣いてしまう物語の強さに興味を覚えて、少し調べてみた。
 同名のポップス曲が73年に大ヒットして(実際に僕らはラジオで嫌と言うほど聴いていた)、原作はピート・ハミルが新聞に書いたコラムということまでは知っていたのだが、そのハミルが曲の著作権を巡って裁判を起こしていたことは知らなかった。裁判では、被告側(曲を作った側)が、60年代にすでに似た話が掲載された文献を証拠として提出し、ハミル側が敗訴。
 さらに遡ると、ジョン・ウェイン主演の騎兵隊映画『黄色いリボン』や、南北戦争までもが関係していたり、ウォーターゲート事件で有罪になり収監された被告の妻がポーチに黄色いリボンをつけて待ったとか、テヘラン米大使館がゲリラによって占拠されたとき、人質になった大使館員の妻が木の幹に黄色いリボンを巻いて夫の無事を祈ったとか、自衛隊のイラク派遣でも…とか、いろいろ出てくる。
 そんな話をまとめて紹介する「黄色いハンカチ伝説」的な番組もついでに見てみたい。

『炎の体育会TV』長寿番組化計画

2011/10/28

 前に、『ほこ×たて』(フジテレビ系)をより面白くするためには、女性プロ選手vs男性アマチュア選手、あるいは現役女子選手vsシニアの元一流男子選手による男女対決などの番組に発展させたらよい、と書いたが、ほぼこのコンセプトでレギュラー化されたのが『炎の体育会TV』(TBS系)だ。「美女プロアスリートvs芸人軍団」という、範囲をかなり狭めた設定なのが残念だが、今のところ内容は十分に面白い。
 10月17日の放送では、元女子テニス界の女王マルチナ・ヒンギスvs芸人5人(たむらけんじ、しずる、慶、チョップリン西野)が対戦。サーブは芸人チームのみで、5人全員がコートに入ってヒンギス1人と戦うという超ハンディ戦。どうせおちゃらけた内容だろうと思ったら、後方を任された慶(チャラオ)と西野のうまさにまずびっくり。サーブは速いしリターンもミスしない。ヒンギスの顔がだんだん引きつっていくのが分かった。
 これこそテレビの面白さだ。
 さて、この番組を長寿化させるための提言をいくつか。
 まず「美女アスリートと芸人」という枠を外すこと。テニスなら、男子トップ選手(錦織とか)vs女子トップ選手2人の1対2マッチ。現役トップ女子選手と現役引退した往年の男子トップ選手の闘い。砲丸投げ選手とハンマー投げ選手による円盤投げ対決(あるいは投擲種目総合チャンピオン戦)……面白そうな企画はいっぱいある。
 そして、1放送枠にいくつも入れるのをやめて、じっくり対決を見せてほしい。ヒンギスvs芸人のテニス対決などは1ゲームではもったいなかった。とにかく、長寿番組になってほしい。

『カーネーション』の「実話度」

2011/11/06

 連続テレビ小説『カーネーション』見てますかぁ?
 展開が遅く、我慢比べのようにつき合った『おひさま』とはうってかわって面白い。テレビ小説は大阪局制作に限るね。
 前作『おひさま』と時代が重なっているのだが、こちらは実話ベース。主人公・小原糸子のモデルは小篠綾子さん。デザイナーとして活躍するコシノヒロコ、コシノジュンコ、コシノミチコの「コシノ三姉妹」の実母。
『カーネーション』は、小篠さんの生涯をかなり忠実に描いている。小篠さんの自伝として『やんちゃくれ―コシノのお母ちゃんと三姉妹の奮闘記』(講談社)というのが10年前に出ているのだがすでに絶版。文庫本の『コシノ洋装店ものがたり』は今も入手可能。
 こうした自伝に出てくるエピソードのいくつか、例えば、男の子と喧嘩して帰ってきた娘を父親が平手打ちして「これが男の力や」と教えるシーンなどはすでにドラマに出てきている。
 パッチ屋でのミシン修業なども実話。実話を忠実にドラマ化していくだけで相当面白いはずで、今後の展開に期待がかかる。
 実は自叙伝『やんちゃくれ』には、夫が不倫していたことを父親から告げられるとか、自分も妻子ある男性と不倫して同棲したりという人生が赤裸々に書かれている。「第5章・恋という名のあだ花」のあたり。どうせならそこまで徹底的に描ききってほしいと思うのだが、NHK的にはかなり難しいだろうなあ、と危惧しているところ。さて、答えはどっちだ!?
 いずれにせよ、『カーネーション』の話題は尽きそうもないので、今後もこのコラムに何度か登場しそうな予感がする。

CS(スカパー!)はe2かHDか

2011/11/25

 我が家(福島県川内村)は、このまま長期的に仕事ができる環境ではなくなってきたので、悩んだ末に生活拠点を栃木県に移転した。歳を取ってからの、しかも、原発爆発というとんでもない災厄が招いた引っ越しはきつい。なにより理不尽だ。
 引っ越し後、栃木県はテレビ放送的には「首都圏」に入るのだということを初めて知った。テレビ東京が受信できるのね。
 うちは仕事上、WOWOWもスカパー!も加入しているのだが、今回、スカパー!はHDからe2に変更した。これで我が家のCS遍歴は、ディレクTV(覚えている人は少ないだろうな)→スカパー!→スカパー!e2→スカパー!HD→スカパー!e2と変わってきた。
 最初にe2にしたときは、CS専用アンテナとケーブルから開放されたいと思ったからだ。e2でない本来のスカパー!はアンテナも別ならば、アンテナ線を共有(信号を混合)させることもできない。専用チューナーも別に必要。とにかく設備が面倒だ。それでも再びCSアンテナをつけ直してHDにしたのは、ハイビジョン放送を録画したかったから。しかし、スカパー!で見ている番組のほとんどは海外ドラマで、別に高精細画面じゃなくてもいい。実際、『メンタリスト2』(スーパードラマチャンネル)を見比べてみたが、標準画質のe2で見ても高精細のHDで見てみても大して変わらなかった。基本パックの契約料も1000円以上e2のほうが安いし、アンテナ線を2本引かなくていいe2にするっきゃないよね。
 あ、でもアダルトチャンネルがe2では見られなくなるのね……いやいやこれは関係ない!
   

早くも忘れられている原発事故

2011/12/03

 ずっと続けているWEBの写真日記(http://abukuma.us/takuki/)。2011年最初のページのタイトルは「今年はどんな年になるのだろう」だった。
 いやはや、とんでもない年になってしまったものだ。2004年年末は、中越地震で川口町の家を失い、福島県川内村に新天地を見つけ、小さな家で新年を迎えた。その川内村の家で、今度は原発爆発に立ち会う羽目になった。今年経験したことは『裸のフクシマ』(講談社)という本にまとめて書いたが、福島で今起きていることの本質を、テレビはほとんど伝えていない。悲惨な避難所生活とか、復興へ向けて頑張っているとか、除染だとか、そういうニュースのほとんどは表面の「絵」を切り取っているだけで、問題の本質に迫ることを避けている。
 先日、週刊朝日に『裸のフクシマ』の書評が掲載された。見出しは「働くな、土地を放棄せよ、が蝕む人の心」というものだった(評者・上野昂志氏)が、まさにこうした視点での報道がテレビからは完全に消えている。
 それどころか、今なお放射性物質大量再漏出の危機が去っていない原発がどうなっているのかという報告もしてくれない。
 今年の流行語大賞は「なでしこジャパン」だのと横並びに流すテレビの報道番組を見ていると、ますます暗い気持ちになる。
 福島第一原発4号機は、壁が失われて強度が不足している建屋が傾いていて、外部から補強工事をしている。倒れたら最上階の燃料プールにある燃料がぶちまけられ、そのときの天候次第では、首都圏を含めた広範囲の地域がさらに汚染されるかもしれない状況を直視しながらの年越し。これが現実なのだ。

ドラマの「字幕」について考える

2011/12/20

 最近、ドラマを字幕付きでみることが多い。特に字幕必須だったのは年末に放送された『坂の上の雲』(NHK)。このドラマはリアリズムを追求してのことなのか、登場人物はゴリゴリの方言で喋るし、軍隊の中での文語調台詞もそのまま。
「諸子が一死君国に殉ずべきは実に今日にあり。こい希くば努力せよ」なんて台詞、字幕なしでは何を言っているのかさっぱり分からない。字幕があっても分からない台詞もあった。
 で、この字幕は本来聴覚障害者のためのものということで、台詞やナレーションだけではなく、頻繁に「風の音」とか「♪~」といった字幕が出てくる。
 これを見ていて考えたのだが、「風の音」はともかく、大砲を撃ちまくっている戦闘シーンに「砲撃の音」と入れる必要があるのだろうか。耳が不自由な人にも、これは邪魔なのでは?
 もっと理解できなかったのはBGMが流れていますよということを示す「♪~」の表示。
 戦死者を悼むシーンとかで「♪~」と出ると、えらく軽く感じて、感情移入できなくなる。ここで荘厳な、あるいは哀しい音楽が流れていますよということを聴覚障害者に伝えたいのだろうが、果たして聴覚障害のかたたちはこの「♪~」表示を歓迎しているのだろうか。
 もし大多数のかたが「それは健常者が勝手に思うことであって、『♪~』はあったほうがいいに決まっている」というのであれば、謝りたい。しかし、どうしてもそうは思えないのだ。
 台本の「ト書き」をそのまま文字起こししている、あるいは慣例でやっているだけだとしたら、細かな配慮が足りないのではないかとも思うのだが。





まだのかた、ぜひお読みください↓



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