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 たくき よしみつの 『ちゃんと見てるよ』 2000

 (週刊テレビライフ連載 過去のコラムデータベース)

 2000年掲載分




Y2Kよりこわい 人間の「思考停止」

 Y2K(コンピューターの2000年問題)は、予想通り大したことはなかったが、次は2038年問題というのがあるそうな。これは何かというと、「現在、パソコン内の時間の管理は1970年1月からの積算時間を32ビットで処理している→つまり、32ビットで計算できる限界が時間管理の限界である→具体的には、2038年1月19日3時14分07秒である」……というもの。これ以降はWindowsもUNIXも止まってしまうというのだ。
 もっとも、「その頃、パソコンが32ビット処理のわけないから全然関係ない」という意見が多数を占めている。デジタル技術にとって、30年先は「遠い未来」なのだ。今までのように時間がゆったり流れていかない。人間が生理的に処理できる時間感覚や作業能率を超えて、デジタルによる情報処理技術が進みすぎてしまっている。この時間感覚の狂いこそが怖い気がする。さらには、そのストレスと反動で、人間がどんどん白痴化しているのではなかろうか?
 テレビによる情報伝達を見ても、ある時期をピークにして、むしろ「退化」し、「画一化」されているように思える。誰かがY2Kだと言うと、横並びにわーっと騒ぎ立てるだけで、自ら検証しようとしない。情報が、考えるための「材料」ではなく、「すべて」になってしまっている怖さ。
 年末年始の「横並び特番」を眺めていると、本当に怖いのは、電気が止まることなんかじゃなくて、人の思考停止では? と思えてくる。
 
■近況
年末、KAMUNAがCSで全世界に放送された。『ありがとうの歌~ぼくの歌をつくってください』(ポプラ社)が、新年早々、中国新聞で大きく紹介された。どちらも、次につながればいいのだが……。

「かぶっている」番組はなぜ増える?


 最近「かぶっている」という表現をよく耳にする。「かぶりキャラ」というと、性格や風貌が似ているキャラクターということらしい。稲川淳二と出川哲郎、斎藤慶子と浅野ゆう子、宮本和知と森末慎二、夏樹陽子と夏純子(古すぎるだろ!)、国谷裕子と森田美由紀(マニアックすぎるだろ!)……。
 かぶりキャラは、番組の中で同じような役割を期待される。ここでボケろ、ここで突然怒りまくれ、ここで平然と正論を吐け……などなど。役割が固定化されたタレントは、見ているほうも飽きてくる。
 番組も同じだ。
 例えば『目撃!ドキュン』(テレビ朝日系)は『嗚呼!バラ色の珍生!!』(日本テレビ系)や『徳光和夫の情報スピリッツ』(テレビ東京系)と完全にかぶっている。
『学校へ行こう!』(TBS系)は、かつての『たけしの元気が出るTV』そのものだし『~びっくりハンター~』(テレビ朝日系)は、『奇跡体験!アンビリバボー』(フジテレビ)や、定期的に繰り返される「珍三面記事再現番組」とかぶっている。ご対面番組として定着した感があった『バラ珍』でさえ、最近はもてない男女のお見合いコーナーなど、他番組とかぶらせている(それはロンブーに任せておけばいいのに)。
 もはやバラエティ番組には、オリジナルな面白さを生み出す気概はないのだろうか? 
 今思えば『元気が出るテレビ』が出てきたときは新鮮だった。たけしはやはり天才なのかもしれない。


 
■近況
3月24日から広島市で行われる「栗栖晶詩画展」オープニングパーティに呼ばれた。翌25日には、同市内でのミニライブも決定。ギターを抱えて「芸人」として地方遠征。今、『ありがとう』の弾き語りを練習中(^^;;。

辛口コメントで存在感光る増田明美


 1月30日の大阪国際女子マラソンは、なんとも中途半端な結果になってしまった。注目の弘山晴美は、日本歴代3位の好記録ながら、2秒差でリディア・シモンに競り負けた。タイムも東京国際の優勝者・山口衛里より悪い。これで名古屋で高橋尚子が優勝すれば、弘山のシドニー五輪代表は無理だろう。理不尽!
 何度も言うように、なぜ国内選考会が始まる直前に市橋有里を「内定」させなければならなかったのか? ここを突っ込むキャスターこそ魂のあるキャスターだ。
 昨年、奥野史子がテレビ朝日の番組でそう突っ込みかけたが、周囲の冷たいムードで最後まで言い切れなかった。
 30日夜の『サンデースポーツ』(NHK総合)では、ゲストの二宮清純が「レースにドラマはあっても、選考にドラマはいらない」と、暗に陸連を批判するコメントを吐いたが、これが精一杯。同席した増田明美も、弘山の名前のついたカードを勝手に山口衛里の隣に押し上げ、「同じくらい評価されていい」と絶賛。二人とも弘山が置かれた苦しい立場を十分理解しているだけに、なんとか応援したい、でも、真っ向から陸連批判はできない、というジレンマがありありだった。
 しかし、増田明美は頑張っている。レース中継(フジテレビ)のときも、有森裕子の旦那・ガブリエル氏が映し出された後、すかさず、「ガブさん、のんびりお茶飲んでましたね」と皮肉を言うのを忘れなかった。増田のギリギリの好プレーは今後も注目だ。


■近況
テニスでぎっくり腰になってしまった。初体験。歳を感じるわ。3月25日2時より、広島市内のイベントスペース「アッカ」で、たくき よしみつミニライブ決定。狛犬の話と歌とギター……かな? 

そもそも永久欠番って変じゃない?


 最近、スポーツ関連の報道でおかしいと思うこと。
●大相撲八百長告発
 元小結の板井氏が外国人記者団との懇談会で自らの八百長体験を暴露してニュースになったけど、やっぱり大相撲中継をしているNHKとテレビ朝日は静観。板井氏が八百長の「中盆」(取次役)だったことは、かつて何度も週刊誌が報じているんだし、外国人記者クラブで発言したからニュースっていう姿勢が変だよね。いっそ板井、輪島、双羽黒トリオが取り組みの八百長度を解説する「裏相撲ダイジェスト」なんてどう?
●ジャンプの日本人いじめ
 スキー板を短くさせて身長の低い日本人選手に不利なようにルール改変をごり押ししたヨーロッパ陣営。今後はジャンプ競技の中継では、必ず選手の身長をアナウンスせよ。
●背番号3の馬鹿騒ぎ
 日本テレビ系だけならともかく、他の民放もこぞって「長島監督はいつジャンパーを脱ぐか?」で連日大騒ぎ。 そもそも「永久欠番」という風習そのものが恥ずかしいのではなかろうか。だって、後に続く選手に自分がつけていた背番号を譲らないってことでしょ。チームスポーツにそういう慣習が定着していったら、チームの、ひいてはそのスポーツの沈滞化を招くのでは? スポーツマンの美学としては、たとえ上層部や周りが「永久欠番だ」と騒いでも、「それだけは固辞します。背番号が次世代に受け継がれてこそ、私の野球人生も不滅です」って言えばいいのに。
 ファンから抗議殺到かな?
 


 
■近況
毎年この時期は暇なのに、今年はなぜか滅茶苦茶忙しい。「原稿まだですか?」と催促されるのも久しぶり。一息ついたら、文芸作品のデジタル配信にも取り組んでみたい。まずは自分の絶版本から始めようかな。

職人の時代幕開け岡野雅行氏に注目


 岡野雅行といっても、Jリーグの「野人」じゃない。墨田区にあるプレス工場の親方。
 従業員は本人を入れて6人。自宅と軒続きの工場は広さ5m四方。「冷間鍛造深絞り」という技術を駆使し、不可能と言われていたもの(チタンやマグネシウム合金による超小型・薄型容器など)を次々に生み出してきた。しかし、成功するとそれをプラントごとメーカーに売ってしまう。
「うちは新しいもんしかやんないよ。2番目なんてつまんねえだろ。それだけ作ってりゃ儲かるけど、お金のことなんか考えてたら、本当の仕事なんてできないんだよ」
 そう言い放つ岡野氏(本人は「社長」という肩書きを拒否している)を紹介した番組が相次いだ。2月8日に『たけしの万物創世記』(テレビ朝日)、翌9日には『ETV特集新ニッポン職人列伝~人にできなきゃ俺が作る』(NHK教育)。特にNHKのは面白かった。インタビュアー役の諫山法子ディレクター相手に「あんた~」と、どんどんお説教口調になっていく。
「大学出たって経験ないやつは駄目だよ。紙の上の暗記の学問だろ? 役に立たないよ」「リスク? そんなもん考えてたら仕事はできないの! できなかったらお金はもらわないよ。恥ずかしくて言えるか、おまえ。できませんでしたけどこれだけお金がかかりましたからくださいなんて」
 よく出てくるラーメンの鬼やカリスマ美容師とは別格の本物。引退したらぜひタレントに……って言っても、絶対ならないだろな、この人は。

 
■近況
新刊『ワードを捨ててエディタを使おう』(SCC)20日に発売。付属CD-ROMがすごい。3000円のエディタQXが正規ライセンス付きで入ってるし、佐伯一麦氏の随筆とか、私の小説、KAMUNAのMP3ファイルまで! 

陸連の「不正」を追及できぬメディア


 やはり弘山晴美が涙を呑んだ。男女マラソンの五輪代表選考騒動。なぜ国内選考レースの前に「内定」を出す必要があったのか? 勘ぐればいくらでも疑惑が広がる。
 市橋有里の監督・浜田安則と佐藤信之の監督・宗茂は、共に「シドニー五輪強化特別委員会副委員長」という肩書きで、選考には強い発言権を持つ。しかも、市橋は陸連直轄とも言える「東京クラブ」というチームで育てられた「陸連純正選手」。身びいきと言われても仕方ない。
 そもそも、「誰がメダルを取れるか?」ではなく、「誰が正当に選ばれるべきか」を問題にすべきだ。実績のある選手Aが、選考レースでたまたま腹痛に見舞われ、無名の新人Bに僅差で負けたとする。「本番」でメダルを取れる確率はAのほうが圧倒的に高い。しかし、それが「代表選考レース」であるなら、Bを代表に選ぶべきだ。スポーツとは、そういうものではないのか。
 世界陸上は誰もが出場できるオープンレースではない。それだけでも選考レースの資格がない。故障で出られなかった高橋尚子は別として、弘山も山口衛里も、勝負ができない場だったのだ。勝負する前に「この子は別枠だからね」とさっさと決められたのではたまったのものではない。陸連は選手をつぶしている。市橋もまた、犠牲者と言える。
 さらに不愉快なのは、この明らかな「不正」を、マスメディアが追及できない点だ。中継権がそんなに足枷になるのか? テレビ局・大新聞よ。日本のいちばん嫌な部分だね。
 
 
  
■近況
文藝ネット(http://bungei.net)というのを始めた。小説をデジタルファイルで配信するサイト。前途多難だが、じっくりやっていく覚悟。キャッチコピーは「魂はアナログ、手段はデジタル」。



ラーメンズの哲学的お笑い芸に注目


 若手のお笑い芸人たちが、売れた途端に「芸」をしなくなる中、『笑う犬の冒険』(フジテレビ系)と『爆笑オンエアバトル』(NHK総合)には注目している。
『~犬の~』は、他のバラエティがことごとくヤラセ的な安直人間ウォッチングや客いじりショー化する中、本来の「コント」に力を入れているところに好感が持てる。レギュラー陣の一人、ネプチューンのリーダー名倉が週刊誌につまらぬニュースネタを提供し、番組の存続が危ぶまれるところだが、こうした王道番組はぜひ続けてほしいものだ。名倉は、ネプチューン結成前、無名のままどっきり番組のエキストラをやっていたり、二人組で地味なコントをしていた時代も見ているだけに、売れてからの失態はとても残念。
『爆笑オンエアバトル』では、ラーメンズに注目している。彼らのライブショーをCSでたっぷり1時間半観たが、他の誰にも似ていない芸風はすごい。特に本を書いている小林堅太郎(背の高い方)は、作家として十分やっていける。
 民放地上波がラーメンズの世界を届けられないなら、BSやCSがチャンスを提供してほしい。まだまだ芸が素人の域だし、残念ながら『爆笑~』のチャンピオン大会でも、考えすぎたり緊張したりでスベってしまった。「特別審査員」の立川談士が特別賞を与えたというのは救いだったが、談士も彼らのライブを見ているに違いない。
 ラーメンズよ、このままイギリス風(?)の哲学的笑いを追求し続けてくれ。
 
  
■近況
広島ライブは成功のうちに終わった。『ありがとうの歌』(ポプラ社)で往復書簡を公開した栗栖晶君とも初めて会ってきた。『ワードを捨ててエディタを使おう』(SCC)も好評で、出足快調。

30分ドラマのよさを見直してみよう

 ディレクTVがスカイパーフェクTVに吸収合併されることが決まった。米国のジャズ専門チャンネル「Bet On JAZZ」を観るのが目的でディレクユーザーになった僕としては、ディレクだけのチャンネルがどれだけスカパーに移行するのか心配。
 今CSで観ているのは、もっぱら欧米の30分ドラマだ。英国の『こちらほげほげ法律事務所』と米国の『ソープ』(どちらも「OkiDoki」チャンネルで放送中。これはスカパーにもある)は、同じものを2、3度繰り返し観ることもある。それほど面白い。
 他にも、昔の海外ドラマを放送しているチャンネルでは、『じゃじゃ馬億万長者』『奥様は魔女』『ラットパトロール』『ミステリーゾーン』などなど、懐かしい30分ドラマの再放送が流れている。
 日本では30分ドラマというものがほとんどなくなってしまった。ドラマの内容も、若手の美形タレントを主役に据えた似たようなものばかりで、しっかりした作りのコメディやSFなどは皆無といってもいい。タレントの個性や演技力を楽しめるドラマというものも少ない。
『~ほげほげ法律事務所』などは、セックスという題材さえもコメディに昇華させ、かつ、人間の哀しさや優しさ、愚かさといったものを巧みに浮き彫りにする。これも、30分という限られた枠の中だからこそ、作る側も観る側も、適度な緊張感を持てるのだろう。日本でも、30分ドラマというものを、もう一度見直してもよいのではないか? 

 
  
■近況
佐伯一麦、森下一仁両氏と共に、「文藝ネット」(http://bungei.net)を立ち上げた。今後も広く作家や漫画家を招いて作品を配信していく予定。『ワードを捨ててエディタを使おう』(SCC)も反響が大きい。

数分早く始まる効能はいかに?


 NHK『ニュース10』の開始と合わせるかのように、同時間帯の『ニュースステーション』(テレビ朝日系)は、番組開始時間を9時54分に繰り上げた。少しでもライバルより早くスタートして高視聴率を得たいという「フライング戦法」だが、果たして効果はあったのだろうか? 別にそんな姑息なことをしなくても、『ニュース10』は怖くなかったんじゃない?(笑)
「○時きっかり」より数分だけ早く番組をスタートさせる「フライング率」を、局別に調べてみた。4月24日の番組表で早朝5時前から深夜0時までを見ると……。
 まったくフライングしていないのはNHK(BSや教育も含む)とWOWOW。
 日本テレビとTBSが4本。フジテレビが3本。テレビ東京が2本。で、ダントツの「フライング王」はテレビ朝日で、なんと7本だった。(『やじうまワイド』(前5・50)『親の目』(前9・55)『はみだし刑事II』(後1・55)『スポコン!』(後7・54)『たけしのTVタックル』(後8・54)『ニュースステーション』(後10・54)『とび蹴り』(深0・54)。
 逆に、○時きっかりに始まる番組は4本で、フライング番組より少ない。これでは、「立ち会い不十分」で、審判部から怒られても仕方がないんじゃないかしら。
 しかし、この「フライング指数」って、なんだか局の余裕とか番組制作のオリジナル度と反比例しているような気がしてしまうなあ。となると、テレビ東京は大健闘かな? 
  
■近況
狛研会長・三遊亭円丈師匠が綾瀬稲荷神社に狛犬を奉納。お祝いに、林家しん平師匠は狛犬の着ぐるみでかっぽれを踊った。必見(http://komainu.net)。しん平師匠はshinpei.netも創設。これも見てね。


インターネットを知らないTV


 日本でもようやくインターネットブレークが起きつつあるようだが、テレビの報道を見ていると、インターネットの基本知識もあやふやなまま、なんでもかんでもネットと結びつけて報じているケースがあまりにも多い気がする。
 例えば、ネット犯罪報道。ネットオークション詐欺や違法薬物の売買事件などは、媒体がインターネットであるというだけで、雑誌の告知欄などを使って行われるものとなんら変わりはない。クレジットカードの番号を盗み出す犯罪も、別にネット通販でなくても日常的に起きる(むしろ、磁気情報を丸ごとコピーされて偽造カードを作られる危険性は、店舗での通常使用のほうが高い)のに、インターネットが特別危険であるかのように報じられる。
 佐賀のバスジャック少年がインターネットの掲示板の常連で、犯罪直前にも書き込みをしていたらしいことは、早々とネットの世界では知られていたが、これなども別にインターネットが犯罪の引き金になったとは言えない。
 逆に、実体を無視した「こんなこともできる」「すごいだろ」的報道も目立つ。例えば、画像や音声を快適にやりとりするためには、光ファイバーなどを使った高速回線の整備が必須だが、それを言わずに、理論的に「できる」という部分だけを報じる。
 両極端の報道で、未経験者は、インターネットに対して偏ったイメージや間違った知識を仕入れることになる。テレビが、ネット社会の成熟を妨げている面もありそうだ。
  
■近況
『ワードを捨ててエディタを使おう』(SCC刊)の売れ行きが思いの外好調で、書店によっては月間売り上げのランキングにも入ってきたとか。
成熟した電脳社会に向けた地道な布教活動? とは、自画自賛の図。

『徳川三代』の「年の差なんて」指数


 今年は珍しくNHK大河ドラマ『葵~徳川三代』を観ている。ちょろちょろ出てくる解説役の中村梅雀は、視聴者の無知を計算した上での、ジェームズ三木、苦肉の策か? などなど、いろいろな見方ができるのだが、いちばん気になるのは、登場人物と役者の「年の差」指数である。
「殿はまだお若いから」などと言われている徳川秀忠役の西田敏行は、1947年11月生まれだから現在52歳。秀忠は関ヶ原の戦いのとき、まだ20歳そこそこの若者だった。30歳以上の若返り。相当無茶な役作りということになる。
 その妻・お江は、家康(津川雅彦)からさんざん「三十路を過ぎて」と揶揄されるが、お江役の岩下志麻は1941年1月生まれで現在59歳。三十路どころではなく、これも相当厳しい。ちなみに姉の淀君役・小川真由美は1939年10月生まれ、妹のお初役・池乃久里子は1945年12月生まれだから、順番的には合っているのだが……。
 淀君が死んだのは40代後半で、還暦を超えている小川真由美はすでに一回り以上長生きしているわけだ。
 徳川家康役の津川雅彦は1940年1月生まれの60歳。西田とは8歳しか違わないのだが、ドラマの中では親子。しかも秀忠は家康の第3子。西田の歳から逆算すれば、「津川」家康は8歳で第3子をもうけたことになってしまう。いくら絶倫でも、ちょっと……。だが、家康は関ヶ原の戦いのとき58歳。死んだのが74歳だから、津川雅彦だけはほぼ「適齢」なのね。
  
  
■近況
ギターデュオKAMUNAの3枚目CDに着手。現在、新曲3曲を録音中。さらに新曲を書かねば。ディレクTVがこけてしまったので、スカパーに移行。ラジオのジャズばかり聴いている。アダルトは飽きるしねぇ(バキ!)。筆者HP・




映し出されたものどこまでが演出か


 森本毅郎が『噂の東京マガジン』(TBS系)の中で、こんなことを語っていた。
「テレビに出てくるヤマンバの女の子にしても、普通にそのへんを歩いている女の子を捕まえてインタビューしているとは思えない。やはり、画面に出て盛り上がりそうな子を{傍点 }選んで{/傍点}出している。そういう意味では『普通の子』はほとんどテレビ画面に登場することはないんじゃないか」
 まさにその通りだろう。街頭インタビューに見せかけていても、実際には画面の中で「盛り上がりそう」な極端な人物を選んでいる。極端に馬鹿そう、極端に非常識、極端に変なキャラクター……。
 田舎を探訪する番組などでも、「旅人」が出逢う地元の人たちは、事前に仕込まれていることが多い。ひょっこり訪ねて偶然出逢うわけがないもんなぁ。そうなると、クイズ番組の解答者はどうなのか? 事前にどこまで「打ち合わせ」しているのか? まさか問題までは「打ち合わせ」てないだろうな……。今画面に登場しているこの人は、まったくの一般人なのか、事前に打ち合わせ済みの一般人なのか、それとも仕込まれた役者なのか? ……必ずそうした疑念が湧いてきてしまう。
 こうなると、あらゆる番組を、素直には見られなくなってくる。ドキュメンタリー番組にも、スポンサーの顔が見え隠れする。これって、どこまでがCMでどこからが番組なのか? そんな見方しかできなくさせてしまった責任は、誰にあるのだろうか?
 
  
■近況
著作権ORG(http://chosakuken.org)と文藝ネット(http://bungei.net)のことが読売新聞で紹介され、いくつかの問い合わせに追われた。このコラムに書けなかったことも、/chanto/にあります。覗いてみてね。


TVドメインCXドメインのその後


 インターネットのブラウザ(Internet Explorerなど)URL検索欄に「fuji.tv」や「nihon.tv」と入力してみよう。英語がズラズラ並んだサイトに飛ぶはずだ。
 実はこれ、「ツバル」というオセアニアの小国のドメインを売る企業のサイトなのだ。
 日本のドメインが.jpであるように、ツバルのドメインは.tv。これに最初に目をつけたのがカナダのTVコーポレーションという会社で、98年の夏に5000万米ドルでドメイン販売権を買い取ったのだが、金を払わなかったそうで、契約破棄。次に米国のアイデアラボ社が同額で買い取り、世界のテレビ局相手にドメインを売り出した。ちなみにNIHON.TVは最低入札価格が年間2500ドル(約26万円)。実在しないJAPAN.TVというドメインは3万ドル(約310万円)だったそうだから、オマヌケだ。結局、fuji.tvもnihon.tvも買わなかったらしい。
 ちなみに、フジテレビは業界では「CX」と呼ばれるが、これはクリスマス島のドメイン。誰もが安価に買える。かなり早い時期に8ch.cxとfujitv.cxは個人が買い取っていたが、今、その2つはプロレスファンのサイトと「旧フジテレビ通り(曙橋)情報」というサイトになっている。フジテレビには転売できなかったようだ(苦笑)。
 で、この.CXドメインだが、今まで管轄していた英国企業が、クリスマス島にできた新規企業により閉め出されようとしている。クリスマス島よおまえもか……であるな。
  
■近況
 ちなみに.COM .NET .ORGといったドメインは、http://domain-get.comなどのサイトで日本語でも簡単に取得できる。ドメインの話は、http://tanupack.com/domain.htmに詳細なガイドブック的情報を載せてみた。



突っ込みが足りぬニュースはいらん


 先日、テレビ東京の夜中のニュース番組を見ていたら、アマゾン・コム(米国ナンバー1のWEB通販サイト)の創始者ジェフ・ベゾス氏へのインタビューがあった。日本に本格進出の噂がある一方、株価急落などで何かと話題を提供しているときだけに、「おっ」と思って見たのだが、インタビューのあまりのお粗末ぶりに呆れてしまった。
 まず、本人の生の声が聞こえない。インタビュアー共々、日本語吹き替えなのだ。こういうものこそ字幕処理だろう。誰が聴いても分かる日本語にはしつこいほど字幕を入れるのに、肝心の英語インタビューはいきなり吹き替え。視聴者を子供扱いしているとしか思えない。質問内容も突っ込みが足りず、「株価は動くのが当たり前で何も心配ない」「もうすぐ日本の皆様にも高品質なサービスを提供できる」など、馬鹿みたいな答えしか返ってこない。インタビューした意味がないじゃないの。
 どうも、報道する側が、視聴者の教養や情報収集意識をはなから見くびっているとしか思えない。例えば、九州沖縄サミット関連報道で、「なぜ、小室哲也がテーマ曲を書くのか? そんなものが必要なのか? 制作費はいくらで、どこから拠出しているのか?」という突っ込みもない。
 これなら、爆笑問題にでもキャスターやらせたほうがよほどマシではなかろうか。
「テーマ曲が必要ということは、サミットはただのお祭りなんですかね。だったら三波晴夫先生に歌わせましょう」とか突っ込んでくれるはずだ。


■近況
 林家しん平師匠の結婚式にKAMUNAが呼ばれ、ミニステージをやることに。どうなることやら。前回のコラムに関して「ドメインって何?」という質問がいくつか来た。http://tanupack.com/domain.htmに解説があります。

『伊東家の食卓』はアナログへの回帰


 最近『伊東家の食卓』(日本テレビ系)がよく話題になる。裏技紹介コーナーのことばかりだが、この「おばあさんの知恵袋」的なコーナーが、意外にも若い女性たちの間でも好んで話題にされている。
「コピー用紙の包装紙の裏側は、簡易ホワイトボードとして使える」というようなせこい、いや、実用的な裏技から、「妊婦が五円玉を糸で吊して持つ。まっすぐ揺れると生まれてくるのは男の子、回り始めると女の子」というような迷信や占いに近いようなものまで、ネタは実に様々だ。
 共通しているのは、どのネタもどこか懐古的でアナログだということ。
 ハードディスクの賢い増設法とか、フリーソフトでアイドルコラージュを作ろうなんていうネタはない(あたりまえか)。株で一儲けする方法のような、一攫千金ネタもない。デジタルストレスや不況に疲れた人たちが、懐古的な小さな雑談で息抜きしているような気がする。
 でも、それを提供しているのがテレビ番組というところが、ちょっと考えてしまう。「生のおばあちゃん」は不足しているんだろうなあ。
 この裏技紹介コーナーを本にしたものも売れているそうだが、こういうのとか、『VOW』とかの小ネタみたいなものしか本として売れない時代というのは不幸なのではないか。
 あるいは、このような小ネタ番組がクローズアップされてしまうくらい、今のテレビ番組には語るべきものがないということかもしれない。
 
■近況
 今年もまた夏はタヌパック越後で過ごしている。でも、夏は避暑にならないくらい暑い。去年も猛暑でまいったけど、今年も先が思いやられる。夏は仕事したくないけど、なぜかやることは山のように……。



「千葉すず物語」と「古橋広之進物語」


 千葉すず選手と日本水連の戦いは、結局千葉選手の敗訴で幕引きになった感がある。
 五輪標準A記録を出して日本選手権に優勝しながら、シドニー五輪代表に選ばれなかった千葉すず選手。水連の本音は、要するに「生意気だ。気に入らない。チームの和を乱す」ということだろう。
 この件についてはとてもこのスペースでは書ききれないので、http://tanupack.com/chanto/に気持ちをぶちまけたが、テレビ局の及び腰には本当に腹が立っている。
 水泳五輪代表が選出された日、夜のスポーツ番組では、千葉すずの特集を組んでいた。
 ところが千葉選手が選出されないとなると、一転して内容変更。平泳ぎの田中雅美選手をゲストに招き、新たなヒロイン作りを演出した。
 なぜテレビ番組までもが外面だけを繕うのか? 選出されなかったというドラマを真っ向から番組にすればいいではないか。
 その際、「千葉すず物語」と並んで、水連会長の「古橋広之進物語」もぜひ作ってほしい。戦争の犠牲になり、五輪ではメダルが取れなかったという悲劇のヒーローとして神格化された広橋氏が、日本水泳界に君臨するまでの軌跡。彼はなぜ「個性派」選手を毛嫌いするのか? その背景に迫る! ……こりゃ、絶対に見逃せない。
 選手にまつわる作られた「美談」の押しつけはもうごめんだ。どろどろした部分があるからこそ人間ドラマと呼べる。五輪が始まる前に、ぜひ実現してほしいなあ。



■近況
 デジタル時代の著作権を考えるサイト(http://chosakuken.org)というのを作って数か月。少しずつだが反響もあり、いくつかの新聞社から取材申し込みなどもあった。本人のサイトはこちら。




欧米の番組輸入を活性化させよう


 杉ばかり植林された森は、自然構造が単純になり、多種多様な生き物が生活できない。
 今の日本のテレビ界は、杉ばかりの人工樹林だ。ドラマもバラエティも画一化され、多様性がない。
 先日、夜中に何気なくWOWOWを見ていたら、とてつもないアニメ番組をやっていた。『サウスパーク』という。主人公は子供たちだし、絵も単純な3頭身くらいのものだ。ところが内容がものすごい。
 例えば、彼らが通う学校の保健室には、顔の横に死んだ赤ん坊をくっつけている保健婦さんがいる。二重胎児として産まれ、癒着しているもう一人を切り離す手術をすると本人も死んでしまうという設定。その奇形に触発され、女性市長が「差別をなくそうキャンペーン」という一種の逆差別行動を起こす。障害にも負けず明るく生きる保健婦さんを応援するというわけだが、当の保健婦さんは迷惑顔……。
 他にも、子供が死ぬシーンはばんばん出るし、ベトナム帰りで動物を殺すのを無上の喜びとしているハンターなんていうのも登場する。
 アメリカの病んだ社会をこれでもかと風刺し、ストレートな表現をぶつけてくる。こんなアニメ、日本では絶対に作れないし、放送できない。
 作れないなら、せめていろんな海外作品を輸入して放送してくれればいいのにと思う。
 再放送でもいいから、欧米のドラマをもっと地上波でも流せないものだろうか。テレ朝などは、かつてのテレ東みたいに海外番組てんこ盛り路線に切り替えたらいいのに。



■近況
 3台目のサーバーを契約した。今度は丸ごと1台専用で。どういうわけか、このところイギリスとフランスの企業とおつきあいが多い。3台目のサーバーもイギリスだし。ヨーロッパって、面白い。

でたらめ英語五輪テーマ曲は国辱だ


 NHK五輪番組の「民放化」「白痴化」は目に余るものがある。それを象徴しているのが今回の「テーマソング」だ。
「Get U're Dream」(ZARD)というのだが、your dreamのつもりならそうは表記せんだろ。U'reは「you're =you are」のこと。「あなたは夢」!? 単に you を U と書くのがかっこいいと思っているなら、あまりにも恥ずかしすぎ。
 さらには、Get Your Dreamと表記したとしても、この英語は意味不明だ。「夢を掴む」という意味なら、Make your dream come true. とか、Attain your dream. となり、getという動詞は使わない。つまり、二重三重に滅茶苦茶な英語なのだ。誰もチェックしなかったのか? NHK。
 局内関係者いわく「げ! まずいなぁ、そりゃ。……でも、小室よりましかなぁ」
 それですんじゃうのか?
 小室哲哉の英語がでたらめなのも有名だが、周囲の誰もが見て見ぬ振りなのだとか。それでは裸の王様ではないの。
 大阪国際女子マラソンで毎年流れるアルフィーのテーマ曲もそうだけど、この手の曲って、哀しいほど内容がない。いい加減な英語をサビに並べて、それを適当な日本語でつなぐだけ。その程度の曲を、単にCDを売らんがためのタイアップで流すという魂のない姿は、極限の努力をしている一流選手たちに失礼だ。
 しっかりしてくれよNHK。せめてインストルメンタルでいいものを用意できなかったのか? 思えば、東京五輪やロス五輪のファンファーレなんか、印象的だったなあ。


■近況
ここで書ききれない「シドニー五輪TV観戦記」をWEBで連載中。()
 10月13日に岐阜(福岡町)で、林家しん平vs KAMUNAの異種格闘技ライブ。これを皮切りに、秋は都内や地元・新百合ヶ丘あたりでライブをやる予定。CDも新作を録音中。




シドニー五輪中継アナウンサーの差


 話題は尽きないシドニー五輪。詳細観戦記はWEBにアップしました()。ここではちと視点を変えて、アナウンサーウォッチングを。
 サッカー予選で「ゴぉ~~~ル」を連呼・絶叫した船越雅史アナ(日テレ)。アナウンサー仲間のみならず、視聴者からも顰蹙を買うのは当然。主役が誰かを忘れているよね。
 逆に、女子マラソンのゴールを担当した藤井康生アナ(NHK)は、あまりにも感情を殺し、昔風の台本読み上げ口調の実況が興ざめ。もっと素直に、自分の言葉で中継してほしかった。
 水泳前半のインタビューをしていた○○○○アナ(NHK)。敗者にむち打つような意地悪な口調で、やはり大顰蹙。「気持ちを切り替えて次に頑張ります」と言っている選手に、冷たい口調で「もう時間がありませんよ」はないでしょ。田中雅美選手なんか、明らかにムッとしてた。悔しくて夜眠れなかったのでは?
 柔道・篠原信一選手がフランス系ニュージーランド人の主審による「疑惑の判定」で負けたとき、それを伝える有働由美子アナ(NHK)は、絶句し、声を震わせ、涙を流した。彼女が担当するインタビューが、あまりに当たり障りがなくつまらないだけに、このシーンは印象に残った。
 インタビューでいちばんうまかったのは、やっぱりさんまかなあ。彼らを前にすると、選手も本音をもらすし、一瞬素顔を見せる。インタビューだけは、民放+アドリブの効く芸能人がいいのかも。




■近況
 どういうわけか、このところ電気製品が故障続き。シーケンサー、冷蔵庫、テレビ、電子レンジ、車……とどめはハードディスクレコーダー。身体も故障続きでとほほのほ。

桃太郎侍的な犯罪摘発番組はどう?


 凶悪事件が起きるたびに、なぜか事件現場をすっぽりと覆う青いビニールシート。あれはいったい何なんだろう。
 護送車までの通路も、やはり青いシートで遮断され、画面に映るのは容疑者の足だけ。
 一度そうした「形」ができあがると、同じことを延々と繰り返す。警察も、報道する側も。理屈なんてない。
 暴走行為をする車の直後にテレビ中継車が続いて犯罪行為を撮影する。放送時には、必ず顔とナンバーはモザイクがかかっている。犯罪行為を放映するのは「違法」なのか?
 町中の建物にペンキで悪戯書きをする子供たち。現場を撮影しても、その犯罪者の顔はやはりモザイクがかかっている。犯罪を処罰する法律も甘いが、報道する側も腰が引けすぎていないだろうか。
 駐車場に停めておいた愛車を何度もパンクさせられ、被害者が車の中で幾晩も泊まり込み、ついに犯人を取り押さえた。犯人は逆襲してきた。しかし、その犯人の顔は分からない。名前も分からない。被害者のほうは顔が映し出されるのに。「執念の張り込み」というネタが成立し、視聴者の興味を引ければそれでおしまいということなのだろうか。少しでも問題が起きそうなことからは逃げちゃうの?
 いっそ、正義感タレントを起用して、暴走族やペンキ落書き犯を捕まえる「世直し番組」というのはどうだろう。絶対高視聴率が取れる。
 でも、必ず、警察に引き渡し、犯人の正体を明らかにするところまでやってほしいな。じゃないとますます辛くなる。




■近況
 オリンピックが終わって、なんだか今年も残りわずかという気分。それにしても高橋尚子はすごかったなあ。運動能力とか根性だけでなく、精神的な強さとか心のゆとりみたいなものも、考えさせられるところが多かったよね。 



欧米の番組輸入を活性化させよう

 杉ばかり植林された森は、自然構造が単純になり、多種多様な生き物が生活できない。
 今の日本のテレビ界は、杉ばかりの人工樹林だ。ドラマもバラエティも画一化され、多様性がない。
 先日、夜中に何気なくWOWOWを見ていたら、とてつもないアニメ番組をやっていた。『サウスパーク』という。主人公は子供たちだし、絵も単純な3頭身くらいのものだ。ところが内容がものすごい。
 例えば、彼らが通う学校の保健室には、顔の横に死んだ赤ん坊をくっつけている保健婦さんがいる。二重胎児として産まれ、癒着しているもう一人を切り離す手術をすると本人も死んでしまうという設定。その奇形に触発され、女性市長が「差別をなくそうキャンペーン」という一種の逆差別行動を起こす。障害にも負けず明るく生きる保健婦さんを応援するというわけだが、当の保健婦さんは迷惑顔……。
 他にも、子供が死ぬシーンはばんばん出るし、ベトナム帰りで動物を殺すのを無上の喜びとしているハンターなんていうのも登場する。
 アメリカの病んだ社会をこれでもかと風刺し、ストレートな表現をぶつけてくる。こんなアニメ、日本では絶対に作れないし、放送できない。
 作れないなら、せめていろんな海外作品を輸入して放送してくれればいいのにと思う。
 再放送でもいいから、欧米のドラマをもっと地上波でも流せないものだろうか。テレ朝などは、かつてのテレ東みたいに海外番組てんこ盛り路線に切り替えたらどうかな。



■近況
 考えるところあって、900枚を超える未発表長編小説をWEBで無料公開することにした。http://bungei.netを見てください。決断するまでのいきさつなども、これから書いて掲載するつもり。本宅は→


ニュースは「作り出される」もの?


 田中康夫氏が長野県知事に当選したけれど、当選したことよりも、その後の「名刺折り局長」のことのほうが大きく報道された気がする。
 新知事の名刺を折り曲げたことで一躍有名になった藤井世高(ときたか)県企業局長を批判する電話やFAXが1万件以上県庁に寄せられたというが、これってそれほどの「事件」なのだろうか?
 気になるのは、どの局のどのニュースも同じように「名刺を折り曲げた」ことだけをセンセーショナルに報じたという工夫のなさだ。あそこまでしつこく報道するなら、そもそも藤井氏が統括する「企業局」とはどういう部署で、今までどのような仕事をしてきたのかとか、藤井氏は前知事の下でどのような働きをしてきたのかということを教えてほしい。一説には、むしろ前知事に対しては批判をしていた少数派の一人だったとか。そっちのほうがずっと興味深いじゃないの。
 また、森総理の無能ぶりを報じるトーンも一層激しくなっているが、ITを「イット」と読んだとか、携帯とPHSはどう違うんだ?と訊いたとか、ほとんど揚げ足取りのようなものばかり。彼がこれからの日本の情報技術革命に関して、しっかりした見通しや哲学を持っているなら、別にITをイットと呼んでもいいじゃないの。報じる側も分かっていないから、子供っぽい難癖みたいな報道に終始している気がする。携帯とPHSの違いなんて、ヨドバシの店員だって知らないこといっぱいあるよ。ほんと。


■近況
 産経新聞が記事にしてくれたこともあり、文藝ネット(http://bungei.net)で公開した長編小説に気がついてくれる人も増えてきた。しかし積み残し課題が多かった2000年。あとわずかだなあ。





『オフレコ!』の今後に期待したい


 番組編成でここ数年いろいろ揺れ動いていたTBSだが、ここにきて、「ゴールデンタイムには安心して見られるバラエティ」という路線を定着させた感がある。
『おウチに帰ろう!』『学校へ行こう!』『オフレコ!』『回復!スパスパ人間学』あたりのびっくりマークシリーズの中では、『オフレコ!』がいちばん好印象だ。
 内容としては、『特命リサーチ200X』(日本テレビ)を『伊東家の食卓』(日本テレビ)的にマイルド味に仕立てたという感じもするが、まじめに作っているところがよい。この手の番組は、ネタの信憑性や取材の深さ、裏付け解説の真面目さが番組の価値を決める。だからこそ、さらに要望したいのは、「取材の深さ」だ。オフレコというくらいだから、視聴者は当然「え?」と思う意外なネタを期待している。しかし、常識を裏切る情報というのは、必ず正否両方の意見やデータがあるもので、できればその両方を平等に見せてほしい。
 例えば、地球温暖化で太平洋の島国が水没するという話は本当なのか? 実は温暖化で海面上昇など起きるはずがないという研究者も多い。肥満の原因や発癌性物質などの話題も、必ず正反対の意見・情報がある。最近では、朝食を抜いて寝る前に食べると痩せるなどという、従来の説とは正反対の説が話題になった。その場限りの話題作りで終わらず、「深い」情報を提供してくれれば、最後の判断は視聴者が下せる。「報道のTBS」魂を見せてほしい。
 

■近況
 岐阜ライブで知って以来、岐阜・福岡町の唐辛子にはまっている。川津祐介氏も絶賛の品で、辛さが普通の市販品の比じゃない。青い唐辛子もあって、これまた絶品。でもちっとも痩せないのは、別の原因がありそう。



21世紀は「ソフトの時代」になれるのか


 BSデジタル放送が始まった。いよいよ多チャンネル・高画質時代の到来……と言いたいところだが、どうもそうではないんじゃないかという悪い予感がしている。
 先行していたCSを見れば分かる。あれだけチャンネルがあっても、見る価値のある番組はほとんどやっていない。オリジナル番組の質は本当にひどい。面白いのは過去の番組だけだが、連続ドラマが途中で第1回に戻ってしまうという情けなさ。続きを買い付ける資金がないらしい。
 ディレクTVは消滅しちゃったし、チャンネルもどんどんつぶれている。
 CSを見ていると、BSデジタルもどうなのかなあ……という気になってしまうのは仕方ない。民放テレビ局は、BSデジタルを本気で発展させようと思っているのか。NHKにしても、今までの(アナログ)ハイビジョン狂想曲はどうなったんだろうか。な~んか、さめてない?
 技術はあっても中身がない。それが21世紀だ……なんてことになったら、悲惨だなあ。
 でも、逆に考えれば、個人の創作魂や才能が再び試される面白い時代になるかもしれない。低予算でも、工夫次第でこんなに面白い番組が作れるということを実証する制作者たちが増えれば、テレビはそのときこそ新しい時代に入っていけるのだと思う。
 うちでは、お金がないせいもあるけれど、デジタルテレビはまだ買わない。見るべき番組を供給してくれるのを見極めてからで遅くないと思うから。
 
 
■近況
2001年は、すでに出版の予定が3冊(電脳文化論と小説)、CDはついに2000年内に出せなかったので、春までにはなんとか。WEBも頑張るよ。やることは山のようにあるのだが、身体がきつくなってきた。

世紀が変わっても大河ドラマは不変?


 昨年1年間、NHK大河ドラマ『葵徳川三代』を全回見てしまった。いきなり関ヶ原の戦いという最大の見せ場を持ってきたり、解説役の光圀をあちこちに出してきたりといった工夫は見られたものの、物語そのものが尻すぼみという印象は免れなかった。実際、視聴率も、歴代大河ドラマの中ではかなりの苦戦。もっとも、主役を妙に美化したりしなかった点は救われた。
 さてさて21世紀。年末年始は無理矢理「謹賀新世紀」フィーバー番組ばかりだったが、世紀が変わっても大河ドラマや朝の連続テレビ小説は変わらないらしい。しかも今度の大河は「北条時宗」。ほとんどの日本人は「誰だっけ、それ?」という感じだろう。
 何十年もやってきて、しかも戦国時代のものが高視聴率だったからという判断なのだろうが、世紀も変わったんだし、いっそ発想を根底から変えてもよかったのでは? 配役を見ただけでも、なんだかもう全部見通せてしまうよう。
 従来の大河ドラマは、もう使命を終えたんじゃないだろうか。お役所が毎年の行事を慣例に従ってこなしているだけ……そんな気がしてしまう。来年からでもいいから、本気の「リニューアル」をぜひ!
 例えば大和朝廷時代を舞台にしたドラマ「アテルイ」(坂上田村麻呂と闘った蝦夷の英雄)とか、「源氏物語」のドラマ化とかはどう? 
 手塚治虫の名作『火の鳥』黎明編、鳳凰編、乱世編あたりも、NHKが本気でドラマ化したらどうなるのか、とても興味があるなあ。
 
■近況
 3冊の本の校正、執筆を抱えつつ年越し。いちばんやりたかったCDが手つかずなのが辛い。今書いている小説(春には出したい)は、津軽が舞台。誰か、方言指導してくれる人はいないかな。
 

新世紀に望みたいバラエティとは?


 年末年始の冗長バラエティ番組ラッシュも終わり、胃もたれも落ち着いてくる頃だが、このところ感じるのは、〈再現ドラマ+意味なしゲスト多数〉で構成される安直なバラエティ番組が増えてきたこと。
 しかも、肝心なネタが弱くて、CMを挟んで何度も何度も「そのとき、信じられないことが起こったのだった!」とかやっている。年末にやっていたテレビ朝日の某番組などは、緊急患者を乗せた救急車が交通事故を起こしたところ、搬送していた患者の喉に詰まっていた食べ物が弾みで飛び出して、逆に助かってしまったというしょーもないネタだけで、CM3回はさんで引っ張っていた。爆笑問題が司会だったが、さすがの太田光も「どうやってこんなんで盛り上げるんだよ」という顔。
 このパターンが得意な『嗚呼バラ色の珍生!』(日本テレビ)は、このところ十八番のご対面や人捜しが減り、老人に無理矢理愛の告白をさせたり、子供を失った夫婦に「悲しみを乗り越えるためのビデオ作り」をさせたりといったわざとらしい演出が増えた。「想い出ビデオ」作ると新たな人生が開けるのか? スタジオでそれを見ているだけのタレントたちに払うギャラを合わせただけでも、ちゃんとしたドキュメンタリー1本作れるんじゃないか?
 タレントの原意は「才能」だ。芸や才能を見せてこそなんぼのもの。再現フィルム見てジョーク言ったり涙流したりする芸人10人より、視聴者を2時間釘付けにさせるひとりの芸を見たい。


 
■近況
年末になって、ゴロ(ウサギ♂1歳半)が緊急手術&入院。胃にものを詰まらせて、ものが食えなくなったのだが、気づくのが遅く、飼い主として大反省。ウサギって、顔色が悪いとか、そういうの、分からないから難しい。
 




たくき小説の最高傑作といわれながら出版されなかった幻の作品↓


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