この日記を読んでくださっているかたから、S田さんが面倒をみていたという近所の犬2匹のうち1匹が、WEB上に出ている「川内村で捕獲した犬」に似ているというメールをいただいた。他にも、ジョンを捜していたときに書き込んだメッセージを見て、「この犬もそうではないか」とメールしてくださったかたがいた。↓
僕はこの2匹についてはほとんど事情を知らないので、画像を印刷した上で、S田さんを訪ねて確認してみた。
分かったことは、2匹は兄弟で、1匹はすぐ隣の家の犬で現在行方不明。もう1匹は川内村で犬捕獲騒動が起きてからは、留守になっている家につなぎっぱなしにされているという。
WEBに載っていたのは隣の家の犬のほうだと分かった。
犬捕獲で行方不明になる犬が続出してからは、連れて行かれないように、不在の家につなぐようになった飼い主が増えたため、犬たちにとっては自由を奪われて不幸な結果になった。
S田さんが餌を持って様子を見に行ったところ、他にドッグフードが置かれていたので、誰かが面倒をみているらしいとのことだった。
連れ去られた隣の犬に関しては、飼い主に「連れ去られたらしい」と伝えたが、あ、そうか、という程度の反応しかなかったそうだ。
そのことを確認した後、つながれている犬の様子を見に行ったところ、いた。
ドッグフードは山盛りに置かれている。水を替えてあげようと蛇口を探したが見つからず、立ち去ろうとしたところ、村の車輌が入ってきて停まった。
引き返して、降りてきた男性に事情を訊いたところ、この家が実家の息子さんだった。
家は完全に留守状態だが、放しておくと連れていかれてしまうので、向かいの家の人に犬の世話を頼んでいるという。
「ときどき散歩させてもいいですか?」と訊いたところ、「それはダメです」と断られた。
ということで、この2匹に関してはこれ以上はできることがなくなった。
埼玉まで連れて行かれてしまった犬が、ジョン同様にいい飼い主にもらわれていけばいいのだが……。
こんなことを書くとお叱りを受けそうだが、犬だけでなく、人間も、避難先で三食昼寝付きの生活に慣れてしまって、もう戻りたくないと言っている人たちも少なくないらしい。
特に温泉地の旅館などに受け入れられた人たちは、三食昼寝付きどころか温泉も入れるということで、ほとんど行楽感覚になっているケースもあるという。
戸建ての住居(保養施設のロッジなど)も空きがあるのに、ビッグパレットから出ていこうとしない人が多い。
ようやくビッグパレットから戻ってきた人に言わせれば「いやあ、食うものは山のようにあるし、なんもすることなくて、寝て、食って、お喋りして……お祭りと同じだ」とのこと。
飯舘村の人たちの気持ちを考えると、これでいいのかと思ったりもする。
つかの間の自由を満喫していた飼い犬たちが拉致されたり、住民がすっかり避難所ボケしてしまったりというのも、福島市や郡山市より汚染度合が軽かった川内村ならではの話だ。
いい加減に、村に戻る人たちが、これからどのように生きていくか、というテーマに向き合わなければいけない。