2011/05/06の3
土壌サンプル採取(2)
高田島では、まずニシマキ師匠のところへ。
ニシマキ師匠が持っているガイガーカウンターはロシア製で、マニュアルが全部ロシア語。相当凝った計測ができるようなのだが、使い方が分かっていない。
裏側の鉛の板を外すとガンマ線に加えてベータ線も計れて、その状態で表のスイッチをβ側にすると、ベータ線のみを計れる……ということらしいと、二人でいろいろいじりながら一応の結論を得た。
上は、我が愛車のボンネットの上に並べてみたところ。
ものすごく高いホットスポットがあるというので案内してもらった。近所の家の雨樋の下。
一時期、20μSv/hあったという。それはほとんど原発の敷地内並みだ。
ほんとかいなと連れて行ってもらう。
今は4μSv/hまで行かなかった。
「だいぶ下がったなあ」と言うニシマキ師匠
なにやってるんだ? と近所の犬
この地区では犬が6匹だか8匹だか、忘れてしまったが、そのくらいの犬が放されたままうろうろしている。
避難して戻って来ない人が飼っていた犬や、なんだかよく分からない犬も混じっているが、適当に餌をもらえている。
一部の動物愛護団体が、20km圏内が完全に立入できなくなった後、川内村に入ってきて、うろうろしている犬を「避難犬」として捕獲し、「救出しました」とやっているらしい。おかげで、餌をやりに家に戻ったら犬が消えていて「連れ去られた!」「ネットに出ていたぞ」などという騒ぎがあちこちで起き始めている。
これはとっても困ることなので、ここでも書いておく。20km圏外でうろついている犬を捕まえて「保護」しないでほしい。
その地区に残っている住人が適当に世話をしているので飢えることはないのだ。
緊急時避難準備区域なのだから、犬も緊急時には自力で避難しなければいけないからつないでいないだけのこと。その状態を「野犬化している」「危険だ」などとして行政が捕獲に乗り出したりしたら、それこそ幸せに自由を満喫している犬たちが集団ゲシュタポ送りになってしまいかねないのだ。
行政と住民が、いわば阿吽の呼吸でうまく調整しているのだから、そこに外から別のベクトルの行為が加わると、とても困るのだ。
WEB上には「ボロボロになっている」とか「怪我をして足を引きずっていた」などと書かれている例もあるが、村の犬はたいていふだんからボロボロに見える。雑種の老犬が多かったりするので、毛並みは悪いし、今は話されているから泥にもまみれている。でも、普段からそんなものかもしれないのだ。
足を引きずっている犬が多いのは、イノシシ罠にやられている犬が多いからだ。ニシマキ師匠の家の周りの犬も、2匹か3匹、足を引きずっている。原発震災とは関係なく、前からそうだったという。みんなイノシシ罠の犠牲になったもので、これはまた別の問題。
ちなみに、今はほとんどのイノシシ罠は撤去されているか、大がかりなものはロックされて動作しない状態になっている。
さて、本来の目的であった、農地の土壌サンプル採取。
ニシマキ師匠が借りている畑の土が採取第1号。
ここはかなり濃そうだ。畑の表面で0.99μSv/hあった。
表面をはぎ取るようにして採取
次はK塚さんち。ここはひときわ線量が高い。家の前でピーピー鳴りっぱなし
この溜め池では、すでにオタマがかなり大きくなっていた
小麦畑で。1μSv/hを超えてしまっている
小麦がすでにこれだけ伸びてきているのだが……
家の裏手。ほんとにいい土地、いい家なのに、原発震災で人生を滅茶苦茶にされてしまった
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