2011/04/30

野良犬化したジョン

村に戻って4日目。
親父から「シロとしんちゃんが無事なのは分かったが、ジョンはどうなっている」と電話で訊かれてしまった。
ジョンはねえ……。ほんっとにおばかで、この前は、県道に出た途端、たまたま走ってきた車を吠えながら猛烈な勢いで追いかけていき、そのまま消えてしまった。
あまりにバカなのでもう知らん。
仕方なく、ジョン抜きでお散歩。
ジョンが居候を決め込んでいる義行さんちのほうからは、ときどき犬の鳴き声が聞こえる。ジョンがまた問題を起こしているんだろうと思いつつ、知らない知らないと通り過ぎる。
今日は家を出てすぐに雨がぱらついてきて、いや~な感じ。普段ならただ濡れるのが嫌というだけだが、放射能雨だからなあ。傘は持ってないし。
足早に、ショートカット&林の中なら雨を少しは避けられるだろうと、沢沿いの道へ向かっていたら、ジョンが見つけてやってきた。
川の向こう側から悲しそうな声で鳴きながらこっちを見ている。
ほんっとにバカ。ちょっと迂回して橋を渡ればいいだけだろうが。何百回この道を一緒に歩いた? 来るなら来で、さっさと橋を渡ってこい。ったく。


放っておいて林の中を進んでいると、ようやく「迂回する」ということに気づいたらしくて追いついてきた。
なんなんだろねえ、おまえは。

川のこっち側に来るには橋を渡ってくればいいだけなのよ


沢の分岐点で線量を測ってみる。流れている水には放射性物質は溜まらないようだ


ようやく「橋を渡る」ことを思い出したらしい?ジョンが来た


リードなしのお散歩なので、マイペースの度合が半端じゃない。すぐに姿が消える。
無視してどんどん歩いて行くと、また戻ってくる。
横断溝のところで「止まれ!」と言ってみたら、一応止まっていた。覚えていたのね。
でも、すぐに忘れてまたどこかへすっ飛んでいく。
今年は田圃も畑も見捨てられたので、車に突進していったりしない限りはまあ他人の迷惑にはあまりならないだろうが、これからどうなるのだろう。
今のうちにせいぜい自由を満喫していなさい。でも、車を追いかけたり他の犬ととっくみあいするのはやめれ。

ジョンの飼い主であるけんちゃんちは、要介護の父親を抱えていたので、当面、ここには戻って来られないだろう。子供たちも職場を失ってしまった。けんちゃんは村の職員だから、ビッグパレットで連休もなく、村民の対応にあたっている。
ジョンは犬小屋のところまで戻ると、ふんっと一瞥してぐんぐん先に歩いて行ってしまった。

ジョンのために置いていったドライフードはほとんどそのまま残されていた。
そんなにまずいのか? これ よしゆきさんちで、もっとうまいのを食わせてもらっているのか?

ジョンは放っておいて、こっそり7のチェックに。
こっそり7に降りていく土手のヒューム管のところに、アカガエルが産卵していた。この前はなかったので、昨日あたり産んだのだろう。しかしここはダメでしょ。いくらなんでも。ヒューム管の反対側の枡ならまだマシだったのに。

産みたて卵


しかし、ここはちょっと無理だわ


こっそり7には卵なし。ここに産めばいいものを……
人の心カエル知らず だなあ

佐藤さんちに寄ると、娘のふみこさんとしんたろうさんもいた。ジョンが消えてしまったので、ちょっこしお邪魔してお茶飲み話。
ふみこさんに連れられて避難所やら自宅やらここやらを点々としているネコのひめちゃん。
小野町の親戚宅に避難中、近所の雄猫に妊ませられたとかで、お腹が大きい。どこで出産することになるんだか。子猫がいっぱい出てくると大変だぞ。これは。

帰り際、沢水取水口を見てみたら、案の定すっかり埋まっていた。この状態でどうやって水が出てきているのか……不思議だ。でも、掘り起こす気力なし。なんとか水が出ているからいいや。

ネコは妊娠中でも放射能の心配をすることもないのだろうな


完全に土砂の下に埋もれている取水口

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