何年か前から、ハピカという電動歯ブラシを愛用している。
それまでは、B社とかの海外ブランド電動歯ブラシをいくつか試したが、すぐに壊れるし、効果もあんまり感じられなかった。
とにかく、本体に水が入ってどろどろになったりするという、根本的な欠陥を抱えたものが多く、そのたびに2千円、3千円という価格の電動歯ブラシを買い換えるのは馬鹿馬鹿しくなり、普通の歯ブラシに戻したりもしていた。
そんなとき、ドラッグストアで見つけたのが、とびきり安い(500円ちょっとだったと思う)電動歯ブラシ「ハピカ」だった。
名称といい価格の安さといい、これはすぐにダメになるだろうと思いつつ買ったのだが、これがなかなか壊れない。しかも、今まで使ったどの電動歯ブラシよりも動きがしっくりくる。
それまでの電動歯ブラシは、無理矢理ブラシ部分を直線、または回転運動させるため、すぐにメカが壊れたり、ブラシがダメになったりしていたのだが、ハピカはブラシ全体が振動する仕組みで、いわば、小さなバイブレーターに歯ブラシを取り付けたような感じ。
以後、ずっとこれを使っているのだが、困ったことに、最近なぜかドラッグストアの店頭からこれがどんどん消えていて、ついにどこにも売っていなくなってしまった。
本体は壊れず、何年もしっかり動いてくれるのだが、替えブラシが買えないと使えない。困った。
最初に買ったのはたしかHAC(ダイエー系?)だったと思うのだが、HACの店頭からは消えてしまった。
このへんだと、ツルハドラッグとかてらしまとかなのだが、どこにも売っていない。
通販しているかなと思って検索したら、
メーカーが直販もしていた。
「1本からでもお送りします。送料無料」とある。
そこで、さっそく替えブラシセットを5セット(20本分)まとめて注文したのだが、通販フォームが稚拙で、レジカゴシステムになっていない。商品名と数量と送り先を手書きで書いて送信するというもの。しかも自動応答メールも来ないし、「ご注文の確認メール等は発信しておりません」とある。
かなり不安だったが、メーカー直販で詐欺はないだろうと思い、支払いもして待っていたのだが、なかなか届かない。
これは面倒なことになったなと思っていたところ、今日、ようやく届いた。支払いをしてから1週間ちょっとかかった。
宛名は手書き。社名入りのA4封筒に商品と大量の広告資料(バラで12枚。すべてA4コピー用紙に家庭用インクジェットプリンタで印刷したもの)が入っており、封筒には80円切手3枚が貼ってあった。
メール便で送れば80円で済むのに3倍も使っている。宣伝パンフや資料も、どう考えてもオフセット印刷したほうが安くつくだろうに……。
注文フォームの稚拙さといい、メールでは一切連絡が来ないところをみると、どうもITに精通した社員がひとりもいないようだ。
同封されていた資料を見ると、社員数が6人。本社はマンションの一室で、近所のアパートでパートさんが組み立てている完全な零細企業。社長のモットーは「工場を持たず、設備や人件費に金をかけないで安値を実現する」だそうだ。
そういう企業にこそITに強い人が必要なのだが、世の中、そううまくはいかないのだね。
小売店がなかなか置いてくれないのは、片や数千円の電動歯ブラシが並んでいる横に400円とか500円の電動歯ブラシがあったらまずいという判断なのだろう。ハピカが10本売れて、ようやく他社の電動歯ブラシ1本の儲けが出るかどうかだから、えらく効率が悪いわけだ。
最初の製品は91年に発売。オーディオ用のモーターを使ったり、アルミの部品を使ったりしていて希望価格は2800円。当時、他社製品は1万円以上していたという。
そこから、アルミ部品を樹脂製に、高級オーディオ用モーターは模型用モーターにと、コストダウンしていき、一気に580円まで下げたという。
面白いというかなんというか。
本社のサイトにさえ、きれいな製品写真がない(ビニール袋に入った状態の写真があるだけ)など、商売のやり方があまりに下手だとは思うけれど、うちはもっとひどいし、よそさまのことは言えない。
製品がよいことは間違いないと思うので、これ、お勧めしますよ。
というか、他社製品は出来があまりにもお粗末なくせに高すぎる。