10/12/24

 クリスマスプレゼント P,P&Mとオフコース

会津方面ではジャンジャン降っているらしいが、ここ川内村ではときおりぱらつく程度で、昼間はちょこちょこ晴れ間もあった。だからホワイトクリスマスとまではいかない。
で、クレモンティーヌをダウンロードしようとしてYouTubeを散策していて、ふと思い立ち「Jane Jane」を検索してみたら……え? 動画であるの? ほんとに??

お〜い、大変だよ。
クマさん、のぐちくん、いしいくん、かわはらくん、いしはらくん……巨蕭のメンバー、みんな元気かい。こんなものがインターネット上に置かれる時代になったんだねえ。
涙が止まらないよ。

『花はどこへ行った』や『パフ』、『風に吹かれて』とかなら分かるけど、『Jane Jane』だぜ。
僕らが中学生のときに一生懸命コピーした『Jane Jane』だよ。
レコードやCDでも探すのは難しかった『Jane Jane』が、60年代の映像で今見られるなんて。嘘みたいだ。
これはもう、クリスマスプレゼントだね。
よそさまの音源や動画を自分でアップするわけにはいかないけど、ここはクリスマスに免じてYouTuneへのリンク貼り込ませてもらうよ。
……と、興奮気味に書いてもほとんどの人はなんのことだか分からないはずなので、少々解説を。

1969年、僕は聖光学院(野球が強い福島のじゃなくて、横浜の)中学の2年生だった。
秋の文化祭(せいこうさい、っていうのよ。ギョギョギョ)の「閉会式」(そういうのがあったのよ)に、予定していなかった飛び入りがあった。
なんでも、卒業生3人が結成したフォークグループが、一昨日、ヤマハのライトミュージックコンテスト全国大会フォーク部門で、第2位を獲得し、メンバーの一人は「最優秀歌唱賞」をもらったという。その3人組が楽器を持ってやってきたので、今から急遽「凱旋コンサートをしてもらいます」というのだ。
1200人入る講堂は満員。そこに現れたのはウッドベースを持った背の高い青年と、ナイロン弦のギターを持った中肉中背の二人の青年。グループ名は「オフコース」だという。
3人組は小一時間くらい、英語の歌を歌っていった。
そのコーラスの美しさに、満員の聴衆は熱狂した。
中でも印象に残ったのが「ジェンジェン」という曲。当時、歳取った数学教師がいて、授業で「全然」を「じぇんじぇん」と言うことからあだ名が「ジェンジェン」だった。そんなことがあって、歌の中の「ジェンジェン」という合いの手が入るたびに、会場からは笑いが起きて、オフコースの3人は歌いながらきょとんとしていた。

そのオフコースが「全国大会で2位」になったときのライブ盤(モノラルのLPレコード)が残っている。僕も持っているが、いるんだねえ、YouTubeにアップしている人がいた↑
削除されないうちに聴いてみてくださいな。

翌朝、教室ではオフコースの話題で持ちきりだった。
「俺と一緒にフォークバンドやるやつ手を挙げて」と言ったら、たちまち数人が手を挙げた。普段、あまり言葉も交わさないようなやつばかりだったが、その日から、僕らはオフコースのコピーバンドを結成して練習を始めた。グループ名は「巨蕭(きょしょう)」といった。今で言う「イタい」というか、DQNに近いグループ名だったな。
その巨蕭が、最初に挑戦した曲がこの『Jane Jane』だった。
★そのときのテープが残っているのでちょっこし聴いてみてください⇒これ
当時中学3年生くらいだったかな。まだ世に出始めた「ラジカセ」をこっそり学校に持っていって、こんな風に内蔵集音マイクで録音しながら練習していた。
ちなみに僕はギターはピーターのパートで、歌はマリーの「Children go where I send thee. How shall I send thee?」と、最後の
「Well I'm gonna send thee nine by nine
Nine for the nine that dressed so fine
Eight for the eight that stood at the gate
Seven for the seven that came from heaven ……」
……と、9から順に降りてくる、いちばん歌いごたえのあるパート(オフコースでは小田さんのパート)をやっていた。早口言葉みたいな歌詞なので、とっても苦労する。(歌詞の意味などは⇒ここを参照)

オフコースは当時アマチュアで(小田和正と地主道夫が東北大学、鈴木康博が東工大の4年生。メンバーの二人が仙台在住だったため、ライトミュージックコンテストには東北代表で出場した)、P,P&M(知らない人がいると困るので省略せずに書けば、ピーター・ポール&マリーというアメリカのフォークグループ。「フォークソングを芸術の域に高めた」とか、「モダンフォークの創始者」なんて呼ばれているカリスマ的な存在)やビートルズ、バート・バカラック、ニール・セダカなどのヒット曲をコピーしていた。
そのオフコースをコピーすることで、僕らは欧米のポップスやフォークミュージックを知るようになった。
かぶれたのは、サイモン&ガーファンクル、ローラ・ニーロ、バート・バカラック、そして作曲家としてのビートルズなどなど。
ちなみに、いきなりオフコースを聴いてしまったために、ビートルズのコーラスはがさつすぎて最初は受け入れられなかった。
高校生になってからは、クロスビー・スティルス&ナッシュとか、エマーソン・レイク&パーマ―なんてのも聴くようになっていた。PPMに比べると、ちょっと不良っぽく感じられたりもして(……どこが?)、これが大人の音楽かも、なんて思ったりもした。

そんなわけで、Peter,Paul&Maryの「Jane Jane」は、僕にとっては特別な曲なのだ。

先にオフコースのを聴いてしまっていたために、レコードで本家のPPMを聴いたときは「マリーの声、だみ声じゃん」「オフコースのほうがじぇんじぇんいいじゃん」とか言っていたのだが、そのうちにグループの全員が、「やっぱり本家のほうが味があるな」「すげーなPPMは」と、評価が変わっていった。
PPMは何度か来日もしたが、日本公演でも「Jane Jane」はやっていないと思う。
それだけに、動画がYouTubeにアップされていたなんて……感涙としか言いようがないのである。

よく探したら、もう1つあった。↓

60年代のテレビとは思えないきれいなカラー画像だねえ

いやあ、今もこれを書きながら再生しているけれど、さっき見つけてから、もう何度再生したことだろう。
嬉しいとか、感動するとか、そういうのとはもはや違う感情だ。自分の今の境遇というか、この曲からスタートして、40年以上経った今でも、世に出ていけないであがいていることを重ね合わせると、ものすごく複雑な気持ちになる。
でもまあ、オフコースではなく、PPMが対象だと、あまりにも存在が離れているから、純粋にのめり込めるかな。

オフコースもコピーしていて、僕らもコピーした曲で『ア・ソーリン(A Soalin')』というのがある。
これは『Jane Jane』よりもずっと有名というか人気がある曲で、PPMもライブではよく歌っていた。
YouTubeで検索しても、世界中の人がコピーしているのが分かる。みんなやったんだねえ、『ア・ソーリン』のコピー。

クリスマスにふさわしい名曲なので、以下は『ア・ソーリン』特集にしましょう。





ピーターがやっているハーモニクスも、みんな真似していたなあ

こうして見ていくと、ピーターとポールの禿げていく歴史、マリーの太っていく歴史が分かるね。
最後のなんかは、もう立っているのも辛いので、座らせてくださいねという感じで、ちょっと寂しささえ漂う。
マリーは去年亡くなったんだね。享年72歳。合掌。

この曲はとにかく受ける。巨蕭もライブで何度も歌ったが、いちばん受けたかもしれない。
大学に進んでから、一度、サークルのクリスマスパーティか何かで一人で『ア・ソーリン』を歌ったことがある。そうしたら、終わってから、海外からの留学生(アジア系の可愛い女の子だった)がささっと寄ってきて「Very impressive!」と興奮した口調で言って、またささっと去っていった。
そんな風に、とにかく受けるのである。

やったことがある人なら分かるけど、ポールが弾いているギターは結構難しい。
高音弦が「ド・レ・ミ」と上がっていくところで、ベース音は逆に「ド・シ・ラ」と降りていくので、指が股割きになるのよね。ポールは指が長いので、難なく弾いているように見えるけれど、僕はどうしてもこれができなくて、ベース音を「ラ・ソ・ファミファ ミ・レ・ドシラ」とやるべきところを「ラ・ソ・ファミファ ミ・レ・ドレラ」と弾いてごまかしていた。
ピーターが間奏でやるハーモニクスも、みんな真似していたもんだ。懐かしいねえ。

他にもいくつか見つけてダウンロードしたのだけれど、まあ、きりがないので、このページはここまでにしましょう。
クリスマスだし、「A Soalin'」を聴いて終わるのがちょうどいいでしょ。
どこまで弾けるか、後で挑戦してみようかな。

僕は今でも「巨蕭」のメンバーで舞台に立っている夢をよく見る。うまくいかずに焦って……そこで目が醒める。
死ぬまでに、人前で『Jane Jane』を歌うことはまずないだろうけれど、『A Soalin'』を歌うことはあと何回かあるかもしれない。でも、そのときも仲間はいなくて、ソロなんだよな。
寂しい。




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