10/11/03

 足早に冬へ

本日は「旗日」(古いねえ)だね。
文化の日というのは、1946年に日本国憲法が公布された日にちなんでいるそうだ。
日本国憲法が平和と文化を重視しているということから、1948年公布・施行の「国民の祝日に関する法律(祝日法)」で「文化の日」という名称に定められたという。かなり古い祝日だわね。
「自由と平和を愛し、文化をすすめる」趣旨であることが「国民の祝日に関する法律」に書いてあるそうだが、この「文化をすすめる」の「すすめる」は「進める」ですかね。それとも「勧める」?
「文化はいいよぉ。もうひとついかが?」
……違うな。やっぱ「進める」なんだろうな。

ついでだから、その「国民の祝日に関する法律」を調べてみた。(勉強熱心なわたし)

国民の祝日に関する法律
(昭和二十三年七月二十日法律第百七十八号)
最終改正:平成一七年五月二〇日法律第四三号

第一条  自由と平和を求めてやまない日本国民は、美しい風習を育てつつ、よりよき社会、より豊かな生活を築きあげるために、ここに国民こぞつて祝い、感謝し、又は記念する日を定め、これを「国民の祝日」と名づける。

第二条  「国民の祝日」を次のように定める。
元日 一月一日 年のはじめを祝う。
成人の日 一月の第二月曜日 おとなになつたことを自覚し、みずから生き抜こうとする青年を祝いはげます。
建国記念の日 政令で定める日 建国をしのび、国を愛する心を養う。
春分の日 春分日 自然をたたえ、生物をいつくしむ。
昭和の日 四月二十九日 激動の日々を経て、復興を遂げた昭和の時代を顧み、国の将来に思いをいたす。
憲法記念日 五月三日 日本国憲法 の施行を記念し、国の成長を期する。
みどりの日 五月四日 自然に親しむとともにその恩恵に感謝し、豊かな心をはぐくむ。
こどもの日 五月五日 こどもの人格を重んじ、こどもの幸福をはかるとともに、母に感謝する。
海の日 七月の第三月曜日 海の恩恵に感謝するとともに、海洋国日本の繁栄を願う。
敬老の日 九月の第三月曜日 多年にわたり社会につくしてきた老人を敬愛し、長寿を祝う。
秋分の日 秋分日 祖先をうやまい、なくなつた人々をしのぶ。
体育の日 十月の第二月曜日 スポーツにしたしみ、健康な心身をつちかう。
文化の日 十一月三日 自由と平和を愛し、文化をすすめる。
勤労感謝の日 十一月二十三日 勤労をたつとび、生産を祝い、国民たがいに感謝しあう。
天皇誕生日 十二月二十三日 天皇の誕生日を祝う。


……はああ〜。
初めて見た、というか、読んだのだが、ツッコミどころ満載だなあ。法令、条文の類は大体ひどい文章だが、これもかなりいい加減な官僚作文という印象を受ける。

第一条  自由と平和を求めてやまない日本国民は、美しい風習を育てつつ、よりよき社会、より豊かな生活を築きあげるために、ここに国民こぞつて祝い、感謝し、又は記念する日を定め、これを「国民の祝日」と名づける。

「ここに」がよく分からんな。

日本国民一人一人が、美しい風習を尊び、よりよき社会を築く志を忘れぬよう、以下の日を「国民の祝日」と定め、休日とする。
……くらいでいいのに。

成人の日 一月の第二月曜日 おとなになつたことを自覚し、みずから生き抜こうとする青年を祝いはげます。

……引きこもりやニートは励まされないのかな。

春分の日 春分日 自然をたたえ、生物をいつくしむ。

……これは知らなかった。春分の日って、そういう日だったのか。

昭和の日 四月二十九日 激動の日々を経て、復興を遂げた昭和の時代を顧み、国の将来に思いをいたす。

……「激動の日々」というだけでは、だんだん伝わらなくなっていくのだろうな。

憲法記念日 五月三日 日本国憲法 の施行を記念し、国の成長を期する。

……「国の成長」とはなんだろうか。GDPを上げること、なんて解釈をされたら、それこそあの憲法の精神とは何の関係もなくなってしまいそうだが……。
それこそ「昭和の日」とセットで考えて、「国政が大きな過ちを犯さぬよう、国民が精神的に成長することを誓う」日とでもすればよいのだな。

こどもの日 五月五日 こどもの人格を重んじ、こどもの幸福をはかるとともに、母に感謝する。

……これも知らなかった。子供の日は「母に感謝する」日だったのだ。
この「母に感謝する」の主語は誰?
前半分の「こどもの人格を重んじ、こどもの幸福をはかる」のは親だろうから、「母に感謝する」のも同じ主語になるだろう。ということは、子供の親にとっての母親だから、子供から見るとおばあちゃん。
子供を持つ者は、我が子の人格を重んじ、幸福をはかるとともに、自分を生んでくれた母親に感謝するという意味なのか?
父親は無視されているのか?
それとも、もっと広い意味で、世の中の子供一般、母親一般という意味なのだろうか?
どうにも唐突かつ意味不明だよね。この「母に感謝する」は。
この条文を書いた人間がいかに心がこもっていないかが分かる。
海の日 七月の第三月曜日 海の恩恵に感謝するとともに、海洋国日本の繁栄を願う。

……「海の恩恵に感謝する」だけでいいよね。
「海洋国」とはなんだろうか? 漁業や造船、海運業が盛んな国という意味? それとも単純に海に囲まれている国ということ?
「海の恩恵に感謝し、海に守られて生きていることを再認識する」ってことが大切なんだよね。

敬老の日 九月の第三月曜日 多年にわたり社会につくしてきた老人を敬愛し、長寿を祝う。

……社会につくしてきたかどうかはいらないよ。
長く人生を歩んできたというだけで、その経験は敬意を払うに値するのだから。

秋分の日 秋分日 祖先をうやまい、なくなつた人々をしのぶ。

……これも恥ずかしながら知らなかった。秋分の日というのは先祖を供養する日だったのか。
Wikiを見ると、「1947年までは、秋季皇霊祭という祭日だった」とある。
で、「皇霊祭」とは何かを調べると、
皇霊祭(こうれいさい)、すなわち春季皇霊祭・秋季皇霊祭は、明治11年(1878年)にそれまでの歴代天皇や主たる皇族の忌日を春と秋に纏め奉祀したものである。現在は「国民の祝日に関する法律」によりそれぞれ春分の日・秋分の日となっている。(Wikipediaより)
……とあるので、春分の日もそうだったのだ。
あれ? でも春分の日はさっき見たとおり、
「自然をたたえ、生物をいつくしむ」日なんだよなあ。

なんか、ものすごくいい加減な感じだなあ。
心こもってないんじゃないか?

多くの人の関心事は、その祝日に込められた意味ではなくて、単純に「休みなのかどうか」だ。
祝日法は何度も改定され、現在のバージョンでは、

第三条  「国民の祝日」は、休日とする。 2  「国民の祝日」が日曜日に当たるときは、その日後においてその日に最も近い「国民の祝日」でない日を休日とする。 3  その前日及び翌日が「国民の祝日」である日(「国民の祝日」でない日に限る。)は、休日とする。

……となっている。
この第三条の3にある「その前日及び翌日が『国民の祝日』である日」は、正式名称がなくて、カレンダーなどでは「国民の休日」と記されていることが多い。
「国民の祝日」ではなく「国民の休日」。
何か意味のある「祝日」ではないけれど、とにかく休め、という日。

敬老の日はかつては9月15日に固定されていたが、今は「九月の第三月曜日」だから、9月21日になったりすることもありえる。21世紀中、秋分の日は9月23日だから、もし敬老の日が9月21日月曜日になると、その前の土日から5連休になる。こういうことのほうが一般的には「重大事」なのは、まあ、いたしかたないわね。


……ちょっと調べてみるつもりが、えらい長い時間かけてお勉強してしまった。


夕焼けの中、今日も回っているウィンドタービン

10/11/05

シロの小屋

これからどんどん寒くなるので、シロのためにこんな小屋を造ってみたのだが、気に入るかしら……。
このところ日記更新が滞っていたのは、この作業に没頭していたため。
『新版 神の鑿』の制作。
すでに電子版はPubooから出しているが、印刷本となると手間が何十倍もかかる。
当然、コストもかかる。
旧版はA4で12ページだったが、今回は倍増の24ページ。表紙裏側(表2-3)にも印刷したので、実質、26ページ。
オンデマンド印刷で100部限定で発注したのだが、発注後によく考えてみたら、オフセットで500部刷っても4万円くらいしか違わなかった。
しかしまあ、この手のものはどんどん改訂していく可能性が高いので、高くてもオンデマンドのほうがいいだろう。
新版神の鑿 ご注文はこちらから
以前頼んでいた印刷所はPDFファイルを入れればそのまま製本まで黙ってやってくれたのだが、このところ発注している印刷所は、安い代わりに入稿ファイルの形式などが厳しい。
クオーク、InDesign、Photoshop、Illustratorに限られている。
PDF入稿もあるというので調べたら、InDesignから吐き出した限定的な形式で作成しないといけないと分かり、断念。
Wordから、印刷所指定のソフトによって電子版下を作成するという方法もあって、最初はそれでやろうと思った。
しかし、Wordで編集し始めると、頻繁にソフトごと落ちたり、レイアウトが乱れたりで、お話にならない。
なんだこれは、というくらいひどい。
簡単な印刷物1ページものくらいなら、複雑化してしまった一太郎よりWordのほうがずっとマシなのだが、やはり複数ページ、しかも高解像度画像をふんだんに含んだレイアウトとなると、Wordは使いものにならないと確信した。

で、次は、InDesignのお試し版をダウンロードして、最初からInDesignでやってみようとしたのだが、これは開いた途端にどっと疲れて、やめた。
じっくり勉強しながらやればいいのだろうが、その気力がない。挙げ句、Wordのように落ちまくったらどうしようもないし。
本来、これは編集者、出版社の仕事であって、筆者の仕事ではないんだよなあ。そういう部分に、これ以上の労力を注ぎ込みたくない。

……ということで、結局、いつもの「パーソナル編集長」に戻った。

手順としては、パソ編で作成したものをAcrobatに吐き出して、それをPhotoshopに読み込み、CMYKのPhotoshop形式に変換して保存。そのファイルを入稿する。
とっても面倒だが、すでに経験している手順なので、新しいことはあまり学ぶ必要がない。

……はずだったのだが、しばらくいじっていなかったため、やっぱり問題はいっぱい出た。

まず、Acrobatがおばかで、規定通りに動いてくれない。
パソ編で用紙設定をA3ノビの寸法に指定して(パソ編にはA3ノビの用紙がテンプレートで用意されていないので、カスタム設定でやる)のだが、それをAcrobat(バージョン6)のA3ノビで吐き出すと、なぜか右側が切れてしまい、トンボが消えてしまう。
そこで、パソ編の用紙設定ではトンボが入るぎりぎりの大きさにとどめておく必要がある。
なぜこうなるのか、未だに不明。

後からきれいに表紙の文字などを入れるため、作成したPDFをIllustrator(うちにあるのはバージョン8)に読み込むと、なぜか文字がすべて化ける。しかし、Photoshop(うちのは7)だとちゃんと読み込める。
これも不思議なのだが、仕方なくPhotoshopに読み込んで、念のため用紙サイズ(カンバスサイズ)をA3ノビに広げておく(周囲が付け足されるだけで、印刷部分は拡大しない)。

この方法でようやく入稿条件をクリアできるのだが、Photoshopでは見開き単位(紙単位)で別々のファイルになってしまうため、ページ数が多くなれば作業が面倒になる。

旧版は中綴じ(ホチキスで留める、週刊誌スタイル)だが、今回は無線綴じ。オンデマンド印刷の場合は4ページ単位になりそうだが、事故を避けるため、ファイルは見た目の見開き単位にしてくれとのこと。
この場合、パソ編では「袋とじ」形式で書式設定して、左綴じ(右開き)の場合は最初にダミーのデータなしページを1ページ作っておく。
このへんが結構ややこしくて、いつも途中でやり直す羽目になる。

印刷物製作というのは、できるだけやりたくない。最近では、小説などを印刷した本に仕上げることの意味をあまり見いだせなくなってしまった。
ただ、『神の鑿』は読者層の年齢が高いことなどもあって、やはり印刷版を作っておかないといかんだろうなあ、という気になった。

来週、初版第1刷分の100冊が届く。旧版は合計500部くらい作って全部出ていったのだが、今回はどうなることか。
配布価格は1500円(税込)の予定。
内容的には、普通の四六判の本なら60ページくらいの内容になっている。コストダウンのため、A4版にぎっちぎちに入れ込んでいる。

で、すったもんだで全部入稿し終わった後に、もう一度InDesignを開いて、すでに作ってあったPDFを「配置」コマンドで貼り付けたら、なんのことはない、すんなり入った。これを印刷所所定のPDF形式で吐き出すこともできた。ファイルサイズは、Photoshop形式だと全部で1GBくらいあったのが、このPDFだと数十MBで済んでしまう。あら〜〜〜、なんなんだろう。
次に何かやるときは、やはり最初からInDesignからやってみよう。
   




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