10/03/30

わが家の卵、その後


雨池の卵
またいちだんと冷え込み、明け方はマイナス3.7度だった。
マツモ池、雨池、土手池は、1週間ほど前からぶくぶくを入れてある。表面が氷で覆われるのを少しでも防げるかな、というのと、去年、慢心して水質が悪くなり、最初のアカガエルの卵から孵った直後のオタマが死んだことの反省から。
雨池の卵はまた氷の下。表側に近い卵はだいぶ死んでしまったようだ。白くなっている。
ジョンのお散歩のとき、去年、イノシシの親子が相次いで罠を引きずって死んでいた用水路のところを歩いていたら、用水路にも、畦を挟んだ水田内の水たまりにも、しっかりアカガエルの卵が産みつけられていた。

用水路(U字溝)の中に産みつけられた卵↑


水田の中に産みつけられた卵↑


左が水田の中の水たまり組、右はU字溝組

さて、これはどっちのほうが生き延びる確率が高いだろうか。
用水路は、これから田植えの前に一斉に落ち葉などが掬い上げられ、一度、からぼし状態になってしまう。そのとき、卵も一緒に外に出されて死滅するだろう。
少しこぼれた卵があったとしても、その後、一気にU字溝に水が流れ込み、流される。うまく田圃の中に入り込めればいいが……。
水田内の水たまりは、雨が降らない日が続けばたちまち干からびる。運よく湿った土の中で生き延びても、田植えの前の代掻きでトラクターが入り、かき混ぜられる。
どちらも、生き延びられるのは極めてわずか、またはゼロだろう。
アカガエルにとって、この環境は厳しすぎると思うが、それでも毎年こうやって大量に卵を産み、数で勝負の生き残りをかけるのだ。

10/03/31

翌日、この前、卵を救出した水田に行ってみたら、やはりすっかり水がなくなり、残っていた卵はもはや土に還ってしまっていた。合掌。
わが家の池に救出したやつはまだ生きている。寒いのでさっぱり孵化のきざしは見られないが、腐ったりしているわけではないので、これから暖かくなれば、山葵池の中で育っていくだろう。

10/04/01

訃報

北海道猿払のSさんに続き、僕にとって大恩人である穴吹史士(ふみお)さんが亡くなった。
今日、一緒にAIC(Asahi Internet Caster)のコラムを書いていた野々村さんからメールが入っていて知った。
癌が再発して入退院を繰り返していたことは知っていたので、ずっと心配していたのだが、やはり……。
穴吹さんは「一度、タヌパック阿武隈に行きたいな。よろしくね」と言い続けていた。「いつでもどうぞ。でも、暖かい時期じゃないと厳しいですね」と答えていたのだが、ついに実現しないままになってしまった。

僕には恩人と呼べる人が何人かいる。
「小説すばる新人賞」をとるきっかけを作ってくださり、その後、売れずに苦しんでいるときも「ぼくだけはいつでもたくきさんの作品をまっ先に読みますよ」と言ってくださっていた「すばる」の編集者・片柳治さん。
新人賞受賞を誰よりも喜んでくださり、「作家としての志を忘れるな」と激励してくださった、中学・高校時代の国語教師・井津佳士(よしひと)先生。
『草の根通信』の連載コラムを通じて、「作家の志」とは何かを教えてくださった松下竜一さん。
「売れないけど才能ある作家です」と、ことあるごとにいろいろな人に紹介してくださる一方で、僕には「やはり売れなければダメですよ」と苦笑しながらおっしゃっていた永井明さん
そして、その永井さんが紹介してくださり、後に、経済的に苦しんでいる僕がなんとか食いつないでいけるきっかけを作ってくださった朝日新聞社の編集者・穴吹史士さん。

ここにあげた恩人たちは、みんな50代、あるいは60代そこそこという若さで病に倒れ、亡くなってしまった。
なぜなんだろう。
こうも見事に続くと、考え込んでしまう。

穴吹さんがやっていたAICは、朝日新聞社の梁山泊とも言える「場」だった。
AICに書かせていただいた5年あまりは、しんどかったが、とてもよい修業になった。ネットの怖さも教えられた。
巨大メディアの中で、どうすれば志を貫けるのかを身を持って示してきた穴吹さん。メディアが危機的状況のこの時期に去ってしまわれたのは、あまりにも暗示的で、辛い。この空虚感はとてつもない。

穴吹さんに誘われて書いたAICの連載コラム『デジタルストレス王』の全面書き直しバージョンとして書籍化↓

日本のルールは間違いだらけ 実は世の中こんなにいい加減だった! 

日本のルールは間違いだらけ』(講談社現代新書 10月15日発売)

第一章 日本語のルールはこんなにおかしい 第二章 交通ルールのバグで殺される 第三章 性風俗は曖昧ルールの九龍城 第四章 法律はお上のご都合次第 第五章 公職選挙法という不条理

JIS漢字の1%は「存在しない」文字、福知山線事故は大隈重信の責任?、ソープランド誕生秘話、PSE法という大量破壊兵器、自公政権は本当なら2003年に終わっていた、裁判員精度は無理である……などなど、AIC(Asahi Internet Caster)で5年あまり連載された「デジタルストレス王」の中でも、反響の大きかったコラムを全面改定&大幅加筆、改訂。「愚ルール五悪の法則」というセオリーの下にまとめあげた読み物。

★立ち読み版はこちら


今すぐご注文できます 
アマゾンコムで注文で買う    bk1で買うbk1で買う    

一つ前の日記へ一つ前へ    目次へ          次の日記へ次へ





★タヌパック音楽館は、こちら   ★阿武隈情報リンクは、こちら



その他、たくき よしみつの本の紹介はこちら

日本に巨大風車はいらない 風力発電事業という詐欺と暴力